new ALBUM | | 『Legends Of The Underground』 2005年9月16日発売 P-Vine/kindred sprits PCD-2606 \2,415(税込)
1 Introduction 2 The Divine Room (with Domu) 3 The Gathering Part I (with Domu&ベンベ・セグウェ) 4 The Gathering Part II (with Domu) 5 The Scrolls & The Gift (with Domu&ベンベ・セグウェ) 6 Paradise Garden (with Domu&ベンベ・セグウェ) 7 The Dark Room (Produced by Domu&Seiji) 8 Anarchite City (Produced by Seiji)
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| ──今回のサウンドが目指した方向性を教えてください。
Mark:僕はジャズをプレイして育っただろ? だから、ミュージシャンとしてアコースティック・ジャズやフュージョン・ジャズの複雑さやダイナミックスが大好きなんだ。そういう意味では、このサントラは僕のルーツに戻る感じだった。ぼくはこの作品で、自分のジャズやインプロヴィゼーション(即興音楽)に対する愛情をそのまま表現できたと思っている。これは、ぼくの長いキャリアのなかでも、初めてといっていいほどだよ。というのも、この作品の制作では、DJプレイ用の12インチ・シングルとか、ラジオ・プレイ用のシングルとか、コマーシャルな要素が一切介入してないんだ。12インチ・シングルとか、そういうものは、スタイル的にもコマーシャル的にも必要なフォーマットを維持するために、ある程度そういう要素は抑えなければならなくなってしまう。でも、この『Legend~』では、そういった制限が全くなかったんだ。ストーリーを語る媒介となり、アートとして存在するためにのみ制作できるという点は、本当に素晴らしかったよ。
──つまり、今回の作品はブロークン・ビートを使って作られた、ダンサーたちのためのジャズということですね。
Mark:ブロークン・ビートやジャズ・ミュージックは、ハウス・ミュージックや2ステップに比べてダンサーたちにその音楽を最大限に活用する場を与えていると思うんだ。ビートを部分的にアクセントづけた音楽は、ただただ上下する比較的に単純な4つ打ちより、ダンサーにもより多くの可能性を与えているはずだよ。そもそも、ジャズは元々ダンス・ミュージックだったと思うんだ。ラグタイムとか、デキシーランド、ビッグバンドのスウィング・サウンドとか、どれもグルーヴするための音楽だった。1930~40年代にニコラス・ブラザーズが、このスタイルを定義づけた。リズムの中のシンコペーション、それに彼らのダイナミックなコレオグラフィーでメロディーを発展させていく……。ヒップ・ホップはそういうアイディアを復活させたと思うけど、ブロークン・ビートはその可能性を更に一歩発展させつつ、逆に一歩遡ってあの30年代のミュージシャンたちの元に戻したとも思うんだ。そういう意味でこのサントラは最近リリースされているブロークン・ビート・ミュージックより遥かにブロークン・ビートのエッセンスを還元するものだし、ブロークン・ビートと名付けられる前にこういう音楽が成り立った理由が良く分かるよ。
──この作品をオランダのレーベルkindred spritsからリリースしたワケは?
Mark:この舞台の公演は、今のとこアムステルダムだけなんだ。オランダとのつながりが強さを考えれば、オランダのレーベルから出すほうがしっくりくるだろ。それにkindred spritsは、いいプロジェクトをたくさんリリースしているよ。サン・ラーのトリビュート・アルバムとか、Build An Arkとか、Jneiro Jarelとか。『Legends of the Underground』というプロジェクト自体を理解してくれる人は少ないと思うけど、kindred spritsはこのプロジェクトが始まった当初から今に至るまでの発展を見てきていて、このプロジェクトを本当によく理解してくれているんだ。
──kindred spritsについてはどのような印象をもっていますか?
Mark:最近はチェックしているレーベルが本当に少ないんだけど、kindred spritsはぼくの数少ないヨーロッパのお気に入りレーベルだよ。ほとんどのレーベルはぼくにとって充分にソウルフルだと思える音楽を作っていないし、他がやってるヴァイヴやアイディアを濁したものばかりなのに対し、彼らは世界中から常に本物だけを送出し続けている。いつも新鮮だ。彼らがリリースするときは毎回、前回とは違うものを期待できて、それって今日においてはすごいことだと思うよ。
質問・構成●宮崎敬太/訳●P-VINE ■インタヴューのトップへ |
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