伝統破壊、そして再構築。プレフューズ73来日公演
先ごろ傑作アルバム『Surrunded By Silence』をリリースしたプレフューズ73ことスコット・ヘレン。同アルバムを引っ下げ、3月28日渋谷o-eastにて来日公演が行なわれた。彼はサヴァス&サヴァラスをはじめ、トータスのジョン・マッケンタイアとのユニットPiano Overlordなど、さまざまな名義での作品リリースに加え、多彩なアーティストのリミックスやプロデュース・ワークなどを手掛ける、現在最も注目されるクリエイターの一人だ。
そんな彼の来日公演とあって、会場は一階から二階まで超満員。階段にまで人があふれるほどの入りだった。今回、前座を務めたのはアルバムにも参加した元アンチ・ポップ・コンソーティアムのメイン・ラッパーBean、そしてTyondai braxtonとヘルメットのドラマーJohn Stanierが在籍するバトルズというメンツ。両者ともに素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたが、とくにバトルズのステージは圧巻。シンセ、エフェクター、ラップトップ、ギター、ベースを駆使し、タイトな演奏をベースにフリーキーなパフォーマンスを展開。途中、人力ドラムンベースにヒューマン・ビートボックスを重ねるといった実験的な試みがあったりと、本当に素晴らしいライヴだった。
バトルズのあまりの素晴らしいステージに、次のプレヒューズがこれ以上のパフォーマンスを行なえるのか、心配になってしまうほどだった。しかし、そんな心配はまったく無用だった。
今回は、なんと生バンド編成。プレヒューズことスコットがシンセを担当し、前述したバトルズの中心人物Tyondai braxtonがベース、それにドラムとターンテーブルという構成。これまでリリースされた作品のインスト曲を中心に選曲され、それをメガミックス的に演奏していく形態がとられた。アルバムなどで聴く彼の楽曲は繊細で内省的な印象が強いが、今回のライヴは生演奏ということもあり、はるかにダイナミックで、すし詰め状態の会場も彼ら4人から繰り出される音響世界に狂喜するかのように沸き立っていた。誰もがステージで起きていることに釘付けになり、その世界観に酔いしれたのだ。それは、ヒップホップのようでもあり、ロックのようでもあり、現代音楽のようでもあり、ダンス・ミュージックのようでもあり、そのどれでもなかった。
この日のステージを目撃した人間は、自分の目の前で既存の音楽を破壊しながら再構築していくという驚異的なパフォーマンスを目撃した。このスコット・ヘレンという人物は、エイフェックス・ツイン、マシュー・ハーバートらと並び立つ、今後の音楽を変えていくキー・パーソンだろう。そして、誕生から20数年が経過したヒップホップというアート・フォームの、最も新しいスタイルを想像したのだ。この音を生で聴いた人々ならば、少なからず衝撃を受けたはずだ。
さまざまなゲスト・ミュージシャンを従えた、今回のライヴ。アルバムとは違うアプローチで、スコット・ヘレンの才能を確認することができた。今後、彼がどのような音楽を生み出してくれるのか、いち音楽ファンとして楽しみでならない。
pix by Teppei
text by ミヤザキケイタ
そんな彼の来日公演とあって、会場は一階から二階まで超満員。階段にまで人があふれるほどの入りだった。今回、前座を務めたのはアルバムにも参加した元アンチ・ポップ・コンソーティアムのメイン・ラッパーBean、そしてTyondai braxtonとヘルメットのドラマーJohn Stanierが在籍するバトルズというメンツ。両者ともに素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたが、とくにバトルズのステージは圧巻。シンセ、エフェクター、ラップトップ、ギター、ベースを駆使し、タイトな演奏をベースにフリーキーなパフォーマンスを展開。途中、人力ドラムンベースにヒューマン・ビートボックスを重ねるといった実験的な試みがあったりと、本当に素晴らしいライヴだった。
バトルズのあまりの素晴らしいステージに、次のプレヒューズがこれ以上のパフォーマンスを行なえるのか、心配になってしまうほどだった。しかし、そんな心配はまったく無用だった。
今回は、なんと生バンド編成。プレヒューズことスコットがシンセを担当し、前述したバトルズの中心人物Tyondai braxtonがベース、それにドラムとターンテーブルという構成。これまでリリースされた作品のインスト曲を中心に選曲され、それをメガミックス的に演奏していく形態がとられた。アルバムなどで聴く彼の楽曲は繊細で内省的な印象が強いが、今回のライヴは生演奏ということもあり、はるかにダイナミックで、すし詰め状態の会場も彼ら4人から繰り出される音響世界に狂喜するかのように沸き立っていた。誰もがステージで起きていることに釘付けになり、その世界観に酔いしれたのだ。それは、ヒップホップのようでもあり、ロックのようでもあり、現代音楽のようでもあり、ダンス・ミュージックのようでもあり、そのどれでもなかった。
この日のステージを目撃した人間は、自分の目の前で既存の音楽を破壊しながら再構築していくという驚異的なパフォーマンスを目撃した。このスコット・ヘレンという人物は、エイフェックス・ツイン、マシュー・ハーバートらと並び立つ、今後の音楽を変えていくキー・パーソンだろう。そして、誕生から20数年が経過したヒップホップというアート・フォームの、最も新しいスタイルを想像したのだ。この音を生で聴いた人々ならば、少なからず衝撃を受けたはずだ。
さまざまなゲスト・ミュージシャンを従えた、今回のライヴ。アルバムとは違うアプローチで、スコット・ヘレンの才能を確認することができた。今後、彼がどのような音楽を生み出してくれるのか、いち音楽ファンとして楽しみでならない。
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text by ミヤザキケイタ
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