【ライブレポート】甘党男子が9周年で“究極”フルコースを披露

2026.05.09 18:00

Share

“ワールドスイーツトレンドアイドル!”をコンセプトに掲げる6人組ボーイズグループ・甘党男子。彼らの結成9周年を祝う記念ライブ<甘党男子9極フルコース>が、4月25日に東京・浅草公会堂で開催された。

「日本国民の総人口1億2330万人にお菓子を配る」という途方もない目標を掲げ、一人ひとりに直接お菓子を手渡す活動を重ねてきた彼ら。その先にある真の目的地とは、一体どこなのだろうか。日本武道館にお菓子を降らせることか、それともスイーツを通してたくさんの人を笑顔にさせることなのか、あるいはさらに大きな野望があるのか──。

会場となった浅草公会堂は、歌舞伎や演劇の伝統であり、浅草ゆかりの芸能人の手形がある「スターの広場」が有名な観光地のど真ん中。和菓子の聖地でもあるこの地で、彼らは本公演に先駆けて浅草の和菓子店やスイーツ店、カフェなどの10店舗で“一日店員活動”を行うなど、地道な地域密着活動も行ってきた。そんな彼らが、歴史ある浅草の地でどのようなステージを繰り広げたのか、ここにレポートしたい。

2017年に“スイーツが好き”という純粋な共通点から始まった『第6回 甘党男子 スイーツ&スマイル コンテスト』のファイナリストで結成された同グループは、メンバーチェンジを経て、今年の4月23日に結成9周年という大きな節目を迎えた。本公演は、9周年にちなんだ“9極(究極)”のメニューを堪能できるという、甘党男子らしさが詰まった唯一無二の構成。客席を埋め尽くしたシュガー(ファンの呼称)たちは、夢のような究極のフルコースへと誘われていった。

開場中、ウェルカムお菓子を手に席につくシュガーたち。推しカラーを纏った客席のシュガーのなかには、開演を待ち侘びる微笑ましいファミリーの姿も見られ、配られたお菓子には、それぞれにこの日を迎えた特別な思い出があるように見受けられた。

定刻を過ぎ、流れ出したオープニング映像とともに「甘党カフェ」の限定復活が告げられると、場内は一気に歓喜に包まれた。「せーの、いらっしゃいませ!」の掛け声を合図に、映像でのメンバー紹介が順番に流れた。場内からはどっと悲鳴にも似た大きな歓声と拍手が湧き上がり、色とりどりのサイリウムが鮮やかに大きく揺れ動いた。

ステージに現れたのは、この日の“執事長”を務める石塚利彦。「本日はご来場いただき、誠にありがとうございます。9年前、開業いたしました甘党カフェ。惜しまれつつも幕を閉じていましたが、本日……甘党男子9周年を記念して、一夜限りの復活を致します!」と、凛とした挨拶を終え自己紹介に移ると、「わたくし本日の(噛みながら)執事長を務める…」と大事な場面での痛恨の噛みにシュガーが甘く微笑む一幕もあった。続いて「本日のキャストを紹介したいと思います!」と仕切り直し、二ノ宮一馬、成瀬敦志、神久保翔也、菅井明久、三上義貴をステージ前方の花道に迎え入れると、ふたたび大きな歓声が沸き起こる。

さらに「皆さんの声や選択によって、本日のストーリーが…メニューが変わってまいります。なので、皆さんの声がとても必要になります」と石塚が本公演の説明を続けると、WOWOWプラスの収録が入っている緊張からなのか「スイーツに(噛みながら)シュガーが必要なように…」と再びモゴモゴとする姿に会場から笑顔が溢れた。シュガーとメンバーからは温かいツッコミが入り、「ちょっと本当にごめんなさい!」と茶目っけたっぷりに謝る石塚に、場内からは終始幸せな笑顔が絶えなかった。

そんな予想外な展開も余興となり、「みなさまで一緒に当カフェを復活させなければなりません!」と石塚。「行けますか? それでは、みなさま“せーの”といったら“いただきます!”の声いただけますでしょうか?」と声をはりあげ、大きな「いただきまーす!」のコール&レスポンスをなんども何度も響かせた。メンバーとのやり取りも何もかもが微笑ましく、甘いスイーツを口にした時のようなステージの全体の雰囲気には、シュガーとの絆がたっぷりと感じられた。

逆光がステージを真っ白に染め上げるなか、「甘党カフェ、オープン!」の声が響き渡ると、フルコースの幕開けにふさわしいオープニングナンバー「いただきます」が披露され、会場の熱量は一気に沸点へと達した。序盤の余興を鮮やかに塗り替えるように、目まぐるしく変化する6人のフォーメーションダンス。その息の合った躍動感に、観客の胸は高鳴るばかりだった。魔法の粉をスイーツにふりかけるかの如く、シュガーたちのメンバーを呼ぶコールが重なり合い、完璧なスタート。

