【インタビュー】BRAHMAN、TOSHI-LOWが語る7年ぶりアルバム『viraha』と生と死と「歌にして乗り越えてきたんだと思う」

2025.02.21 21:00

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■バンドが止まったことは一回もない
■音楽の面白さがわかってきた、それがご褒美

──10曲目「笛吹かぬとも踊る」は、「知らぬ存ぜぬ」と通じる示唆的な歌詞です。知らん振りをせず、誰かに指示されるのでなく、自ら動けということでしょうか?

TOSHI-LOW:みんな、待ちすぎだよね。何かにとらわれているんだろうね。

──“かすれた嘆き声 君呼ぶよ 聞こえる”という一節に、聞こえるけど動けない時もあるけど、それでも動こうという意志を感じます。

TOSHI-LOW:声が聞こえても動かなかったら、何もしたくないという自分に気づけばいいんだよ。啓発的っていうよりも、どれだけ己を知るかっていうことで。“俺ってクールなんだな”と思うか“冷てえ人間だな”と思うか。頭と身体は別個じゃないと思ってるから。そうしてるってことは、そういう人間だってことだよね。たとえば、「ボランティアやりたいんです」みたいのがすごいくるんだけど、“やってないってことは何なの? いくらだってやれるじゃん”って。“「連れてってください」じゃないよね、俺たちとじゃなくてもやれるし。だから、そもそもそういう人間じゃないんだよ”って。“後ろめたいから、俺と話してる時にそういうこと言うんでしょ”って。そんなの必要ないし、ボランティアをやってるかやってないかで俺は別に人間を判断しないし。だって、いろいろな人がいるんだから。逆に言えば、ボランティアがいいと思ってないんだよ。ボランティアがいいと思って喋ってくるやつも嫌いだしね。自分で判断するべき部分を人に頼ってることに腹が立つっていうだけの話で。ぴんときたら動きゃいいし、心の動きに上手く反応するっていうのが自分の身体だし、生き方だと思うから。そのバランスが取れないから、頭でっかちの病気になっていくってのが多いんじゃない? もっと身体を動かせば解決することがいっぱいあるんじゃないかな。

──肝に銘じておきます。

TOSHI-LOW:いや、銘じないでいいよ(笑)。あなたに向かって言ってるわけではないから。

──最後の「WASTE」は細美武士さんとの共作ですが、どのようにできた曲でしょうか。

TOSHI-LOW:これは曲の旋律が決まった時に、英詞にしたいなと思って。いつもみたいな感じでコーラス参加してもらうのもいいんだけど、どうせコーラスしてもらうんだったら、作るところから一緒にやったらいいんじゃないかなと。それで細美に相談して、「こういう意味の英語の歌詞を書きたい」ってテーマをできるだけたくさん伝えて、それを英詞にしてもらったんだよ。そうすると、たぶん本人もコーラスしやすい歌詞にしてくるだろうからっていうのもあって共作したという感じ。

──歌も二人で歌ったわけですね。

TOSHI-LOW:この曲は下のパートも地味に入ってて、ずっと二人で歌ってるんだよ。「最後の少年」もそうだけど、メロディがある時に上手くやるにはどうするかが自分たちの課題だったんだけど、もはや自分が歌って欲しいと思う人に歌ってもらえばいいじゃんって思ってるから。ただ、歌える人はいくらでもいるけど、作品となると、自分と同じレベルで血が通ってる人じゃないと嫌で。この二人のヴォーカルに関しては、俺が好きというのもあるし、通じるものがあるし、世の中の“仲良しだよね”というレベル以上の話ができる人たちだから、とても良かった。

──「曲が良くなるんだったら、自分が歌わなくてもいい」という発言が最初のほうにありましたが、まさにそれですね。

TOSHI-LOW:全曲、細美武士が歌えば良かったなって(笑)、それでもいいくらい。逆に言えば、どこまでいっても自分だからっていう繋がりが、すごくあるからだと思う。

──そうした関係性も加えた30周年にふさわしい作品だと思います。

TOSHI-LOW:あまり節目みたいなことは考えてないけどね、アルバムに関しては。ただ、なんでもそうだけど、自分たちの節目の中で新しい道具を持っていけるのは、自分たちとしても楽しみなことだから。30年…この先、その倍はできないよね。あと10年…それも約束できない。でもその中で、新鮮な気持ちで新たなものを作れるかは自分たち次第だと思う。デモを作ることで一つ新鮮になるならそれでいいと思うし。まだ残されてること、やってないことがいっぱいある。普通のバンドだったらやってることでも、自分たちはやってないことがいっぱいあるから(笑)。

