N.E.R.D
2004/05/26 @Zepp Tokyo
そして最後に登場はN.E.R.D.。ブリトニーやネリーのプロデューサーとして知られるネプチューンズのロック・アプローチのサイド・プロジェクトで、近年はiPodのCMソングや裏原宿のファッション・カリスマ、NIGOとのコラボレーションなどにより人気を急上昇させているところだ。昨年に続き2度目の来日公演となった彼らだが、フロントマンとして人気者になりつつあるファレル・ウイリアムスこそ来たものの、今回も相棒のチャド・ヒューゴは参加せず。結局、今回も前回と同様、N.E.R.D.のもう一人のメンバー、シェイと、白人ロック・バンドのスパイモブを伴っての来日。そう言う意味では元来変わり映えはなかったのかもしれない。だが、いざフタを開けてみると、彼らから放たれるテンションが昨年のショウと全く別物! とにかくZepp Tokyoに詰めかけた客のテンションが高いのだ。最新作『フライ・オア・ダイ』もかなりロック色濃厚な作品だったが、ロックファン主体に詰め掛けた会場は、タテノリ・ジャンプの雨あられ! アウトキャストのライヴにもロック・リスナーの姿を数多く目撃できたものだが、これは完全なるロック・コンサートだ。
そしてファレルにパフォーマーとしての自信が前より格段に感じられるようになってきた。以前は少しおぼつかなかった歌も声量・音程共にかなり安定してきた。そして加えて、ファレルの“色男”としての自信だ。以前からファレルは自分のことをイケメンだと自負していたものだが、しかし、そこにはいつも“なんちゃって”な空気が読み取れもした。
だが、「シー・ウォンツ・トゥ・ムーヴ」でステージに急遽上げられた日本人女性との濃厚なダンスの絡みは、セックス・シンボルとしてかなり堂々とした立ち姿だった。そしてアンコールでは、サプライズ・ゲストがステージに登場。それが最新作でも印象的な参加をしているポップパンク・バンド、グッド・シャーロットのベンジーとジョエルのツイン・ブラザー。それだけでも会場はかなり湧いたが、器用な日本語でMCをやるものだから会場はさらに煽られることとなった。そして「ジャンプ」で夢の共演を果たした後、最後はいつのまにかステージにいたNIGOやファレルたちが連れて来た友人たちが大挙ステージにあがり「ロック・スター」で大団円となって宴は幕を閉じた。
'00年代を代表する3組の黒人クリエイターの実に対照的なライヴの連続。内容に各々格差が大きくはあったものの、このバラエティこそが今のR&Bシーンを活性化させていることを確認できた意味では本当に貴重だったと思う。ただ、せっかくなら、一気にまとめてイベント形式でやるなり、それぞれの価格を抑えるなどして、多くの人が一気に楽しめる感じにできれば言うことはないのだが。
取材・文●沢田太陽