【インタビュー】LEEVELLES、新体制への決意とアニメ『この恋で鼻血を止めて』オープニング曲を語る「未来の話を一緒に」

新体制になったLEEVELLESが4月4日、2025年第1弾楽曲にして7thデジタルシングル「Brand New Day」をリリースした。TVアニメ『この恋で鼻血を止めて』のオープニングテーマとして書き下ろした同曲は、“使い古した毎日も君となら特別な今日だ”と歌うアップテンポかつアンセミックなロックナンバーだ。EDMにインスパイアされたシンセオリエンテッドな音像の中で熱を放つバンドサウンドと前述の歌詞のパンチラインを聴くかぎり、「Brand New Day」が今後、彼らのライブにおいて重要な曲になることは、まず間違いない。
新曲をリリースするたび、バンドの成長を楽曲に刻み込むLEEVELLESは今回、どんな風に曲作りに取り組んだのか、メンバー3人に語ってもらうことがこのインタビューの主たる目的だが、その話の前に、病気の治療に専念するため3月に髙木皓平(Dr, Cho)が脱退したことをどう受け止めているのか尋ねたところ、3人は新しいLEEVELLESとして、これまでのLEEVELLESを超えるようなものを作っていこうと決意するまでの気持ちの変化を包み隠さずに話してくれた。
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■解散っていう言葉はまったく出てこなくて
■結束がさらに強くなったと思います
──もちろん、今現在はすでに前向きな気持ちではあると思うんですけど、LEEVELLESが3人になるとなったとき、今後、どんな風にバンドに取り組んでいくのか、改めて話し合ったり、考え方を擦り合わせたりしたんでしょうか?
小川紘輔(Vo, G, Pf):はい。僕ら3人はもちろんですけど、スタッフも交え、話し合いをさせてもらいました。打撃と言えば、けっこうな打撃じゃないですか。ドラマーがやめるって。寂しいって思いはもちろんあるし、これまで4人で一つの運命共同体というか、一つの生命体みたいな気持ちでやってきたものが、突然1人抜けて新しい形になるって、正直なことを言うと、怖かったです。これまでやってきたものが崩れちゃうようで。ただ、その先に、この3人でしかできないことっていうのもあると思えたんですよね。確かに髙木さんがやめたことはピンチではあるんですけど、それを逆に、バンドにとってチャンスに変えられる3人だと僕は思っているんですよ。これからのプレイについても話し合っているんですけど、「それぞれのキャラクターをもっと出していこう」とか「感情をもっと音に乗せてみよう」とか。それはSNSの使い方にも言えるんですけど、これまでできなかったことが逆にできるのかなってところで、ピンチをチャンスに変えて、これまでのLEEVELLESはLEEVELLESとして、これからは新しいLEEVELLESとして、これまでのLEEVELLESを超えるようなものを作っていこうという話はずっとしています。
川﨑純(G, Cho):本当に、「これからどうする?」ってところから話を始めたんですけど、それぞれの原点を、それぞれに見直したきっかけにもなったのかな。お陰で、やっていきたいことというのがさらに明確化されたところもあると思います。
小川:そうだね。解像度は上がったかもしれない。活動する上で、どんなふうにやっていったほうがより確度高くできるのかってところが。ただ、やっぱり考えるじゃないですか、ネガティヴなことも。たとえば、解散を考えるバンドもいると思うんですよ、メンバーが抜けることで。でも、この3人においては、解散っていう言葉はまったく出てこなくて。

▲小川紘輔(Vo, G, Pf)
──うんうん。
小川:「だったら、どうしていこうか」って、すぐに未来の話ができたのはすごくよかったと思います。
宮地正明(B, Cho):結果として、結束がさらに強くなったと思います。
川﨑:髙木さんからも「頑張ってほしい」って言われたので、頑張ろうって思いましたし。
──なるほどなるほど。わかりました。では、早速、新曲「Brand New Day」について聞かせてほしいんですけど、この曲は「テレビアニメ『この恋を鼻血で止めて』のオープニングテーマをお願いします」というオファーがあってから作り始めたんですか?
小川:そうです。「作品に寄り添ってほしい」というリクエストをいただいてから作りました。
──『この恋で鼻血を止めて』というタイトルを聞いたとき、どんな作品なんだと思いましたか(笑)?
小川:確かに(笑)。かなりインパクトがあるタイトルですよね。最初は何のこっちゃでしたけど、もともと中国で公開されていた作品なんですよ。だから、中国語のアニメを日本語の台本と付け合せながら見せていただいたら、“なるほど。そういうふうに話が進んでいくんだ”ってわかってきて。それに似合うような曲を、LEEVELLESのイメージを崩さないように作り上げようと思ってできたのが今回の「Brand New Day」なんです。
──似合うような、というところでは、どんな曲にしようと考えたんですか?
川﨑:ポップでアップテンポっていうのはあったよね?
小川:そうだね。アップテンポはマストな条件でした、僕らの中では。かつ明るい曲がいいんだろうなっていう。アニメを見ながら、“4つ打ちが合う”っていうアイデアが僕の中であって。あと、空を駆け抜けるシーンがあるので、そういう広いというか、開けた感じも欲しいと思いました。だから、開けた感じと4つ打ちで盛り上がる感じ。ただ、僕らとしてはそれを明るすぎないようにしたかったんですよ。

