| ──今、アルバム『空いっぱいに奏でる祈り』が大変な売れ行きだね。本人たちもビックリしてるんじゃない?
太志(フトシ/Vo):音源を作った段階では“これはイケるんじゃないか”って思ったんですけど、最初はやっぱり甘くなかった。でも“俺らのやってること間違ってないよね?”って言いながら、バラバラな音楽性の5人が化学反応を起こしてすごく良いものができるんじゃないかって、全員がずっと信じてやってきた。だから、皆に認められるのも時間がかかったんだと思うし、それが今になってジワジワとやってきたんじゃないかって思います。でも実際の数字を見ると、やっぱり驚きますね。
──ではバンドの成り立ちなどのプロフィールから教えて。
太志:ベースのOKPとネットのメンバー募集で出会った。そのバンドは解散したんですけど、僕らは一緒に良い音源を作ろうっていうことで2人で十数曲を作ったんですけど、2人じゃライヴができないので、OKPが3人を呼んでくれたんですよ。だから、あんまりみんなの音楽性とかルーツとかは考えてなかったんですよね。Daisukeなんかはメタル好きだし、J-POP好きとか、この子はラテンとか、僕はミスチルだったり、MAD CAPSULE MARKETSとかのコア系を聴いてたんで。音楽性の違いがすごいんだけど、好きな音楽がみんな一緒だったら、広がりをもたずにひとつの枠の中で終わってしまうと思うんですよ。「等身大のラヴソング」以外の曲を聴いてもらえば分かると思うんですけど、僕らの音楽はみんながなんとか近寄って中央に集まってやってる音楽だと思うし。たぶんそれが良かったんじゃないかなと思います。
──Daisukeさんは、こんな音楽をやっていこうっていう目標はあったの?
Daisuke(ダイスケ/G):僕が加入したときは、すでに太志が作った十数曲入りのデモテープがあって、それにはほとんどギターが入ってなかったんですよね。ギターが入っていないのに、完成されているっていう状態で。俺は何をすればいいんだろうって(笑)。でも、ジャンルの壁を感じていなかったんで、今できている歌を相乗効果で持ち上げることがっていうのがまずあったんですよね。
太志:僕はあんまりギター・ソロは弾いて欲しくなかったんですけど、ダイちゃんのギター・ソロは嫌味がなくて。彼は自己満足のギターは絶対に弾かない。彼がやるプログラミングも俺の中ではすごく大きくて。僕が聴いてもらったいろいろな音楽から、ダイちゃんは本当に良いものだけを吸収して、それをインプットして自分のものでアウトプットしてAqua Timezに持ってきてくれるんですよ。だから俺が作ったデモから、かなりのものに消化されて僕の元に戻されるんで、それがすごく楽しみでもありますね。
Daisuke:僕もギター歴が長いんで、やっぱり曲としてのアンサンブルを一番に考えたいんです。それが、ギター・ソロとか自分のエゴイズムとかで楽曲を邪魔してしまうようだと曲を殺してしまうんで、そこは一番気をつかっているところですね。
──それはすごくいい関係ですよね。
太志:そうですね。ここが崩れたら終わりです(笑)。
──今までで一番影響を受けたアーティストや作品は?
太志:歌い方とかは、ミスチルとかスピッツとかの影響が強いと思います。あと、ミクスチャーとかコア系も聴いてきてるのでそういう影響もありますね。あとリリックで言うと、THA BLUE HERBっていうHIP HOPのグループを観た時に、日本語でここまでできるんだと思って感動して。だから、日本語に拘って日本語でどこまで表現できるかって思った。
Daisuke:中学校の頃は、X JAPANが大好きでそればっかり聴いてたんですよ。そこからメタリカやドリーム・シアターに移っていったんですけど。もともとメロディックなものが好きで、もちろんヘヴィなギターがすごく好きなんですけど、やっぱり楽曲としてアンサンブルがきちんと大成されているような音楽に影響を受けることが多かったんですよ。曲調が起承転結しているような人たちに影響を受けましたね。
──作詞作曲をする時に大事にしているテーマは?
太志:僕は、人間は最後はひとりぼっちだって思ってるんですよ。だからこそ孤独っていう部分では、みんなが共鳴できると思っていて。みんなそれを隠し持ってるっていうのかな。だから、孤独について書くことがすごくリアルなことだと思っているし。手をつないだって結局は…。それは悲しい意味ではなくて、結局は自分の人生を最後まで生きていくのは自分自身なんで。そういう意味で一人っていうことを前向きに捉えて書くことができれば、自然とみんなも共鳴してくれるんじゃないかなって思ってる。
──そういう歌詞と曲をアレンジするときのテーマは?
Daisuke:だいたい最初に送られてくる音源は、太志の歌とベース・コードだけなんです。それをもらって最初に聴くと“何を作ってきたんだコイツは?”ってなるんですよ(笑)。でも何回かリピートして聴いていると、この曲で伝えたいことっていうのが見えてきて。最近はアレンジにかかる前に、どういう風に伝えたいのかをあらかじめ大志に聞いておくんですよ。そしてそれをやるためには、どうやって曲を組み立てていこうかって決めていくんですけど、大志の言うことが、すっごい抽象的なんですよ(笑)。
──そういう実験の中で、びっくりするようなものがあがってきたりとかは?
太志:あります! これから出る新譜の中でね、やってくれたなっていうのがあるんですよ。こんないい歌になると思わなかったよっていうのが。俺のリリックが本当に引き立つアレンジで“これこれ! 俺が言いたかったのはこれだったんだよ!”って。 |
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