【連載コラム】マシータ&タカシ『NEW YORK 4 REAL!?』第1回、「単身渡米」

2025.05.05 11:00

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どうも!マシータです。先日まで単身で40日間New Yorkに滞在してきました。今回の渡米は仕事ではなく、音楽と演奏の探求・修行のため、もう本当にそれだけが目的でした。それだけ、と言っても、そこは広大な海や宇宙のようなとてつもなく深いもので、たった40日間で僕が触れられたのは、ほんの入り口に過ぎないと思うけれど。

◆マシータ&タカシ 画像

19世紀にアメリカ合衆国でそのフォーマットが生まれ、2025年になった今でも世界中のリスナーを魅了し続け、世界のメインストリームを歩み続けるブラックミュージック。また黒人が鳴らさずとも白人もK-POPを始めとするアジア人たちもその影響を大いに受けていることは明白で、さらにはもともとバラバラであった各楽器を組み合わせて“ドラムセット”という楽器を作り上げたのもBlack People。

僕はその彼らの音楽を浴びて自分の生肌でビリビリ感じたいと思って、真剣に渡米を考えた時に、アメリカでもいろんな土地を思い浮かべたが、すぐにNew Yorkしかないと思うようになった。世界でトップの都市には最高の音楽と芸術が集まっているに違いないと思ったから。

New Yorkで活動している日本人ミュージシャンを探したところ、YouTubeでタカシというベーシストが、ひとり黒人に混ざって教会で演奏したり、ジャムセッションで奮闘したり、という映像を見た。本当にすごいなと思ったし、あれこれ見ているうちに彼のインスタを見つけてひとまずDMを送ってみた。

彼は快く僕の質問に答えてくれ、僕は渡航に向けてできる限りの準備をした。このコラムでは、彼とやりとりして「マジで!?」と思ったこと、その後、2025年3月9日に出発して現地で40日間過ごし、「マジで!?」と感じたことを綴って、僕が感じた、そしてタカシが教えてくれた最新のNY音楽事情をお伝えしていこうと思う。

そしてこのコラムの「4 Real!?」は「For real !? (=マジで!?)」のスラングであることも付け加えておく。

   ◆   ◆   ◆

彼にまず初めにDMを送ったのは、いきなり質問ではなく挨拶だけだったが、僕の渡米のことを伝えるとすぐに「(渡米が)楽しみですね! もし質問とかあればなんでも聞いてください」と返事をくれた! なんという親切なひと!

その時点で質問をしたかったが、質問攻めをしそうな自分が怖かったので(笑)、時差等も考え、少し我慢をしてしばらくして質問を送った。

僕は日本でもジャムセッションに行くようになっていたが、New Yorkではどんな音楽が演奏されているのだろう、何か違いがあれば知りたいなと思った。そのあたりを彼に聞いてみたところ…

「YouTubeでどう言ってたか忘れましたが、R&B系はセッションというよりオープンマイクが多くてボーカル向けなんですよね。でもミュージシャンも交代してもらったり出来て、その場合日本みたいにチキン(「The Chicken」)とかはやらないですね(もちろんR&Bではないので)。でもセッションによってはチキンやハービー(・ハンコック)とかの曲をやるとこもあると思います。みんな知ってるけどやらない感じですかね。即興のジャムかR&Bの既存曲が多いですかね。何よりジャズが多いですが。僕はジャズは出来ないのでわかりませんが」──タカシ

というお返事と、たまにやってるバーでのある日のセットリストを共有してくれた。

【from TAKASHI to MASEEETA 〜ある日のセットリスト in NY〜】

逆に僕から、「日本のセッション界隈でホストの方に、よくやる曲を聞くと下記を教えてもらったのですが、この中に「これはやらないですね」みたいな曲はありますか?」と、下記を送ったところ…

【from MASEEETA to TAKASHI 〜界隈でよくやる曲 in JAPAN〜】
・Affirmation – George Benson
・Chameleon, Tell Me a Bedtime Story, Cantaloupe Island – Herbie Hancock
・Just the Two of Us (feat. Bill Withers) – Grover Washington, Jr
・Things ain’t What they used to Be
・Room 335 – Larry Carlton
・Feel Like Makin’ Love (インストでやる場合もあり) – Roberta Flack
・Georgia On My Mind – Ray Charles