▲川﨑純(G, Cho)
──ところで、これまでLEEVELLESはメンバー全員で共作していましたが、今回は作詞・作曲のクレジットは、ともに小川さんひとりになっています。小川さんがイニシアティヴを取っていたということだと思うんですけど、なぜ、今回はそういう作り方になったんでしょうか?
小川:実は、これまでも本当に全員でイーブンで作っていたかというと、そうではなかったんですよ。原曲をゼロイチで作ったメンバーが責任を持って、アレンジャーさんも含め、他のメンバーと一緒に作り上げるという風にやってきていて。それを“作詞・作曲:LEEVELLES”とクレジットしてきたんです。ただ、個人名を出すことで、“これはこのメンバーの曲なんだ”っていうことがわかった方が、聴いてくれる側もその個人の色が見えていいんじゃないかと。それで、今回からそうしてみたんです。
──じゃあ、小川さんがゼロイチを作って、そこに川崎さんと宮地さんがアイデアを加えていった?
川﨑:もちろん「こうしてみたら」という意見は伝えましたけど、最終的に、どうするかってところでは、これまでで一番(小川)紘輔君が完成させたと言える曲ではあるのかな。
小川:「花占い」とか「幸福のすゝめ」とか、それぐらいからアレンジャーさんとコミュニケーションを取りながら、“こういう風にしたい”と考えたものがちゃんと形になってきて。今回、それをちゃんと聴いてくれる人にもわかるようにしたという感じですね。
──どこかのタイミングで小川さんは自分がバンドを引っ張っていかなきゃいけないと思ったんですか?
小川:それはずっと思ってました、実は。2023年8月にメジャーデビューしたぐらいから、心境の変化がたくさんあったんですけど、“LEEVELLESの紘輔じゃなくて、小川紘輔がいるLEEVELLESにしたい”って僕は思っているんですよ。ボーカリストとしてバンドのフロントに立つ以上、そういう世界観をLEEVELLESという仲間と一緒に作り上げていきたいっていう思いがやっぱり強くて。そのためには自分が引っ張っていかないと、説得力はないし、そういう気持ちはきっと楽曲にも乗ると思うんですよね。

▲宮地正明(B, Cho)
──そうか。いや、インタビューをさせてもらうたびに小川さんの中で、そういう気持ちの変化と言うか、バンドを引っ張っていかなきゃという気持ちがどんどん大きくなってきているんじゃないかって感じていたんです。2023年3月に「Step&Step!」をリリースしたタイミングで、初めてインタビューさせてもらった時はけっこう控えめでしたよね(笑)?
小川:そうでした(笑)。初めて尽くしで、どうしたらいいかわからなかったんです。でも、「ヨルヲカケル」以降、やっぱりメジャーデビューしたバンドとして戦っていかないと、ファンの方に失礼だし、他のバンドにも失礼だし、楽曲にも失礼だし、協力してくれる人にも失礼だなと思って。言ったら、バンドにおいて主役みたいなものじゃないですか、ボーカリストって。それが堂々としてなくてどうするって、その気持ちをちょっとずつ出せるようになってきたって感じです。
川﨑:変わったなって思いますよ。もちろん、徐々に徐々にではあったと思うんですけど、いい方向に変わっていく人間と普段から一緒に過ごせるっていうのは楽しいですよね。僕も刺激を受けますから。さっき「小川紘輔がいるLEEVELLESにしたい」って言ってましたけど、それは宮地も僕も変わらないんです。バンドを引っ張っていきたいという気持ちは同じくらい持っているので、そういう意味でも、いいボーカリストだと思います。もちろん、変わらないことが悪いことだとは思わないし、“絶対に変わらずこれで”って、ずっとそのままいく人もいらっしゃると思うんですけど、個人的には変化していく人が好きなので、自分がやっているバンドのボーカリストがそういう人であるのはいいなって思いながら、日々一緒に音楽をやってます。
宮地:そういう風にやっていきたいっていう紘輔の思いは聞いていたんですけど、目に見えて強くなっていっていると言うか、カッコよくなっていってるのを横で見ていると、やっぱりテンションが上がりますよね。
小川:うれしいんだけど(笑)。
宮地:ライブも自分達のラジオも、その一個一個がちゃんとレベルアップしていっているように見えて、“俺もレベルアップしないと”ってずっと思ってます。
──なるほど。楽曲のクレジットの裏には、そんな変化があったわけですね。
小川:はい。