【ライブレポート】超学生、<Reverb>ツアー完遂「広がって、反響して、残響が残っていくといいな」

2026.03.24 18:01

Share

超学生による<超学生 東名阪ツアー2026『Reverb』>のファイナル公演が3月22日に東京・Kanadevia Hallにて開催された。オフィシャルからのレポートを以下にお届けする。

◆ライブ写真

昨年は初のホールツアーの開催や初の野外フェス出演、ボカロPデビュー、自身作詞作曲曲を含む2ndフルアルバムのリリースなど、アーティストとしてのキャパシティを拡張した超学生。彼が2026年3月22日、東京・Kanadevia Hallにて「超学生 東名阪ツアー2026『Reverb』」のファイナル公演を迎えた。

ツアータイトルの“Reverb(リバーブ)”は壁や床、天井からの反射音、残響を意味する言葉で、音楽においては音に残響音や反射音を加えて空間的な深みや広がりを作るエフェクトのことを指す。ライブという場とも密接な言葉に、超学生の「音楽やアーティストが先へ進んでいく力は、個人の努力や才能だけではなく、見つけ、聴き、支え、広げてくれる皆さん一人ひとりの熱によって増幅される」という思いも込めて名付けられた。今ツアーはこれまで超学生が積み重ねてきたものを発展させた、つまり彼が表現してきたものに様々な角度から“Reverb”を掛けた空間と言っていいだろう。彼の目指す理想が提示されたことに加え、新たな物語の幕開けも示唆されていた。

赤い舞台幕の掛かるアンティーク風のステージには白い暖炉や蝋燭台などが置かれ、中央に赤いドレッサーが佇む。開演前に流れていたBGMのクラシックピアノは、シームレスにサポートメンバーの生演奏へ切り替わり、それと並行して会場も徐々に暗転した。そこにギターの音色が重なると他のバンドメンバーも登場し、ウッドベースやサックス奏者2名も交えたジャズセッションへとなだれ込む。ステージの上部からは白熱灯風の照明や格子状の窓枠も出現し、ますます華やかさが増すなか、ステージ中央奥からワインレッドのシャツに黒いスーツを纏った超学生が登場。ドレッサーの前でトレードマークである仮面を取り付け、鏡を覗き込んで身なりを整えてからステージのセンターに躍り出ると「『Reverb』東京公演、盛り上がる準備はできてますか?」と呼びかけ、颯爽と「ルームNo.4」へつないだ。

この日彼が装着していた仮面は、主に顔の右半分を覆うクリスタルガラス製のもので、彼が上手(かみて)を向けば口元以外を仮面で覆った姿が、下手(しもて)を向けば生身の表情が見える。その姿は人間以外の生命体と人間の一人二役のようでもあり、ヒューマノイドロボットのようでもあり、二面性の象徴のようでもあり、輝きによりさらに強化された超学生と生身の彼自身のコントラストのようでもあった。

今回のツアーはこれまでのワンマンライブと異なり、映像演出を一切用いず三次元という空間表現に特化しているのも特徴のひとつである。カバー曲の「Nightmare」「ラブカ?」は、歌声はもちろん彼の身のこなしも楽曲の世界を纏うように艶やかで、ゴージャスな音色に付随するバンドメンバーの小気味よい所作も、楽器の演奏でなければ成し得ない。人間そのものの表現にフォーカスしたステージング、バンドの生音やグルーヴに身を委ねる超学生の姿など、ライブならではの躍動感が感じられる。最新アルバム収録曲「レベチ」では観客のコールが起きる直前にイヤモニを外して直に声を聞く一幕もあり、観客とのコミュニケーションも愉しんでいることがうかがえた。

映画やミュージカルを彷彿とさせる豪華絢爛なオープニングから4曲立て続けに披露した超学生は、「この会場でないとできない、憧れの“あれ”をやりたい」と言い、アリーナから3階席まで順々に声をかける。観客も大きな歓声で応え、彼も「普段あまり煽ったりしないから新鮮な気持ち」と照れながらも喜びをあらわにした。そしてこのツアーで初めて超学生のサポートバンドメンバーとして参加したサックス2名を紹介し、「今日はこの8人で音楽をお届けしますので、最後までお楽しみいただけたらうれしいです」と意気込みを見せた。