甘党カフェのレイアウトを担当した三上が「どうですか、どうですか? みなさん、この感じ懐かしくないですか?」とにこやかに過去の衣装がズラリと並んだステージを見上げる。そこには歴代の衣装がズラリと並び、傍らには無造作に積まれた段ボール。これまでの軌跡と、これから始まる未知のステージへの期待が交差する空間が広がっていた。

神久保が「全国お菓子配りアイドル・甘党男子。皆さんに少しでも笑顔になっていただきたいなと思いまして、全国各地を周りながらお菓子配りをして、そしてスイーツのライブをしてハッピーを届けようとやっております」と改めてグループの指針を語ると、その後もメンバーの紹介のセクションとコールを挟んで初っ端からヴォルテージは最高潮。

「わたくし、温かいスイーツ担当でございます。菓子パン大好き、菅井明久です。あきちゃんって呼んでください!」とシュガーに呼びかけると、「あっきー!」と呼ばれる定番の流れで、「ズコー!」と笑いを誘ったり、元気なハイトーンヴォイスの成瀬が「は〜い! 甘党カフェの冷たいスイーツ担当のあっしーです。あっしーと呼んでください」と声を張り上げたり、それぞれのキャラを活かした紹介を見せる。最後はリーダー・二ノ宮が「ナイスキャンディー」コールで沸かせた。それぞれの担当を紹介する度に、会場は大盛り上がりだった。

紹介を終えると、「まずは冷たいから行ってみよう! 心を爽やかにして」との合図で冷たいスイーツのセクションへ。しかし、突如として赤いライトが点滅し、緊迫感のある雰囲気のステージにドライアイスが激しく吹きだした。これはハプニングか、それとも演出なのか。劇中劇がはじまると、冷たいスイーツ担当の成瀬が「ごめんちょっと、確認してくる!」と煙の様子を見にステージ袖へ。慌てて戻ってきた成瀬が「みんな〜、大変だ〜! 冷蔵庫が壊れた! これじゃ冷たいスイーツが出せないよ!」と叫ぶと、そこから甘党男子ならではのエンタメ性に満ちたステージが幕を開けた。

このピンチ(?)を鮮やかに救ったのは、菅井だった。「ちょっと、待って! さっき、クッキーを仕込んでたの忘れてた! 静かにしてて、みんな!」と観客の目を引くと、《シー・オー・オー・ケー・アイ・イー》のコールを促す。そう、中毒性のあるリズムが心地よい「COOKIE」だ。陽気なリズムが会場に弾み、シュガーの声も次第に大きくなると「それでは、ミュージック・スタート!」の掛け声でボルテージを徐々にあげ大きなスモークが吹き出すステージに歌詞にあわせたクッキーダンスや、歯ごたえが“命”のポーズまでアップテンポなナンバーにあわせステージを駆け回る。お祭り騒ぎムードでトラブルを乗り切ると、曲が終わる頃には見事なまでにシュガーとの一体感が生まれていた。

続いて人差し指で「1」の指を差し出すと「ぽちっ」と可愛らしいナンバー「プリン」がスタート。オノマトペのように響く《ぷりん ぷりん》。そのプリンが揺れるような音に煽りを効かせ、「いただきます」とファンと声を揃え、ステージはヒートアップ。菅井と三上、神久保と二ノ宮、神久保と石塚が仲睦まじく手を取り合ったフォーメーションで甘党男子ワールドをさらに拡充していった。

さらにこの流れに畳み掛けるように「シェイク!シェイク!」の掛け声からみんなでシェイキングダンスの時間がスタート。ライブの勢いは止まらない。ここで大活躍したのが、序盤のMCで触れられていた片付いていない段ボール。実はこれ、メンバーの身長を超えるほど巨大な手作りのミキサーと本楽曲に使用する小道具だったのだ。「シェイク」では、メンバーたちが次々とミキサーに段ボールに描かれた食材を投げ入れ、ステージ全体を縦横無尽に活用したパフォーマンスを展開。ミキサーに夢を託すようなドリーミンな世界観は、どこまでもメルヘンチックで愛らしかった。そしてラストには、シェイクを飲み干した水色の水筒を一斉にステージへ放り投げるという、インパクト抜群のパフォーマンスで会場を沸かせた。