──30年を振り返ると、海外での活動やOAUも含め、BRAHMANにしかできないことがたくさんあったと思います。

TOSHI-LOW:自分たちにしかできないことをやったのか、そこしかなかったのか…その言い方は違うか。成功論がちゃんとしてるバンドなら、そこに理論があるんだよ。たとえば、こういう時代だから、こういう音楽だとかこういうキャラだとか。俺たちにそれは当てはまらない。だから、俺らのフォロワーみたいなバンドもいないし、そもそも同じようなバンドもいない。そこに何も見当たらないけど、30年やれた。さっき言ったように、人が「こうやったらこうなるよ」って言うことと、全然違うことをやってきただけ。それこそ嗅覚とか本能でね。フローチャートみたいのがあったとして、「これでいつ終わってもいいんじゃない?」っていうのがずっと続いてる。だから緊張感はずっとあったし。

──なるほど。

TOSHI-LOW:「30周年を迎えられた秘訣はなんですか?」みたいな質問があるとするなら、逆に教えてもらいたいくらい。本当に何もない。良く言えば唯一無二って言ってくれてるけど、悪く言えば隙間産業みたいなもんじゃないかな。敵がいなかっただけ。餌が豊富にあるところに生きてるやつは逆に自分も食われるけど、深海魚は餌も少ない場所にいて、ずっと生きてる。俺らはどちらかと言うと、深海気味の中間くらいにいる生物みたいな(笑)。

──30年でアルバム7作目。決して多くはないですが、BRAHMANにとってアルバムを作るタイミングというのは、どういう時なんでしょう?

TOSHI-LOW:そんな数だと「もうレコード会社にいられなくなるよ」ってスタッフに言われた時。「もう庇えないよ」と言われたこともあるから(笑)。さすがに7年は無理じゃないかなって、社会常識のない俺でも思うもん(笑)。

──ははは。

TOSHI-LOW:でも俺たちは、バンドが止まったことは一回もないんだよ。自分たちとして誇れることがあるとしたら、同じメンバーで全く違うバンドをやれた人たちってほとんどいないと思うから、OAUの存在もデカい。奇しくも30年で、音楽がちょっとできるようになった。みんな音楽の面白さがわかってきた。やってることは、バンドだったんだよ。バンドっていうジャンル、音楽じゃなくてね。メンバーもみんな50歳とかになって、今、音楽が面白いと思えるようになったことが、すごいご褒美だなと思う。残された自分たちのバンド人生の余生があるとすれば、音楽を楽しみ尽くす。それが新しい作品になっていくのか、ライヴをどういう風にやっていくということなのか。BRAHMANもあるしOAUもあるし、とってもふくよかで幸せだと思ってる。

──音楽の楽しさを発見したというのは、以前のOAU取材の時にもおっしゃっていました。それがBRAHMANに共鳴しているというか、いい影響をもたらしているんでしょうね。

TOSHI-LOW:OAUがなかったら、楽器を家で弾くっていうことがなかっただろうな。今は楽器を弾いてて楽しいし、自然と毎日何かを弾いてたりするし。結局、無理なことはやってないんだよね。好きなものが嫌いにならなくて良かったなと思う。

──音楽がずっと好きだったと。

TOSHI-LOW:そこが曖昧だったんだよね。バンドっていうものが好きだったから。だけど、音楽に憧れてたんだろうなっていうのが今でもあって。だって、バンド以外の音楽も好きなんだから。そういえばこの間、スナックで歌ったら、そこのママから「歌、上手い!」って褒められて、すごく嬉しかった。浅草三社祭でヤクザとかがバンバン来るスナックだったんだけど、“すごいところで歌ってるな”って思いながら、“一芸があるって身を助けるもんだな”って。もうひとつ嬉しかったのが、指のない客人が「さっきのはなんていう曲?」って聞いてきて、「今夜」(BRAHMAN)と「帰り道」(OAU)をメモって帰っていったの、「いい曲だね」って。やったー!と思ったよ(笑)。

