| (インタヴュー前半で、「最新アルバム『プッシング・ザ・センシズ』での挑戦は、ピアノで書いた曲が多いこと」とグラントが語ったので……)
――ピアノで書いた曲とギターで書いた曲とではどこが違います?
グラント:う~ん、それはわからないなあ、自分では。似たような楽器だとは思うんだよね。コードを鳴らしてメロディを弾いて、ということが出来るという点でも。ただ、ピアノはものすごくうまくなくてもいい曲が書けるという特徴はあるかな。例えばジョン・レノンの「イマジン」。もし、ジョンがものすごくピアノが上手だったら、ああいう曲は生まれなかったんじゃないかと思うよ。一つ言えるのは、フィーダーにとってギターがとても重要な楽器だというわけではないってことだよ。
タカ:次のアルバムではグラントはトランペットを吹くよ(笑)。
グラント:いやいや。でも、僕は実はトランペットが吹けるんだ。ずっと一緒にやってるプロデューサーのギル・ノートンもトランペットが出来るんだけど、彼と話しているうちに、実際に「ヘリウム」って曲で使ってみようよってことになったこともあったよ。でも、僕とギルじゃ高音が出せなくて、結局、あの時はプロのトランペット奏者を雇ったからね(笑)。ただ、個人的ロックとブラスは合わないと思うから、多分もうやらないかなあ。
――やはり3ピースにこだわりたいと?
マーク:3人で演奏できるっていうのが何よりのことだと思うんだ。ライヴで再現できなくなったらやる意味ないしね。
グラント:そういう意味でも僕らはまだまだ3人でやれる可能性があると思っているよ。そもそも僕らが90年代後半から今に至るまで、生き残ってこられたのも小細工をしないで正攻法でやってきたからだと思うんだ。流行とかに左右されずにね。それだけに最初はしんどかった。伝わってないんじゃないかって心配もずっとあったし。
タカ:でも、例えばブリット・ポップ時代に出てきたアーティストの多くは失速してしまったよね。僕らはそういう中で、今も多くのリスナーたちに応援してもらっている。結局自分たちがやっていることに自信を持ってやってきたことが良かったということなんじゃないかな。
マーク:このバンドは信念を持ってやっているよ。だから強いし、流行にも流されないね。
グラント:確かに、バンドとして続けていくことがつらい時期もあった。でも、それでも僕らは意志を曲げないでやってきた。それがロックンロール一筋でやっているように見えるってことなんじゃないかな。
取材・文●岡村詩野
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