浅草公会堂の舞台を充分に活かしたステージは、レイアウト担当の三上の腕が光るところだろう。周年を盛り上げようとする気概が序盤から力強く感じとれる構成だった。楽曲を終えて「そんなすぐ冷蔵庫直るのかな?」と、ぼそっと口にしたメンバーのつぶやきに、三上が「甘党男子、こういう時空で生きてます」と呟いたのも微笑ましかったが、あっという間にノリが良いビートを響かせながら甘党男子は浅草公会堂をスイーツワールドへと変身させていた。

そして温かいスイーツに行くのかと思いきや、何やらサイレンの音が鳴ると、流れをぶった斬って、石井が「その前に、サプライズケーキがありま〜す!」と宣言。「BIRTHDAY CAKE」のラップが入り乱れ、アゲアゲな空間に悲鳴があがる。演出にあわせ、途中で甘党男子のライブではお馴染みともなったサプライズゲスト、石塚とコンビを組む芸人「ひよしなかよし」のねんねんが登場した。舞台には9周年を祝おうとワゴンでケーキが運ばれ、ねんねんがケーキを手に持ち「スリー・ツー・ワン」のカウントで神久保が一糸乱れぬクールな表情で顔面ケーキを受け止める一幕もあった。甘党男子はアイドル活動以外にも多彩な面を持ち、その個性が輝くのもステージの面白いところ。芸人をはじめ、モデル・俳優・タレントなど、それぞれのキャラを発揮させ、この日も全員が全力でステージにその力をぶつけていた。

そして本編に戻ると、数年ぶりに披露され、シュガーに大きな衝撃を与えた楽曲が披露された。甘い恋愛模様をスイーツに落とし込んだ「クレープ」だ。イントロからの大反響を受けながら、暖かいスイーツが優しく提供される。鳥肌が立つような雰囲気からさらにシュガーとコールで作り上げた王道の「ショートケーキ」、二ノ宮、 三上、成瀬が歌のバトンが見事に連携される歌い出しが印象的な「フィナンシェ」は、バターが溶けて甘さが広げるような甘党男子らしい宇宙を感じさせる楽曲が素晴らしいコースを演出した。

冷たいスイーツ、温かいスイーツ計6品が次々と供され、リーダーの二ノ宮が「ご堪能いただけてますでしょうか?」と客席へ問いかける。コースはいよいよ、この日の目玉であるメインディッシュ(7品目)へ。この7品目は、観客の選択によって披露される楽曲が変わるという、文字通りのメインディッシュ。来場時に配られた冊子には紅白の用紙が封入されており、シュガーたちは「パルフェ」か「さくらロール」か、いずれか一曲にその一票を投じるスタイルだ。提案された2曲のうち、聴けるのはどちらか一方のみ。シュガーたちにとって、これほど酷で贅沢な“究極の選択”はない。成瀬が「せーので上げてね。それではどちらのコースが良いか?!」と煽り、三上が「せーの、ドーン!」と声をあげると、石井が「皆様が選んだコースになりますので皆様準備はいいですか?」と煽りステージの客電が落ちた。

次の楽曲は「パルフェ」。イントロが流れると同時に、メンバーがステージ中央で円陣を組む。そこには、これまでの賑やかなお祭り騒ぎとは一変、一気に引き込まれるような幻想的な空気が満ちていた。成瀬と菅井の透明感あふれる高らかなハーモニーが重なり、会場の熱量は静かに、けれど確実に一つへと溶け合っていく。ラストは石塚が魂を揺さぶるようなロングトーンを響かせ、気高くも立派な「パルフェ」が描き出された。

ライブ終盤のMCでは三上が「いろんな思い出が重なる曲たちで9年さらに前の活動から見たらプラス2年応援ありがとう」とこれまでを振り返る。石塚も「長いようで早いし早いようで長い」と懸命に頑張ってきた9年間を振り返り、さらに後半戦が火蓋を切った。二ノ宮が「欠かせないこのスイーツを持ってきました。みんなと作るこの曲が大好きだ!」とラストに「キャンディ」を披露。疾走感のあるメロディとシュガーの掛け声、さらには推しカラーに包まれてラストはリーダーを中心にみんな立ち膝で忠誠を誓う姿が胸に焼きついた。そしてシュガーの大きな《愛してる》の声が会場に大きく響いた。

MCでは喉の調子を悪くしていた二ノ宮がメンバーに「おかえりなさい」と歓迎された。二ノ宮は「喉の調子は良くなって、みんなに会いたい一心で頑張ったので、これから頑張ります。今もこの6人でステージに立てることが嬉しいよね。環境だったり、変わったけど、今日この日を迎えられたのは嬉しい」と素直に語り、観客から温かい拍手で迎え入れられていた。

