【ライヴレポート】PIERROT、Kアリーナ横浜2DAYS<LASTCIRCUS>に願い「それでも、またいつか」

2025.05.19 12:00

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PIERROTが5月17日および18日の2日間、神奈川・Kアリーナ横浜にてワンマンライヴ<LASTCIRCUS>を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆ PIERROT 画像

傍若無人、大胆不敵、予測不能。インディーズ時代はもちろんのこと、メジャーデビューをしてからもことあるごとに前代未聞の動きをみせ続け、シーンの風雲児としての強烈な存在感を放ち続けたPIERROTが、現体制となるキリト、アイジ、潤、KOHTA、TAKEOの5人になったのは1995年のこと。

現体制での30周年を迎えた2025年、彼らは2月に約10年ぶりとなるワンマンライヴ<END OF THE WORLD LINE>を有明アリーナにて2DAYS開催していたのだが、このたび5月17日に<LASTCIRCUS「- FINALE -」>、そして翌18日には<LASTCIRCUS「- HELLO -」>と冠したワンマンをKアリーナ横浜にて開催したのである。

ちなみに、PIERROTはメジャー1stアルバムに『FINALE』、解散時に発表したラストシングルに「HELLO」というタイトルをつけていたため、今回の2DAYSライヴに関してはそれらとの関連性がうかがえるだけでなく、輪をかけて<LASTCIRCUS>という意味深なメインタイトルがつけられている点に対しても、ピエラー(PIERROTファンの総称)の間ではSNSを通じ盛んな論議が交わされていたそう。しかしながら、それらはあくまで推察に過ぎず真実はライヴそのものから感じとるのが早道だったのかもしれない。

「横浜! 今日も狂ってますか? キ○○イですか!? 今日もいきなりブッ壊れちゃおうぜ。行くぞ!!!」──キリト

<LASTCIRCUS「- HELLO -」>と銘打たれた2日目18日のライヴは予告先発的なオープニングチューン「HELLO」で幕開けし、キリトとピエラーたちが共に手首をクロスさせ打ち付ける定番のフリで驚異の一体感を醸し出した「Adolf」、アイジの繰り出すヘヴィにしてエッジーなギターリフが楽曲を牽引する「ENEMY」とたたみかけられ、そのあとにはさまれたこの煽り文句から感じたのはある種の安堵。“そうそう、これこれ。PIERROTのライヴはこう来なくっちゃね”と感じたのは何も筆者だけではあるまい。

TAKEOの叩き出す精緻な変拍子が秀逸に映える「セルロイド」、潤が操るギターシンセのエキセントリックな音色が冴えわたった「脳内モルヒネ」、KOHTAが頼もしいベースワークで攻めまくった「自殺の理由」。どれもこれもPIERROTのライヴでしか絶対に味わえない、舌が麻痺しそうなほどスパイス満載な劇物チューンばかり。

美しいバラードとして聴こえる「壊れていくこの世界で」や、詞に“祝福の歌”というフレーズがおりこまれている「BIRTHDAY」でさえ、それぞれの背景にある物語や脈絡までふまえると安穏と聴いてはいられないのがPIERROTというバンドの一筋縄ではいかないところで、曲調の激しさや暗さといった表面的な部分の奥にあるものまで味わうことにより、PIERROTの生み出す世界はいっそう深いものとして感じられるのではなかろうか。

かくして、本編ラストをイカツイ「MAD SKY-鋼鉄の救世主-」で締めくくったあと、アンコールでは「蜘蛛の意図」など計6曲が聴けた今宵、“いつか無機質な現実でたとえ動けなくても” “それでも生きていかなければ”との歌詞が印象的に響いた「HUMAN GATE」を歌い終わったキリトが、以下のように述べたことも記述しておこう。

「ご存知のとおり、PIERROTというバンドは数十年前に世に出た時からとにかく我が道を進んできたバンドです。若い時から、最初っから生意気で、業界や大人にも忖度せず力で前に進んできました。そんなワガママなバンドでしたし、今でもそうです(笑)。だから、いろいろとね。みんなの不安な気持ちは痛いほどわかります。ただ、現状PIERROTとして次の予定はないし、みんなが安心出来るような約束も保障も出来ません。ごめんね。でも、僕らが生意気なバンドをご存知なら敢えて上から目線で言わせていただきます。約束をもらったり、保障をもらったりしないと生きていけないような、そんな弱い人間にならないでください」──キリト

