【インタビュー】soLi、ただのインストゥルメンタルに終わらない。新しい要素が加わったアルバム『Rebellion』完成

2023.10.31 17:00

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◾️「Rebellion」「The Tower」と「My Garden…」
◾️三つが一つの組曲になっているような感じで聴いてもらえると嬉しい

──そしてまた最後に「Rebellion」というとんでもなく壮大な楽曲が待ち受けていますよね。反乱という意味の曲名にも惹き付けられますが。

星野:ボコボコにしてやるぞと(笑)。結構、“Rebellion”自体はいろんなアーティストの方がお使いになってる言葉だと思うんですけど、これは屋敷が家主に対して反乱を起こしているという楽曲なんですね。元々、自分のソロアルバム(『OVERDOSE』/2017年)の中に入れてた曲なんですね。そのときはピアノが矢吹卓さんで、あとは私とドラムとアコギっていうような編成でやってたんですが、一度、バースデーライブのときにISAOさんにも弾いていただいて、バンド編成で「Rebellion」を弾いたことがあったんです。そのときにちゃんとバンドアレンジで編纂し直したいなと思ったのが一つと、この曲があったから、1枚目に収録した「The Tower」、それに続いて2枚目の「My Garden…」を作るという流れが自分の中でできたんです。だから、「Rebellion」はその始まりの曲といった形になるんです。

──ついに「The Tower」「My Garden…」を生むことになった、その原点が登場したわけですね。

星野:そうですね(笑)。先ほどもちょっとお話したように、ストーリーとしては、領主なのか何なのか、何かしら悪い手を使って屋敷を乗っ取った人がいたんですが、屋敷側が反乱を起こして、新しい家主を追い出すんです。ドラムのシンバルなどで表現しているのは、雷鳴や雷が落ちる音だったり、嵐で雨が石畳に叩きつけられているような様子なんですね。それに対して、家主は転がるように逃げていって、傭兵などに助けを求めて、みんなで屋敷をぶっ潰しに行くんです。ところが、嵐は一向に止むこともなく、常にもう真っ暗で、雨も激しいまま、風の音で周りの音も聞こえづらくて、松明も消えてしまうし、目が痛いぐらいに雷も光る。最終的には家主が雨の中で倒れ込んで、屋敷を見上げながら、雷が光る中、「私はお前の主なんだぞ! やめろ!」って叫んだところで曲が終わるみたいな(笑)。それが「The Tower」に続く序章のような話になっているんです。

──屋敷が嵐という自然現象を起こさせているわけですね。

星野:そうなんですが、たとえば、家主たちは、強風によって飛んできた板塀にぶつかったり、落雷で崩れた壁の下敷きになったりする。ただ、外側から見ると、「酷い嵐だったよね」「いろんな被害が出た」らしいよといった話なんですよね。ところが、家主としては後ろめたさがある分、その屋敷に攻撃されてるように感じるみたいな。でも、実は屋敷側に取り憑いた本来の主が、そういった超常的なものを起こして攻撃しているんですね。ディズニーの映画『美女と野獣』では、村人たちが野獣を殺すために、ガストンを筆頭に屋敷に行くじゃないですか。その最後に嵐が来るんですよね。あの画面の暗さ、あの雨の感じ……『アラジン』でも、ジーニーがジャファーのほうについてお屋敷を持ち上げてどっかにやっちゃうシーンがあるんですけど、ああいうときのジーニーの描き方もそうなんですが、ディズニー映画がセル画だったときの暗さの表現の仕方が、結構自分の中で残ってるんですよ。あの妙に怖いっていう描き方。ぬるっとした動きがあるからこその怖さ。ああいう印象で聴いてもらえたらいいのかなって。

ISAO:途中、兵隊を引き連れて行進してるような、マーチングとかのパートも戦いの雰囲気が出ていますよね。

──ええ。中盤で出てくるアイリッシュっぽいフレーズがありますよね。

星野:あそこは兵隊たちが力を合わせて立ち向かっていくところですね。絶えずジャーンジャーンって、雷鳴とかは鳴ってるんですけど、傭兵たちにとってはポジティヴな展開に見えてる部分でもあるんですね。こちら側に分がある、いけるかもしれないって。ところが、結局は全然立ち向かえていなかったという。でも、あのアイリッシュの部分は、当初はそこまで物語に沿って考えていたわけではなくて、変拍子的なリズムのセクションを入れたいなと思って作り始めてたところで、あの系譜が「The Tower」の中間に受け継がれてるんですね。あちらではギターからアイリッシュ系のメロディが入るんですけど、逆に「Rebellion」はヴァイオリンから提示していく形にしました。その意味でも、三つが一つの組曲になっているような感じで聴いてもらえると嬉しいなと思います。

──変拍子も絶妙に進んでいきますよね。

ISAO:そうなんですよ。そこじゃない感があるんですよね。自然に弾くところだと、8分が一個足らないんですよ(笑)。

──だけど、「えっ!?」とは思わないんですよね。

ISAO:そうなんですよね。でも、あれは大変だったなぁ。

星野:その変拍子の部分は秀樹さんに嫌がられました(笑)。

ISAO:これもライブのときに緊張感がすごいでしょうね。しかも、「The Tower」と「My Garden…」との3部作だと言ってるので、続けてやるしかないですから。