アンコールでは「この1年、10年やなことをこの曲が吹き飛ばしますんで!」と菅井が意気込んだ「食パン」を披露。《朝ごはんには》《焼いても美味しい》に食パンの掛け合いが最高潮! 手拍子にあわせて(なぜかメンバーの等身大パネル裏から出てきた)マイクスタンド片手にヘッドバンしたり、盆踊りの曲調に転じた2番では目まぐるしい楽曲展開でアイドル性の高いパフォーマンスとキレの良い元気なダンスを見せた。

そして「この後なんですけど、皆さん食パンというお土産もらいましたけど、このままお菓子配りします!」と恒例のお菓子配りタイムで会場中をメンバーが手分けしてお菓子を配っていった。準備のあいだ告知の映像が流れ、メンバーは新曲の衣装にチェンジして再びステージに登場。石塚が「アンコールありがとうございます。最後まで盛り上がっていきましょう!」と高鳴る恋心を隠しきれない「杏仁ソフト」でヒートアップ、ラストは全員でポーズを決め、三上が「真っ白なホワイトデーにしよう」と「マシマロ」でみんな笑顔でジャンプで締め括った。菅井は「MV衣装「チョコレート」でタキシードを着て、2つ目のサビをみんなで歌ってるところから甘党男子始まるんだな」と実感したと話していた。

それぞれの楽曲と衣装が9年間を彩りながら、成瀬による新曲の答え合わせの時間に突入。「新曲やりまーす! 皆さんに新曲のヒントは当たってます(与えてます)」といい、シュガーは見事に新曲タイトルを当て、新曲「大福」に移った。“大福コール”でボルテージを最高潮に上げ、もちもちとステージを縦横無尽に駆け巡る。

さらに9周年の特別なサプライズは続き、「選んでもらったスイーツがバックヤードにあるのでお出しします!」と先ほどの投票で選ばれなかったまさかの「さくらロール」も披露された。舞い落ちる桜の中、10年目へと向かう彼らの背中を、ピンク色の光が美しく照らしていた。出会いや別れ、これまでを包み込むようなナンバーを歌い終えると、二ノ宮が達成感に満ちた笑顔を見せた。四季折々、9年の歴史、色とりどりの時間がシュガーとメンバーの間には流れていることだろう。綺麗なファルセットが響くなか、手を繋いで桜の花が舞うステージをかけていくようなフォーメーションのダンスがなんともエモかった。三上は楽曲の最後で「10年目の甘党男子も宜しくお願いします!」と力強く締め括った。

そしてMCでは、甘党男子は5月から7月までツアーをまわり各地にこの「甘党カフェ」を復活させること、メインディッシュが選べるスタイルやメンバーコーナーもあるということが告られた。今後に大きな期待を寄せていく中、「12月2日のホール来てくれますか?」「いいとも」と年末の告知も。

ライブの最後はアゲアゲのコールが響く「シュークリーム」で締め括った。シュガーの大きな掛け声がなければ甘党男子の楽曲は成立しない。それくらいどの楽曲もシュガーの声は大きかった。「シュークリーム」でもラストまで大きなコールは続き、「ありがとうございました。一緒に大きいところ行きましょう。皆さん宜しくお願いします!」と特攻の金と銀テープが吹き出し、究極のフルコースを鮮やかに彩っていくと、二ノ宮はライブの最後に「最高の1日、9曲受け取ってもらえましたか? 周年で大きいところでやらせてもらえるのは嬉しい。今よいスタートがキレてると思うので、みんなが甘党男子を見れたら元気になるなと思ってもらえるようにこれからも頑張ります!」と話し、最後にシュガーの「ごちそうさまでした」で9周年ライブは大団円を迎えた。

もしかしたら、甘党男子というグループは一見お菓子を配るのが売りのエンタメ性の高いアイドルグループに見えるかもしれない。だが、今回のステージで感じたのは、それだけでは決してないということだ。シュガーと創り上げる楽曲はもちろんのこと、地道な活動も、手渡しでお菓子を配ることにも、一つひとつには大きな意味がある。お菓子を初めて受け取った人、毎回のように彼らを追いかけてお菓子を受け取っている人、いろいろな人がいるけれど、その人生に、一さじの甘い勇気をくれたこの日のライブは、きっと未来へつながっていくに違いない。10周年のさらなる野望を胸に甘党男子はどこまでも進み続ける。そして、純粋にひたむきにスイーツを愛し続ける。その運命共同体のような勇姿をこれからも見届けていきたいと感じた。

取材・文◎後藤千尋

◆甘党男子 オフィシャルサイト