──アルバムを制作するにあたってどのようなアイディアやコンセプトがあったんですか?
ジョーイ・テンペスト(以下、ジョーイ): ギターが中心のアルバムを作りたいというのがみんなの中にあった。そしてプロデューサーにケヴィン・エルソンを起用したかった。彼はライヴ・バンドのアルバムのレコーディングに非常に長けているのを知っていたし、俺達の古くからの友人だったわけだから。あとはライヴで映える曲をやりたいと思っていたんだ。そしてほかの誰でもない自分達から出てくるものを形にしたいと思っていたんだ。それだけだよ。
──12曲以外に曲は作っていたんですか?
ジョーイ: いや……、でも初めは10曲入りのアルバムを作ろうと思っていたんだ。でも結果的に12曲できあがって、それがどれもとてもよい出来だったので、全部入れることになったんだ。それで結局全12曲入りになったんだ。
──アルバムの出来はどう? ジョン: もちろん大満足だよ。メンバー全員がアルバムを気に入ってる。だから早くツアーに出て、曲をプレイするのが待ちきれないよ。このアルバムはいい意味でラフで、とてもいいヴァイブを持っていると思し、活き活きしていると思う。ライヴでできないような曲は入れてないからね。オーヴァーダブもほとんどしていないし、ライヴにとても向いていると思う。
──特に最初の2曲は今までのヨーロッパを知っている人にはショックを受けるのではないかと思います。この曲のアイディアは誰が持っていたものなんですか?
ジョーイ: 特に最初の曲「Got To Have Faith」は驚く人が出てくるだろうね。でも聴いているうちにどんどん好きになっていってくれると思うし、逆に最初の2曲が好きだというようになってくれるんじゃないかとも思っているんだ。このアルバムには昔からのヨーロッパらしい曲だってあるし、そこからもっと進化したものもある。これからどんなものをやっていくかの想像もつかないし、ひょっとしたら次はジャズ・アルバムかもしれない(笑)。
──この2曲ではギターのチューニングも下げてプレイされていますが、これはジョンのアイディアですか?
ジョン: Dチューニングにしているのはヨーロッパにとってみれば目新しいことかもしれないけど、昔からいろんなバンドが取り入れている手法であって、そんなに特別なことでもないと思う。すごくヘヴィで厚みのあるサウンドを作り出せるので、個人的にはすごく好きだし、ソング・ライティングにも役立つんだ。新しいフレーヴァーを与えてくれるんだよ。まぁ、DチューニングだけじゃなくBチューニングを使ってみたり、Aの弦をF#の音にチューニングしたりもしたよ。そういったサウンドはクールだと思うし、最初の2曲はそういったギターを中心に作られているんだけど、1曲目はTHIN LIZZYがステロイドをやっているような感じかな。
──ヨーロッパにとって“新しい”ことをジョンが持ち込んだことに関して、ほかのメンバーは最初どう思いましたか? 特にジョーイはどう? ジョーイ: 最初にこのアイディアをジョンから聞かされた時にすぐに気に入ったよ。俺のヴォーカルのスタイルとの相性もいいし、曲を作っていくにも非常にいい方法だと思ったんだ。そしてそんなチューニングを新たに経験していくうちに、そのこと自体も曲作りにおいて俺をすごくインスパイアした。例えば「Flames」や「Spirit of The Underdog」、そして「America」なんかは、そのことに大きくインスパイアされてできた曲なんだ。
──今のヨーロッパと昔のヨーロッパの違いって何でしょうか?
ジョーイ: 昔に比べたら経験もあるし、グルーヴがある。あとリラックスしていると思う。自分達がこのバンドを始めたのは確か17か18歳の頃の時で若かった。実際知り合ったのも14歳とか15歳の時だったわけだし。 ジョン: やっぱりグルーヴのある感じになっているね。昔のテープなんかを聴くとやっぱり硬い気がするし、あまりグルーヴしているという感じがなかった。今は本当にそんなことを骨の髄で感じられている。音楽自体も感情が込められていると思う。もちろん昔の曲だって好きだし今だって100%自信を持って誇りに思えるけど、今はとても正しい方向に、しかも前向きに進めていると思う。とにかく自分達の好きなことをやり続けていくだけだと思っている。もちろん自分達が受けてきた影響はあちこちに出てきていると思うけれども、基本的には自分達らしいサウンドを持っていると思う。他のバンドで俺達みたいなサウンドを持っているバンドはいないと思うし、だからこそこのバンドにいるのがクールなんだ。ギターもヴォーカルもオリジナルだし、聴いてもらえればすぐにヨーロッパだと分かってもらえると思う。だからこのバンドはスペシャルなんだよ。
──今年でジョンとジョーイが一緒にプレイし始めて25年ですが、こうやって再結成して改めてこれからヨーロッパがどういうバンドになればいいと思う?
ジョーイ: ツアーのバンドでありたいと思う。実際自分達はツアーをするのが大好きだし、このアルバムの曲もライヴ用に書かれている。バンドもずっと一緒に仲良くやっていて、世の中クレイジーな感じになっているけど、音楽を一緒に作って、こういう仕事ができているというのはとてもラッキーなことだし、特権的なことだと思っている。辛い仕事ではあるけれども一緒に楽しんでいきたいと思っている。
──来日公演が決まりましたが、日本のファンはどのようなライヴを期待できますか?
ジョン: とてもパワフルなショーになると思うよ。古い曲もたくさんプレイするし、もちろん新作からの新しい曲もできるだけやるつもりだ。ライティングやステージセットも驚くほど素晴らしいものになるだろうし、みんなを驚かせるようなこともいくつかやろうと思っているので期待していてほしいな。 ──最後に日本のファンにメッセージを。 ジョン: はい、みんな。日本に戻ってまたみんなの前でプレイできることをとても楽しみにしているよ。そして新作を気に入ってもらえたら嬉しいな。ライヴでは昔の曲も新しい曲もたくさんプレイする。楽しみにしていてもらいたいし、俺達もとても楽しみにしているよ。'05年1月に会おう! ジョーイ: ハロー、ジョーイだよ。ヨーロッパが再び日本へ行く。ファンタスティックなことだよ! '05年1月、ジョンに俺、イアン、ミック、ジョン・レヴィンという「THE FINAL COUNTDOWN」の時のファンタスティックなラインナップだ。今、ヨーロッパのフェスティバルをツアーで廻っていてとても楽しめているんだけど、日本に行けばもっともっと楽しめると思う。俺達はこの秋に新作をリリースする。そのタイトルは『START FROM THE DARK』。気に入ってくれたらいいな。1月にまた会おう! 愛してます。
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