傑作2ndアルバム『新宿STREET LIFE』をMC KANが語る

ポスト
NEW ALBUM
『新宿STREET LIFE』
LIBCD-003  \ 3,000(税込)
2006年 1月18日発売

1 INTRO
2 音信不通
3 路上の灯
4 欲
5 六丁目団地(MSW MIX)
6 この街を愛すと同時に憎んでる
7 Time is money
8 必要悪
9 Fuck野郎充満
10 心にゆとりとさわやかマナー
11 White River
12 Highreturn Plan
13 Nice街
14 矛盾
15 路地裏HOMIES
16 Subway
17 決断


ビデオ・クリップ

MSCの最新クリップ「音信不通」をお届け。画像をクリックしてチェック!

最新情報はホームページをチェック!
オフィシャル
■インタヴュー後半

──MSCの場合の“ストリート”とは、後者なわけですね。

漢:そうそう。そういう解釈を、曲を通して言わないと意味ないと思うんだよ。“ストリートって、こういうことなんだぜ”って。器用なヤツだと、ストリートにいないくせにホントにいるような感じで歌っちゃう(笑)。でも、俺の場合はそういう生活をしてきたから、作る曲はどうしてもそうなっちゃうんだよね。というか、むしろ、そういう事しか歌えないのかもしれない(笑)。

──そのせいかも知れないけど、MSCのラップは全然説教臭くないですよね。自分たちの視点から街やそこに生息する人々をリポートしてるだけというか。

漢:なんかあーしろこーしろっていう力強さよりは、“まぁ、俺らはこうだから自由に解釈してよ”みたいなさ。これは別に悪さ自慢とかじゃなくて、それをいかにエンターテインメントとして人に見せるかということだと思うんだよ。今はそんなでもないけど、昔はクルーとかも“男塾”みたいな雰囲気の時期があって。“なんか俺たちみたいなガキってさー”とか日本の現状とか、そういう話ばっかをやたら具体的にしてて。たぶんそういう部分からの影響も強いし、逆にそういうの歌ってこそラップだろっていうのもあるし。この音楽って、非日常的な出来事があたり前なやつらの日常とかも、なんとかまともになれるっていう方法でもあると思うんだよね。俺らは、それをただ普通にやっていこうってだけで、変にカッコつけてはいないと思う。いや、本当はカッコつけたいけど、カッコつけれる範囲で精一杯カッコつけてるっていう(笑)。無駄にはカッコつけないから、いきがって見えても結構自然に見えてるんだと思う。

──MSCを取り巻く状況で、最も変わったことってなんですか?

漢:ここ(Libraの事務所)ができたことだよね。前はただの部屋だったから。レコーディングできるようになったのはデカい。ただ夢としては、事務所をもっとデカく、レコーディング・スタジオも人に貸せるぐらいのものを所有したいよね。なんかさ、環境を変えるためにやってるところと、気付いたら変わってる環境があって。そこでなんか見失いたくないっていうか、よくある“Keep Real”みたいな言葉で。環境が変わっても見失ってなければハングリーでいれるし。俺たちは金幾ら稼いでも、もっと欲しいってタイプだから(笑)。

──気付いたら変わってる環境と言えば、MSCはリスナーが広がったと思うんです。RAW LIFE(ハードコア、ヒップホップ、ハウスなどなど様々なアーティストが出演したイベント)ではMSCの後にStruggle for pride(ノイズコアバンド)が出てきたり。

漢:ストラグルみたくハードコアとかパンクをやってるような人間は、たぶん日本のストリートを知ってる人間もいると思うんだよね。音楽だけでも、どっかコアな部分が俺たちと繋がっていうか。だからなんか、そういうヤツらを盛り上げるのも必要だし、日本のヒップホップを見捨てないでくれよっていう思いでやってるっていうか。舞台に立つときは、“お前らの知ってるヤワなラップだけじゃなくて、こんなエネルギッシュなラップもあるよ”っていうのを見せたいし。あと、やっぱ客が凄いよね。ヒップホップでも人が多いとモッシュみたいなのもあるけど、ハードコアの人間とかのは凄いよ。RAW LIFEとかでも、俺、突っ込んでって、出れないかもとか思ったもん(笑)。

──なんというか、表現の仕方が違うだけで、アンダーグラウンドなシーンでは完全に垣根なんてない感じがしますよね。

漢:なんか俺らもよく“ストリート”とか“アンダーグラウンド”とか言われるけど、その言葉の意味が曖昧すぎて答えがないような気がするんだよ。言葉を使ってる人間によって、把握している意味に違いがありすぎるっていうか。だから、俺らも別段意識してないし。でも、俺たちは絶対にレコード会社とかに合わせてスタイルを変えたくない。なんでこういうこと歌っちゃいけないんだって思うし、こういう文化とか実状を日本が受け入れてくれって思う。日本自体の考え方が変わらない限り、誰もがその文化で衝突するところでもあるから、そこで俺たちは曲げたくなくて。でも、なるべく色んな人に聴かせたくて、こういうアルバムを作ったんだよ。

取材/文●宮崎敬太
■インタヴューのトップへ
■I-DeAとの対談へ
この記事をポスト

この記事の関連情報