取材・文◎今井智子
撮影◎TOYO

■7thオリジナルアルバム『viraha』

2025年2月26日(水)発売
予約リンク:https://brahman.lnk.to/viraha

【完全生産限定盤(CD+2DVD+GOODS)】
PPTF-8168~8170 22.000円 (税込)
※TOY’S STORE限定販売作品
▼豪華BOX仕様
・ニューアルバムCD
・2DVD
 Disc1:六梵全書 Six full albums of all songs Documentary
 Disc2:30th Anniversary Best Live Selection
・プレミアムボックス
・30周年記念写真集 (2015-2024) 184P / カメラマン:三吉ツカサ (Showcase)
・30周年記念トリプルコラボレーションTシャツ
 〜BRAHMAN × 河村康輔 × KEIICHI IWATA (7STARS DESIGN) × VIRGOwearworks〜
・30周年記念メダル


▲完全生産限定盤


▲通常盤

【初回生産限定盤(CD+2DVD)】
TFCC-81117~81118 4.400円 (税込)
・ニューアルバムCD
・2DVD
 Disc1:六梵全書 Six full albums of all songs Documentary
 Disc2:30th Anniversary Best Live Selection
【初回仕様通常盤(CD)】
TFCC-81120 3.300円 (税込)
・ニューアルバムCD

▼CD収録曲
1. 順風満帆
2. 恒星天
3. 春を待つ人
4. charon
5. SURVIVOR’S GUILT
6. Slow Dance
7. Ace Of Spades
8. 知らぬ存ぜぬ
9. 最後の少年
10. 笛吹かぬとも踊る
11. WASTE

●店舗購入特典
各特典の対象店舗および詳細は下記にて
https://www.toysfactory.co.jp/artist/brahman/news/detail/6247

▼「charon」先行配信
2025年2月7日(金)配信開始
配信リンク:https://brahman.lnk.to/charon

■<BRAHMAN tour viraha>

3月18日 神奈川・川崎CLUB CITTA’
guest:ANGER FLARES
3月23日 新潟 LOTS
guest:サンキュー
3月25日 石川・金沢Eight Hall
guest:アダムとイヴ
3月29日 青森 QUARTER
guest:kallaqri
3月30日 岩手・盛岡CLUB CHANGE WAVE
guest:locofrank
4月05日 宮城・仙台RENSA
guest:GREAT INVADERS
4月11日 京都 磔磔
guest:KiM
4月13日 兵庫・神戸Harbor Studio
guest:EGG BRAIN
4月15日 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
guest:HAWAIIAN6
4月17日 島根・出雲APPOLO
guest:A.S.S.
4月19日 香川・高松MONSTER
guest:The Dahlia
4月20日 愛媛・松山W studio RED
guest:LEARNER BOYS
4月22日 岐阜・CLUB ROOTS
guest:DUB 4 REASON
5月22日 愛知・名古屋DIAMOND HALL
guest:九狼吽
5月24日 大阪 Namba Hatch
guest:bacho
5月25日 広島 CLUB QUATRO
guest:キュウソネコカミ
5月28日 北海道・旭川CASINO DRIVE
guest:SLANG
5月30日 北海道・札幌PENNY LANE 24
guest:THE KNOCKERS
5月31日 北海道・小樽GOLD STONE
guest:花男
6月05日 福岡 DRUM LOGOS
guest:惡AI意
6月07日 熊本 B.9 V1
guest:BUILD
6月08日 鹿児島 CAPARVO HALL
guest:THE FOREVER YOUNG
6月12日 東京 Zepp Haneda
guest:HAT TRICKERS
6月19日 栃木・宇都宮HEAVENS ROCK VJ-2
guest:SHADOWS
6月21日 福島・郡山HIPSHOT JAPAN
guest:The BONEZ
6月27日 静岡 Livehouse浜松窓枠
guest:BEYOND HATE
7月04日 山梨・甲府CONVICTION
guest:LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS
7月12日 沖縄・桜坂セントラル
guest:かりゆし58

■<尽未来祭2025>

11月22日(土) 千葉・幕張メッセ国際展示場9-11ホール
11月23日(日) 千葉・幕張メッセ国際展示場9-11ホール
11月24日(月/振休) 千葉・幕張メッセ国際展示場9-11ホール

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