「BRAIN」のカバーではステージ背景の黒幕が開き、照明演出が引き立つ環境が楽曲とボーカルのロマンチシズムをより引き立てる。瀟洒なムードから一転、ダークかつユーモラスな「ジャンキーナイトタウンオーケストラ」では観客を大胆に巻き込むパワフルなボーカルとアッパーな演奏で魅了した。

再び背景に黒幕が掛かると、ファルセットが憂いのあるメロディをウェットに映し出した「しあわせレストラン」、危険で妖艶なムードの「ラヴィブルーム」とたたみかける。ここであらためて痛感したのが、聴き手を歌詞に描かれた世界へと引きずり込む彼のボーカルの強さだ。高い粘度とざらついた質感を併せ持つ声は、吸い込むと瞬く間に全身に回る毒のようにこちらの思考を捕らえてしまう。さらに彼は音に関してただならぬ関心を持っているため、録音環境で磨いた音への美学や、声の響きを活かした歌唱もギミックになっていた。

新しく導入したイヤモニのおかげで歌いやすくなったものの、外の音が聞こえづらいことを明かすと「それでもみんなの声が聞こえてくる」と続け、熱烈な声援への感謝をあらわにする。そして2024年にライブ活動を行わなかったこと、2026年はこの日が5公演目であることに触れ、ライブタイトルについて「いろんなところに超学生が広がって、反響して、残響が残っていくといいなという気持ちを込めてつけました」と語った。ここまで披露した楽曲も彼が愛してやまないエレクトロ・スウィングを筆頭に、超学生というアーティストが存分に輝ける、彼の強みを活かした楽曲ばかりである。決め技の連続のようなライブは、ここからさらに勢力を上げていった。

ミステリアスな導入を挟み、「サイコ」ではドレッサー前のスツールに腰掛けて歌唱する。「脳内革命ガール」の間奏でジャケットを脱いで立ち上がり、それを肩に掛けて歌うなどスタイリングでも観客の熱い視線をさらった。ボカロPデビュー曲「ネクロバイト」のセルフカバーでは繊細さとダイナミズムを持ち合わせたボーカルを展開する。ここまで思い切りのいい歌が歌えるのは、自分自身で作った楽曲ゆえかもしれない。アグレッシブなアンサンブルも含めて、こちらに噛みつくような獰猛さが痛快だ。デュエット曲「ドロシー」では歌だけでなく、装着している仮面の形状を利用し、顔の向きを変えて一人二役を成し遂げる。歌や音だけでなく“絵”としての美しさもキャッチーに表現した。

今ツアーは超学生の得意なジャンル、育ってきた音楽や好きなことをやるというコンセプトのもと組まれていることを明かすと「ここからはさらに、超学生の身体の中に流れている音楽を連続して披露していきます」と告げ、まず「Innocent Tyrant」を披露する。楽器隊の音圧に負けない凄みのある声で圧倒すると、「モニタリング」からライブの定番曲のひとつである「ファントム」と鮮やかにつないで会場を盛り上げた。「HIDE & SEEK」ではリズムと音色に合わせてボーカルの色味を巧みに変え、サウンドを効果的に映し出す。演奏、メロディ、歌詞を巧みにつなげる歌唱力と、それを観客に届ける伝達力の高さを再確認するセクションだった。

最後のMCにて、超学生は8月11日に初のファンクラブ会員限定イベント「※拡散禁止」をヒューリックホール東京にて2部制で開催することを発表する。「あと4曲で『Reverb』最終公演が終わってしまうので、最後にみんなの盛り上がりをKanadevia Hallに轟かせて、日本武道館(という目標)まで突っ走っていこうと思うのですが、いかがでしょうか?」「このライブはアンコールなしで終わってしまうので、皆さんぜひ最後まで楽しんでいってください。次の曲はたくさんクラップをしていただこうと思います」と呼び掛けて、「CLAPTRAP」でラストスパートに入る。ウッドベースやサックスといった楽器と電子音が交錯するサウンドも非常に刺激的で、ラストのロングトーンも爽快だ。