星野:ホントに集中力が必要ですね。初めて今回のアルバムで耳にしてくださる方は、オリジナル版のアコースティック「Rebellion」も併せて聴いていただくと、また全然雰囲気の違いを感じられると思うんですね。たとえば、最後の辺りのサビのメロディみたいなのが流れている後ろで、ギターが速弾きしてくれてるところなどは、アコースティックのほうだと矢吹卓さんがピアノで速弾きしてくださってて。自分の中でも、卓さんがやってたパートをISAOさんがやるというのはすごく意義深いんです。元々、ISAOさんと懇意になるきっかけを作ってくださったのが矢吹さんだったんですよ。

──そういった関係性だったんですね。最初の「Rebellion」を作ったときには、続編を書いていこうという想定ではなかったんですよね?

星野:なかったですね。しかも、矢吹さんと2人でやるライブのために、ポコッと書いたものだったんです。だから、6〜7年越しみたいな感じなんですね。当時、自分がこういうふうに作りたいと思っていたんだろうなという形に、打ち込みの部分も含めてできた感覚があって。贅沢を言うと、いつかsoLiのライブに卓さんにゲストで来ていただいて、鍵盤も入れて「Rebellion」を演奏できたら、すごく楽しいだろうなと思ってます。

──この曲がアルバムのタイトルソングにもなりましたね。

ISAO:これ以外にあり得なくない? 前作も「My Garden…」がタイトルになりましたしね。今回もタイトルとジャケットの写真がすごく合ってるなと思いますね。

星野:ガンダム感があって(笑)。

ISAO:武器っぽいですよね、ギターとヴァイオリンが。もし、「Jumbo Jamboree」だったらアフロとかにしなきゃいけなかったかもしれない(笑)。

──前作発表の際に、「My Garden…」をタイトルにしたことによって、次に繋がる気がするといった話をISAOくんは口にしていましたよね。

ISAO:あのときからすでに3部作という話はしてたんですよ。

星野:「My Garden…」を作ったときにはすでにISAOさんは「Rebellion」を一回弾いてくださってる状態で、あれもsoLiで演奏できたらいいねとおっしゃってくださってたんですよ。だから、私も3枚目を作るときには、きっと「Rebellion」が入るんだろうという気持ちではありましたね。タイトルが『Rebellion』になるとは思ってなかったけど。

──さて、リリース後には11月23日の新宿・初台ドアーズ、25日の茨木・ジャックライオン、26日の名古屋ムジカでの東名阪ツアーが行われることが発表になっていますね。

ISAO:まずはその3ヶ所だけなんですけど、僕の誕生日の前日なんですが、12月28日に東京でバースデー・ライブみたいものを企画していて、そのときもsoLiとして演奏しようと思ってるんですね。その日は今までレコーディングに参加してくれた歴代ベーシスト、IKUOさん、BOHくん、瀧田さん、治郎さん、森田(悠介)くん、木村宏之くんの6人全員に来てもらうんですよ。

星野:それぞれにレコーディングで参加した曲をやってもらうという。

──これまでと違う雰囲気の曲もありますし、見え方に新しい要素が加わったライブが楽しみですね。

ISAO:そうですね。アルバムも3枚目になって、自分らで言うのも変なんですけど、だいぶ成熟してきた感じが楽曲も含めてあるんですね。

星野:それこそ「Jumbo Jamboree」や「Karen」もそうですけど、いつか映像と一緒にできたら面白いだろうなとも思うんですよね。

取材・文◎土屋京輔

3rdアルバム『Rebellion』

発売日: 2023年10月25日(水)
レ-ベル: Walküre Records (ワルキューレ・レコード)

【Deluxe Edition】 CD+DVD

規格番号:WLKR-0074
税抜価格¥4,200 / 税込価格¥4,620

[収録曲]
01. Jumbo Jamboree
02. Sky
03. Night Lurkers
04. Tender Rain
05. Re;Try
06. Hidden Formula
07. Karen
08. Aegis
09. Rebellion

[Deluxe Edition DVD収録予定内容]
2020年10月2日 初台The DOORS
01. Opening Gambit 
02. Burning Blood
03. No Problem
04. Stay on the Beat
05. 抜山蓋世
06. Phalanx
07. The Descending Sword
08. The Lament
09. the Tower

2022年3月3日 YUME studio
01. Snatcher
02. Eternal Ray
03. Star soLier
04. Tyrant
05. Shadow Beat
06. Antares
07. Welcome to Odich Town
08. My Garden…

【通常盤】1CD

規格番号:WLKR-0075
税抜価格¥3,000 / 税込価格¥3,300

[収録曲]
01. Jumbo Jamboree
02. Sky
03. Night Lurkers
04. Tender Rain
05. Re;Try
06. Hidden Formula
07. Karen
08. Aegis
09. Rebellion

music by ISAO track 01.02.03.05.06.08
music by 星野沙織 track 04.07.09

Mixed & Mastered by 仁耶
Photo by LITCHI