<Glastonbury '05>楽しく激しく盛り上がる、ザ・フューチャーヘッズ

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そもそもフューチャーヘッズはバンドを組んだとき、2つだけ自らに約束事を課している。一つは「全員で歌うこと」で、もう一つは「ギター・ソロを作らないこと」。そんなエピソードからも、このバンドがともすれば過剰で滑稽にもなりがちなミュージシャン本体のエゴにとらわれすぎることなく、聴く人に存分に楽しんでもらうことを重要視していることがわかる。「難しい音楽だと思われたのが、意外だった」と取材したときにも話していたほど。ゆえに、ライヴが楽しくないわけがない。この日も大観衆は1曲目の「ル・ガラージ」のコーラスから激しく盛り上がった。

ヒネったニューウェイヴ・サウンドを軸にしつつ、短く印象的なフレーズのリピート、タイトな演奏、そして絶妙にズレるヴォーカルのハーモニー。顔が思わずほころぶほどにポップでありつつ、パンキッシュな情熱がつんのめり、観客を一瞬たりとも休ませない。そして何より、そもそもこのバンドが自分たちをカッコよく見せようとは微塵も思っていないからこそ、いわゆる「ニューウェイヴ・ブーム」から頭一つ抜け出る個性を放っているのだとライヴからはよくわかる。なにせドラム以外の3人のフロントマンは、漫才のようにジョークを連発。また、ケイト・ブッシュのカバーでもある「バウンズ・オブ・ラヴ」の前には観客を2グループに分けて、それぞれに別々のコーラス練習をさせ、そのまま本編に突入し観客にも歌わせる。近年の「ロック・バンド」のライヴではついぞ見かけることのなかったそんなちょいダサな演出が、肩に力を入れることなく音楽と向き合っているこのバンドらしさとして、気持ちよく伝わってくるから不思議だ。

この日が誕生日のバリー(Vo&G)を皆で祝ったりと、最後までアットホーム。それでいてひとたび演奏に入ると、目が離せないスリリングさを放って。自然体の「音楽観」を含め、好きにならずにいられないバンドだ。

文●妹沢奈美

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