だがこのまま勢いよく最後まで走り抜けるセットリストを組まず、トリッキーな仕掛けで観客を驚かすのも超学生である。「ファンデモーニカ」で会場を再び不可思議な世界で満たし、「愛して愛して愛して」では緊迫感のある演奏に乗せて、歌詞の一つひとつに血を通わせるように激情的に歌い上げる。その声は聴き手の心臓にしがみつくほどの激しい哀願を感じさせ、膝から崩れ落ちながら悲痛なシャウトを上げるシーンは、観た者の記憶に焼き付く強烈なインパクトを残した。

「永久アンフィテアトルへようこそ」のイントロが鳴り響くと「この曲でラストです。最後まで全力でかかってきてください!」と晴れやかに告げ、リズムに乗せて軽やかに歌唱する。バンドメンバーによるソロ回しなども加わり、会場も大いに沸いた。アウトロで超学生はドレッサーの前へと向かい、仮面を脱いで客席のほうへ振り向く。そして「それでは皆様良き生活を。」と笑顔を浮かべると、観客の歓声を背にして、ドレッサーに仮面を置いてステージを去った。彼が仮面なしでステージに立つのは初めてのことである。またここから新たな物語が始まることを予感させた。

この日のステージは、音楽や映画、ミュージカルといった彼が10代の頃から影響を受けている様々な文化の要素がクリアに表れていることはもちろん、これまでの彼が発信してきた表現の成長も感じさせた。楽曲に宿る生々しい感情を濃密に表現できるのは1stワンマンや2ndワンマンで行っていたMCなしという難易度の高いライブを経たからであり、安定感と迫力を持ち合わせた歌唱は、日々の鍛錬に加えて自らボーカルミックスを手掛け、細部まで自身の声を熟知しているからこそ実現できたものだろう。佇まいや見せ方にも細部まで集中力が通い、ステージに立つ人間としての風格も備わっていたのは、多くのアーティストのライブに足を運んで学び、2025年にはワンマン、イベント、フェスなど国内外で様々なライブを重ねてきたからだ。

超学生の強みを発揮した今回のツアーは、彼が一つひとつの経験を血肉にしてきたことを証明する場であったと言っていいだろう。2022年のメジャーデビュー、2025年のYouTubeチャンネル登録者数100万人突破と、彼はひとつずつ着実に目標を達成している。次なる目標となる日本武道館公演に向けて、彼が虎視眈々と爪を研ぎ続けていることが伝わる、気魄あふれるステージだった。

取材・文◎沖さやこ
撮影◎かい

■セットリスト

1​. ルーム No​.4
2​. Nightmare
3​. ラブカ?
4​. レベチ
5​. BRAIN
6​. ジャンキーナイトタウンオーケストラ
7​. しあわせレストラン
8​. ラヴィブルーム
9​. サイコ
10​. 脳内革命ガール
11​. ネクロバイト
12​. ドロシー
13​. Innocent Tyrant
14​. モニタリング
15​. ファントム
16​. HIDE & SEEK
17​. CLAPTRAP
18​. ファンデモーニカ
19​. 愛して愛して愛して
20​. 永久アンフィテアトルへようこそ

■<超学生 FC会員限定イベント『※拡散禁止』>
【日時・会場】
2026年8月11日(火・祝)
ヒューリックホール東京
<昼の部>開場 13:45 / 開演 14:30
<夜の部>開場 17:15 / 開演 18:00

【チケット】
指定席:5,500円(税込)
※本公演に関しましては各公演入場時に別途ドリンク代がかかります。

<超学生OFFICIAL FANCLUB 先行>
【受付期間】2026年3月22日(日)20:00〜3月31日(火)23:59

■「ネクロバイト」
2026年3月15日(水)配信スタート
https://lnk.to/NecroBite
1.ネクロバイト [作詞・作曲・編曲:超学生]
2.ネクロバイト (self cover) [作詞・作曲:超学生 編曲:清水”カルロス”宥人]

前のページへ
1 / 2