リリースと同時に日本で大ヒットを記録した最新アルバム『スティル・ノット・ゲッティング・エニイ』の冒頭を飾る「シャット・アップ」でスタートした一夜限りのスペシャル・ライヴ。
ヴォーカルのピエールのみならず、ギターのセバスチャンとベースのデヴィッドまでステージを左右に動き回るエネルギッシュなパフォーマンスはもちろん、日本語を交え、熱心にファンに語りかける曲間のMCや日本語のジョーク(ちゃんとオチまである!)でも楽しませるという意味では、彼らの持ち味はちっとも変わっていなかった。ただ、新作で披露したポップなだけではない楽曲の多彩さがしっかりと反映されることで、以前にも増して、起伏ある、よりドラマチックな展開を生み出していたと思う。言い換えれば、彼らは自分達らしさを失わずにスケールアップした姿を確実にアピールすることに成功していた。
本当に、いいバンドだと思う。楽曲や演奏のクオリティーの高さに止まらず、ここまで演奏するバンドと、それを受け止めるファンが音楽を楽しむという行為を共有できる濃密な“空間”と言うか、“時間”を作りだせるバンドが今、他にいるだろうか? ほぼ全曲を一緒に歌ったファンの熱度の高さにもずいぶん驚かされたけれど、少なくともシンプル・プランほど、その楽しさを共有することに自覚的になっているバンドに僕は最近、出会っていない。
アンコールで披露したザ・ダークネスの「愛・ビリーブ」のカヴァーについて、チャックは「ライヴを盛り上げるには、いい曲だろ? ピエールのファルセットやジェフのギター・ソロといった、シンプル・プランの曲では聴けないものも楽しめるオマケという意味ではぴったりだと思うんだよ」と言っていたけれど、そういうサービス精神も実に彼ららしいと思わせた。
すでに来年の3月には3度目の来日ツアーが決定している。今回のライヴを見られなかった人は、ぜひ3月、彼らの成長と音楽の楽しさを共有できる空間の濃密さを味わってほしい。
取材・文●山口智男 | | <SET LIST> 2004/11/25 LIQUIDROOM ebisu 01. SHUT UP 02. WORST DAT EVER 03. JUMP 04. GROW UP 05. ADDICTED 06. ME AGAINST HATE ME 07. HAPPY TOGETHER 08. ONE 09. YOU DON'T MEAN ANYTHING 10. WELCOME TO MY LIFE 11. WON'T BE THERE 12. PROMISE 13. MEET YOU THERE 14. THANK YOU 15. I'AM JUST A KID 【Encore】 16. 愛・ビリーブ(ザ・ダークネスのカヴァー) 17. I'LL DO ANYTHING 18. PERFECT
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