イエローカード来日! 東京初日公演ライヴレポート

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今年の1月にニュー・アルバム『ライツ・アンド・サウンズ』を日本先行でリリースしたイエローカード。昨夏にはサマー・ソニックに出演し、パンクバンドにヴォイオリニストがいるというスタイルと、サウンドの壮大さでオーディエンスを圧倒。日本のファンに強烈な印象を残した。ところが、10月にギタリストのベンが突然の脱退。さらに12月にはライアン・キー(Vo)の声帯にポリープが見つかり、急遽ヨーロッパ公演をキャンセルするなどの事態に見舞われた。しかし、年明けには無事回復し、ツアーを再開。日本でも、ニュー・アルバムをひっさげて、来日公演を行なった。3月28日にSHIBUYA-AXで行なわれた東京初日公演は、予想以上に完璧で壮大なステージに、彼らの才能の豊かさをダイレクトに感じるライヴとなった。

会場に入って周りを見渡すと、20代を中心としたファンが多いようだ。オープニングアクトに登場したのは、3ピースの爆音ギターバンド、THE MOVEMENT。ピシッとしたスーツを着て、ギターを掻き鳴らしながら、オーディエンスのテンションをいい感じに上げていた。オープニングアクトが終了してから15分後、照明がふっと落ち、会場は真っ暗に。暗闇の中、歓声とともにオーディエンスがステージ前へ押し寄せていく。鳴り響いていた轟音が一瞬静まり返り、「ライツ・アンド・サウンズ」のギターサウンドが聴こえると、ステージ前方にスポットライトが当てられ、ライアン(Vo)がギターを弾きながら登場。突然目の前に現われたライアンにファンは大興奮! ステージ全体の照明が明るくなり、メンバー全員の姿が現われると、さらに歓声は高まり、オーディエンスは腕を振り上げて踊りだす。興奮冷めやらぬまま「ウェイ・アウェイ」へ突入。ノリのいいリズムがカラダを駆け巡り、さらに気分が高まっていく。「アヴォンデイル」の後にライアンが静かに「Love Song」と言って歌いだしたのは、もはや名曲でもある「オンリー・ワン」。サビではオーディエンスの大合唱が響き渡った。ライアンの切ない歌声とヴァイオリンの音色に、さっきまでエキサイトしていた感情が、一瞬にして切ない気分に変わる。それだけ彼らの歌と演奏は心に響くのだ。「シュア・シング・フォーリング」を演奏後、ライアンの「1、2、1、2、3、4!」という掛け声で勢いよく始まったのは「ライフ・オブ・ア・セールスマン」。会場ではダイヴが次々と起こり、オーディエンスはこれでもかというほど高くジャンプする。心配していたライアンの声帯も、確実に回復しているようで、この日も伸びやかな歌声を聴かせてくれた。しっとりとした悲しいメロディの「エンプティ・アパートメント」では、オーディエンスが聴き入る中、ショーンが美しいヴァイオリン演奏を披露。それとは対照的に「ラフ・ランディング・ホーリー」ではドラムセットの台の上に飛び乗って、激しくヴァイオリンを掻き鳴らす。こんなに激しく動きながらヴァイオリンを弾く人は、ショーン以外にいないだろうなと彼に釘付けになった。

ライヴも後半に差し掛かかり、ライアン以外のメンバーがステージの袖に引っ込むと、ライアンが一人で「シガレット」を弾き語りだした。曲の途中で他のメンバーが演奏に加わり、サビでショーンがコーラスをハモる。幻想的で壮大なサウンドと、ショーンのすばらしいヴァイオリン演奏に、オーディエンスはすっかり聴き入っていた。イエローカードのライヴは、演奏だけでなく、阿吽の呼吸でステージを組み立てていくパフォーミングの良さにも目を奪われる。脱退したベンの後任で入った新メンバー、ライアン・メンデス(G)も、まるで以前からバンドにいたかのような落ち着きぶりと安定したプレイでライヴを盛り上げていた。「ビリーヴ」の後は、ウィーザーのカヴァー「セイ・イット・エイント・ソー」を演奏。この曲ではあまり演奏箇所がないショーンは、メンバーが曲を演奏中、ステージの下にいるスタッフに、自分もステージの下に降りてもいいかとお伺いを立てているよう(?)。あっけなく却下されると、今度はライアン(G)の頭の上でピースをしたりと、おふざけに勤しんでいた。その後、「ダウン・オン・マイ・ハンド」「オクトーバー・ナイツ」を続けて演奏し、「ブリージング」では曲間で披露されたロンジャイニュー(以下、LP)(Dr)の見事なドラムソロに会場から歓声が沸いた。LPといえば、激しいドラミングをしているにも関わらず、ライヴ中はまったく疲れた表情を見せない姿が印象的だった。他のバンドとは一味違った、激しいのにスタイリッシュに見せるドラム捌きがとても魅力的なドラマーだ。ドラムソロの途中から演奏に加わってきたライアン(G)のギター・テクニックにもビックリ。まるで両手の指が生き物のように動くのを見て、改めてすごい新メンバーが入ったんだなぁと感じた。「ハリウッド・ダイド」を演奏後、ラストの「オーシャン・アヴェニュー」では、ライアンの歌声とオーディエンスのコーラスがキレイにハモり、最高潮の盛り上がりの中、ステージは終了した。

今回はアンコールはなかったが、新旧織り交ぜた選曲と個々のすばらしいパフォーマンスに十分満足できるライヴだった。いいライヴだったなぁと、後でしみじみ思わせるすばらしいステージを、彼らはしっかりとみせてくれた。

<YELLOWCARD Japan Tour 2006 3/28 SHIBUYA-AX>
01.ライツ・アンド・サウンズ
02.ウェイ・アウェイ
03.アヴォンデイル
04.オンリー・ワン
05.シュア・シング・フォーリング
06.ライフ・オブ・ア・セールスマン
07.エンプティ・アパートメント
08.ラフ・ランディング・ホーリー
09.シガレット
10.ビリーヴ
11.セイ・イット・エイント・ソー(Weezerのカヴァー)
12.ダウン・オン・マイ・ハンド
13.オクトーバー・ナイツ
14.ブリージング
15.ハリウッド・ダイド
16.オーシャン・アヴェニュー

東芝EMI イエローカード特集ページ
http://www.toshiba-emi.co.jp/intl/special/0601yc/
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