少しばかり突き放したように聞こえる物言いだとしても、これはキリトの誠実さが滲み出た言葉だったとも受け取れる。何故なら、このあと続いたのはこのメッセージだった。

「未来っていうのは何の約束もないし、誰も保障してくれない。だからこそ、未来には信じる価値がある。願いに意味があるんです。そして、それがやがて奇跡になるんです。だから、何の約束もしません。何の保障もしません。明日からそんな“今”を生きてください。そんな未来を信じて前に進んでください。それが一番の願いです。だけどね。勝手にこんなことを言ったら怒られるかもしれないけど(メンバーたちの顔を見渡しながら)、俺の正直な想いを最後に言わせてください。それでも、またいつか…!」──キリト

まさにそんな“願い”を託したかのような「CHILD」が最後の最後に奏でられたのは、言うまでもなく必然で。“強く響け僕の歌声よ”とキリトが歌ったあと、彼にうながされるかたちでピエラーが一斉にシンガロングすることとなった“行き場をなくした君のもと、届くように” “そしてまた新しい命を産み落としていて”というくだりから、再びキリトが“このホシが諦めるまで”と歌い繋いだ場面からあふれ出ていたのは、PIERROTとピエラーの間にある絆という名の温かい何かだったように思う。

傍若無人で、大胆不敵で、予測不能なのがPIERROTというバンドの特性だからこそ。出来れば、終演後のステージで5人がみせていたあの晴れやかで誇らしそうな笑顔が色あせないうちに、切なる願いの先にある“またいつか”が訪れることを待ち望んでいたい。

取材・文◎杉江由紀

■<PIERROT「LASTCIRCUS」2025.5.17 – FINALE ->Kアリーナ横浜 セットリスト

01. FINALE
02. Adolf
03. ENEMY

04. 自殺の理由
05. 青い空の下・・・
06. セルロイド
07. 脳内モルヒネ

08. ACID RAIN
09. HILL-幻覚の雪-
10. PIECES
11. REBIRTH DAY

12. PSYCHEDELIC LOVER
13. MAGNET HOLIC
14. 満月に照らされた最期の言葉
15. ドラキュラ

16. *自主規制
17. MADSKY-鋼鉄の救世主-
18. CREATURE

encore
19. 真っ赤な花
20. ICAROSS
21. ゲルニカ

22. ATENA
23. 蜘蛛の意図
24. HUMAN GATE

▶プレイリスト:https://pierrot.jpn.com/playlist#lastcircus-day1

■<PIERROT「LASTCIRCUS」2025.5.18 – HELLO ->Kアリーナ横浜 セットリスト

01. HELLO
02. Adolf
03. ENEMY

04. セルロイド
05. ICAROSS
06. 脳内モルヒネ
07. 自殺の理由

08. 壊れていくこの世界で
09. BIRTHDAY
10. 真っ赤な花
11. PURPLE SKY

12. ドラキュラ
13. ゲルニカ
14. 満月に照らされた最期の言葉
15. MAGNET HOLIC

16. PSYCHEDELIC LOVER
17. *自主規制
18. MAD SKY-鋼鉄の救世主-

encore
19. HEAVEN
20. REBIRTH DAY
21. SUPER STRING THEORY

22. 蜘蛛の意図
23. HUMAN GATE
24. CHILD

▶プレイリスト:https://pierrot.jpn.com/playlist#lastcircus-day2

■PIERROT『LIVE Blu-ray & DVD「LASTCIRCUS」』

2025.12.18 RELEASE
受注期間:2025年7月31日(木)まで
【豪華盤 Blu-ray ※3DISCS (2DAYS収録+特典映像)】
SCEB-0008~10 ¥24,800(tax in)
【豪華盤 DVD ※3DISCS (2DAYS収録+特典映像)】
SCED-0061~63 ¥23,800(tax in)
●豪華盤特典
・特典映像DISC
・特殊パッケージ仕様
・ライブフォトブックレット
※タイトル及び仕様等は変更になる可能性がございます。
詳細:https://www.hmv.co.jp/news/article/250210140/

■PIERROT『LIVE Blu-ray & DVD「END OF THE WORLD LINE at ARIAKE ARENA」』

2025.7.15 RELEASE
受注期間:2025年5月21日(水)23:59まで
【豪華盤 Blu-ray ※3DISCS (2DAYS収録+特典映像)】
SCEB-0003~5 ¥24,800(tax in)
【豪華盤 DVD ※3DISCS (2DAYS収録+特典映像)】
SCED-0058~60 ¥23,800(tax in)
●豪華盤特典
・特典映像DISC
・特殊パッケージ仕様
・ライブフォトブックレット
※タイトル及び仕様等は変更になる可能性がございます。
詳細:https://www.hmv.co.jp/news/article/250210140/

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