「「Affirmation」と「Room 335」は少なくともこっちでは聞いたことないですね。「Just the Two of Us」はR&Bでもよくやりますね。「Feel Like Makin’ Love」もたまに。ちなみにこれは明日やる曲ですがどれも定番曲ですね。R&Bですね。NYはファンクやロックよりR&BとかJazzの方が演奏人口は多いと思います」──タカシ

という返信とともに、下記のセットリストを送ってくれた。

【from TAKASHI to MASEEETA 〜明日やる曲リスト in NY〜】
・Prototype – OutKast
・Crazy
・My girl
・A song for you
・Rock with you
・Valerie – Amy
・I’m not the only one – Sam Smith
・Let’s stay together – Al Green
・R&B medley
・If I Ain’t Got You – Alicia Keys
・Fallin’ – Alicia Keys
・Sign sealed delivered – SW
・Superstition – SW
・Sunny – Stevie Wonder
・Summertime – Jazz
・I feel good (Soul train Medley)
・Creep – TLC
・Uptown funk
・I wish – Carl Thomas
・Love – Musiq soul child

「たとえばこれらの曲全てが出来たとしたらオープンマイクとかCafe Wha?(※1)やGroove(※2) (どちらもクラブの店名)とかの既存曲のジャムでは困らないと思いますね! あ、困らないというかレパートリーとして提示できるので参加は少なくとも出来ますね。ただ、シンガーとかのリクエストに答えるにはもっと知ってるとより良いですね。アメリカではなんでも人気の曲は演奏するんですよね。あと元音源が楽器で演奏されてるかどうかも問わないんですよね」──タカシ

日本の選曲の方は、そもそもジャンルが広めにとってあるというのはありながらも、このやりとりのおかげで、僕は東京とNew Yorkの違いを知れたような気がして、とてもありがたかった。

こんな感じで僕たちのやりとりは始まった…それが2024年の10月のことだった!!

▶NY生活の4 Real !? (マジか!?)

地下鉄は滞在翌日から乗ったし、24時間走っているし(さすがに深夜は本数少ないよ! あとしょっちゅう止まるから迂回しなきゃな状況も多い!)、もう毎日のように乗ってジャムセッションに出かけたりしていたけど、乗るといつも何か妙な違和感を感じていた……
数日後、それに気づいた! 乗っていると日本の時より、確実にお尻が痛い、それは……イスが硬いから!!!

次回2回目もお楽しみに!!!!

【注釈】
※1)Cafe Wha?:1959年から創業するマンハッタンにある伝説のクラブ。出演者は、Jimi Hendrix, Bruce Springsteen, Woody Allen, Lenny Bruce, Bill Cosby and Richard Pryor, David Lee Roth, Van Halen など多岐に渡る。連日連夜開催されているハウスバンドによるカバーライブは極上。
※2)Groove:Cafe Wha?と道を挟んで隣にある有名クラブ。GrooveにCafe Wha?のハウスバンドが出演する日もある。

■マシータ Profile

1972年7月、山口県下関市生まれ。2004年7月、SONY DefSTAR RecordsよりBEAT CRUSADERSでメジャーデビュー。全47都道府県に及ぶライブツアー、各地のロックフェスに出演。約6年間のバンド活動を終え、2010年9月に散開(解散)。バンド解散後は、フリーのドラマーとして様々なアーティストとの演奏活動を行う。
▶共演アーティスト:Ado、Superfly、いきものがかり、木村カエラ、のん、NACHERRY、観月ありさ、山下智久、ヒグチアイ、中村一義、忘れらんねえよ etc.
帰国に伴い、NYの最新音楽事情を伝えるYouTubeチャンネルの設置とリモートドラムレッスンを開始。
対面&リモートドラムレッスンのお問い合わせ:maseeetadrums@gmail.com

■広瀬隆史 Profile

1993年香川県生まれ。4歳でエレクトーンを始め、中学3年の時にレッドホットチリペッパーズやマキシマム ザ ホルモンと出会い音楽家を志す。ベースのかっこよさに惹かれ高校卒業と同時に上京する。専門学校ミューズ音楽院で4年間研鑽を積むうちにファンクやR&Bに傾倒。2019年渡米後、ゴスペルシンガーのリチャード・ハートリー司教のHaven International Ministries教会にてゴスペルを毎週日曜に演奏している。現在もNY Brooklynに滞在中(6年
目)
Instagram: @takashi_bassss

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