【ライブレポート】EGO-WRAPPIN’、全国ツアー<HALL LOTTA LOVE>追加公演に至福の空間「じーんときてるんです」

EGO-WRAPPIN’が4月27日、東京・昭和女子大学人見記念講堂にて全国ツアー<EGO-WRAPPIN’ live tour “HALL LOTTA LOVE ~ホールに溢れる愛を~”>の追加公演としてワンマンライブを開催した。ホール会場でEGO-WRAPPIN’とじっくりと向き合うのはまさしく至福であった。ファンを沸かせる曲が満載だった、この公演の模様をレポートする。
会場内に入って、まず目に飛び込んできたのは、ステージの後方に掲げられた大きなフラッグの“HALL LOTTA LOVE”という文字と飛行船の絵。ツアーのサブタイトル<ホールに溢れる愛を>も含めて某バンドの名曲(レッド・ツェッペリンの「Whole Lotta Love」)が元ネタだが、シャレが利いている。

そして迎えた開演。薄暗くなったステージに中納良恵(Vo)、森雅樹(G)、サポートメンバーが現れた。オープニングを飾ったのは「水中の光」。中納がピアノを弾きながら歌い、森、伊藤大地(Dr)、真船勝博(B)も加わったが、ステージ上から広がっていく柔らかな歌声と楽器の音色が心地よくて堪らない。椅子に座りながら耳を傾けていた観客は、うっとりとしながら耳を傾けている。ホール会場のライブならではの空間を早くも体感することができた。
TUCKER(Key)、Icchie(Tp)、武嶋聡(Sax, Flute)も合流し、サポートメンバーを加えた7人編成のバンドとなったEGO-WRAPPIN’。スタンドマイクに向かって中納が歌い始めた「下弦の月」は、全員の音色が濃密に融け合っていた。構築されたサウンドの結晶に姿形はないが、生命力に溢れた巨大生物がステージ上で誕生しているような気がしてくる。続いて届けられた「あしながのサルヴァドール」も、生々しい息遣いが音色からまざまざと伝わってきた。






約6年ぶりの人見記念講堂での公演である旨に触れた後、中納の衣装が『大阪万博』のマスコットキャラクター“ミャクミャク”と同じ配色の赤と青であることを森が指摘するなど、マイペースに言葉が交わされたMCタイムを挟み、多彩な曲がさらに披露されていった。
中納が軽やかにステップを踏んで舞い踊る場面も交えながら情熱的に響き渡った「ニュースタイム」、舞台作品の一場面のようなドラマチックな空間が作り上げられていた「morning star」、清らかな響きを帯びながら高鳴った「KIND OF YOU」は贅沢な音響体験であり、片時も目を離したくない視覚体験だった。

「ライブって、なくなるからええなあと思うんですよ。物じゃないじゃないですか? 大事に噛み締めたいって思う。今日来てくれた人しか見られないこの時間、奇跡だと思って、じーんときてるんです」という中納のMCを経て、「懐かしい曲、初めて作った曲です」という言葉が添えられた「Calling me」。そして新曲と「on this bridge」も届けられた。
サポートメンバーがはけて、舞台に残ったのは中納と森。二人編成でのステージは、リラックスしたトークから始まった。中納が先日訪れたという南千住のユニークなたこ焼き屋について語り合う姿に和まされる。のんびりとしたMCが繰り広げられた後は、2人編成での演奏が届けられた。ボサノバ風味のサウンドが美しかった「満ち汐のロマンス」、清らかなメロディを堪能した「admire」、穏やかな時間がゆっくり過ぎていった「衛星ハロー」など、森のギターに中納の鍵盤ハーモニカの演奏も時折加わりながらホール全体に響き渡っていくのは、本当に贅沢なひと時だった。

