| ──アルバム『ディーモンズ』は、ハモンド・オルガン、メロトロン、ギターのサウンド、リフ、ヴォーカルも曲によって形態が変わったりとか、すごく楽しいできだ。70年代風のエッセンスがあって、次はどんなものが来るのか、ワクワクしながら聴いたよ。かなり意識的に70年代のエッセンスを取り入れようとしたのかな?
マイケル:ハードロックとかヘビーメタルのルーツと言えるような、ブラック・サバス、ディープ・パープル、マウンテンのファンだったから、盗もうとかコピーとかパクリというんじゃなくて、自然なスパイスとしてそこに入ってきてしまうということだね。例えば、“ユーライア・ヒープのあの曲のあのコード進行って良かったよね。あんなカンジのものどうかな”って言うと、みんながすぐに分かっちゃう。そういった音楽的なコミュニケーションが成り立つ共通言語を僕らはいくつも持っている。それがいわゆる70年代の音楽であるということさ。
JB:まさにそれが、僕らのバンドの強みだと思っている。70年代の音楽の持ってるフィーリング、ヴァイヴ、グルーブだよね。それだけじゃなくて、今の音楽が持ってるアグレッシブさ、エクストリームなアプローチとかを取り入れることで、以前の音をそっくり繰り返すんじゃなくて新しいものにしてる。要するに、トラディショナルなものの良さに、モダンな音楽の持っているパワーを付け加える、というコンビネーションが僕ららしいんだと思うよ。
──スピリチュアル・ベガーズの音として完成されてるので、その辺がすばらしいと思うよ。
マイケル:実際こういう音を出してるバンドって、今はそう多くはないからね。だからこそ、やってて楽しいのかなと思うよ。ハモンドとギターをユニゾンで鳴らしたりハーモニーで鳴らしたりっていうバンドは、いまはいないもんね。僕らはその頃の伝統を継承しつつ、今に提示しているバンドさ。決して、同じような音を出しているバンドは多くない。それが僕達の個性かな。
──このアルバムはアレンジ面でもすごい凝った作りをしてるね。
マイケル:曲作りに関しては、僕とドラマーのルディックだね。しょっちゅう顔を合わせて一緒に音を出して、リフから組み立てていくんだ。アレンジはその段階で完成してしまうね。ただ細かい部分の話になるけど、実力のあるミュージシャンが集まっているので、それぞれにやりたいようにやってもらったほうが楽しいと思うし、その余地を残すようにしているんだ。そのほうが感情もこもるし、フィーリングも出るしね。それぞれのアイディアを出しやすいようにスタジオの雰囲気をできるだけ楽しく、気楽にするように心がけてるよ。
──JBはレコーディイングはどう?
JB:僕の場合、レコーディングに関わる段階で素材はすでに揃っていて、そこに味付けをする程度の余地しか残されていないんだ。もちろんメロディのアイディアは出すし、歌いまわしも意見を出しあって、いろいろとトライしている。曲によっては、独特のヴォーカルアプローチを求められることもあるから、意外とクリエイティブな作業なんだよね。あらかじめ録音されている音楽に乗せて、色んなことを試してみるというやり方を、この前グランド・メイガスのアルバムで試してみたんだ。これだと、ヘビーなものに仕上がるんだよね。だから、まずは音をとってしまう。その後、どんな歌が乗せられるか色々やってみる。そういうやり方のほうが、一気に全部やってしまうより良い結果になる気がする。
──JBに訊くけど、グランド・メイガスの『ウルフズ・リターン』が5月25日にリリースされたね。このアルバムのことを紹介して。
JB:3枚目のアルバムになるんだ。今までのアルバムが全て日本盤としてリリースされているというのは、僕らくらいの規模のバンドにとってはすごくスペシャルなことだよね。今回は、これまでのアルバムの中で音楽的にもサウンド面でも一番完成度が高いものになってると思うよ。前作の『モニュメント』はスロウで長い曲が多かったんだけど、今回はそれに反して、速くて曲も短く簡潔にということを意識して作ったんだ。アルバムごとに音の響きが違うものを目指そう、というのが僕らのこれまでの姿勢だね。
──アーク・エネミーの予定は?
マイケル:今年に入ってから新作の曲作り、レコーディングにかかりっきりになっていて、今ほぼ完成してるんだ。もうすぐ完成する予定さ。かなりエキサイティングなものができているよ。
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取材・文●森本智 |
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