サポートメンバーが戻ってきて、再び7人が揃ったステージ上。「Nervous Breakdown」の熱いサウンドを受け止めた観客は、一斉に椅子から立ち上がって手拍子を始めた。「CAPTURE」と「カサヴェテス」も披露されたが、赤い光を放つ電球を回転させながら踊ったりもしながら、最強プレイヤーたちによるサウンドの中を泳ぐかのような中納が圧巻。ビートをスリリングに乗りこなしながら響かせた歌声がひたすら輝いていた。
「だるい」のアウトロが鳴り響いている中、「ありがとうございました!」と観客に晴れやかな声で呼びかけた中納。大きな拍手が客席からステージに向かって届けられ、バンド演奏が幕切れた直後、清々しい余韻が会場内を満たしていた。


アンコールを求める手拍子に応えてステージに戻ってきた中納、森、そしてサポートメンバー。武嶋がサックスを吹き鳴らして先陣をきると、観客が雄叫びのような歓声を上げた。アンコールの1曲目は「かつて..。」。伊藤のドラムに合せて客席が打ち鳴らす手拍子の熱量がグングン高まっていく。各プレイヤーのソロも交えたグルーヴィーなサウンドが、力強く鳴り響き続けた。
そして「また来年もやりましょう」と森と中納が言葉を交わしてからラストの曲「SORA NO LION」がスタート。温かな歌声と演奏に包まれながら観客が身体を揺らす風景が美しい。高鳴る胸の鼓動が安らぎへと昇華されるかのような穏やかな曲だった。

用意されていた全曲の演奏が終了した直後、いくつかの発表があった。ひとつは、新曲「Treasures High」「AQUA ROBE」を収録した12インチと「サニーサイドメロディー」をロックステディにリアレンジした7インチを7月2日にアナログ/配信で同時リリースするというもので、7インチのカップリングには、現行UKレゲエ/ダブのトッププロデューサーPrince Fattyによるダブミックスを収録するというもの。もうひとつは、フォトグラファーのアミタマリ撮影による最新アーティスト写真を公開するというもの。さらには、夏の恒例野外ライブ<Dance, Dance, Dance>が、7月12日に東京・日比谷公園大音楽堂と、8月2日に大阪城音楽堂で東阪開催されるというものだ。
この告知を聞いた観客は大喜び。ステージに横一列に並んだ中納、森、伊藤、真船、TUCKER、Icchie、武嶋を讃えた拍手と歓声は、次のライブでの再会の約束となっているのを感じた。こうしてエンディングを迎えた<EGO-WRAPPIN’ live tour “HALL LOTTA LOVE ~ホールに溢れる愛を~”>東京公演は、音楽を生で体感する喜びを目一杯に噛み締められたライブだった。
取材・文◎田中大
撮影◎仁礼博
■全国ツアー<EGO-WRAPPIN’ live tour “HALL LOTTA LOVE ~ホールに溢れる愛を~”>追加公演/2025年4月27日@東京・昭和女子大学人見記念講堂 セットリスト
01. 水中の光
02. 下弦の月
03. あしながのサルヴァドール
04. ニュースタイム
05. morning star
06. KIND OF YOU
07. Calling me
08. 新曲
09. on this bridge
10. 満ち汐のロマンス
11. admire
12. 衛星ハロー
13. Nervous Breakdown
14. CAPTURE
15. カサヴェテス
16. だるい
encore
en1. かつて..。
en2. SORA NO LION
■アナログ2タイトル同時リリース
2025年7月2日(水)発売
※同日配信開始
▶LP「Treasures High」「AQUA ROBE」
TFJC-38137 2,750円(税込)
12inch (45rpm)
▶EP「Sunny Side Steady」「Sunny Side Dub -Prince Fatty Dubwise-」
TFKC-38138 2,200円(税込)
7inch (33rpm)
■<EGO-WRAPPIN’ “Dance, Dance, Dance”>

【東京公演】
2025年7月12日(土) 日比谷公園大音楽堂
open17:00 / start18:00
【大阪公演】
2025年8月2日(土) 大阪城音楽堂
open16:30 / start17:30
▼チケット
7,500円(税込 / 指定・立見)
【先行予約受付】
受付期間:4/27(日)21:00〜5/19(月)23:59
受付URL:https://eplus.jp/egowrappin-hp/







