【速レポ】<CROSS ROAD Fest>FANTASTIC◇CIRCUS、明日への希望を繋ぐ景色「そこに生きてることを俺たちに見せてくれ!」

2日間にわたる<CROSS ROAD Fest>もいよいよ大詰め。ステージに登場したのは、1997年にメジャーデビュー。ヴィジュアルシーン全盛期をフルスロットルで駆け抜けたFANATIC♢CRISISを前身とする、FANTASTIC◇CIRCUSだ。
2005年のバンド解散から17年後の結成30周年にFANTASTIC◇CIRCUSとして“転生”を遂げた彼らはギタリスト、SHUN.の療養によって2024年末に再び活動が止まるも、10代の頃からの盟友である石月努(Vo)とkazuya(G)が出した結論はSHUN.の復帰を待ちながら、二人でバンドを続けていくということだった。FANTASTIC◇CIRCUSとして始動した日比谷野外大音楽堂でファンに「生命ある限り、続ける」と約束したこと、そして二人の変わらない熱い絆が再開へと舵を切らせた。再始動ワンマンは2025年9月7日の東京・渋谷のSpotify O-EAST。転生時から引き続き、SIAM SHADEのNATCHIN(B)、La’cryma ChristiのLEVIN(Dr)、kiyohito(Mp)をサポートミュージシャンに迎え、新たなスタートを切った。

この日のオープニングは1998年にヒットを記録したメジャー6thシングル「Maybe true」。石月はお立ち台の上に乗って、両手を広げ、客席の歌う声に耳を傾けるジェスチャー。下手のNATCHINと向かい合って笑顔を見せ、上手のkazuyaと絡み、1曲目から場内の空気を持っていく。続いて投下されたのはロングセラーになった「火の鳥」。極彩色のレーザー光線が飛び交う演出の中、センターでkazuyaがテクニカル且つ華のあるギターソロで魅了したと思うと、相棒の石月が横にきて説得力のある歌を響かせる。FANATIC♢CRISISの代表曲が蘇ったのは偶然なのか、運命なのか──。新たな物語を伴って、転生した彼らが今、目の前にいる。
続いて、ギターのストロークがクールなハードエッジでメロディアスな「SLEEPER」へ。MALICE MIZER、La’cryma Christi、SHAZNAとともに「ヴィジュアル系四天王」と呼ばれ、数々のヒット曲を送り込んできたFANATIC♢CRISIS時代のシングルが立て続けに届けられる構成だ。


石月は「幕張! こんばんは。ようけ人おるね」と場内を見渡し、「どこに隠れとったん?」と沸かせ、初めてライヴを見る人たちに向けて、約3年前にFANATIC♢CRISISからFANTASTIC◇CIRCUSへと転生したことを報告し、サポートドラムのLEVINを紹介。「LEVINを呼ぶ声が小さいな」とわざとラクリマのメンバー紹介を真似して、LEVINに「後でやりますんで」と突っ込まれる一幕も。サポートベースのNATCHINには「先輩、もう3年もたっちゃいましたね」と話しかけるも「今日は絶対、喋らない」と寡黙なモード。そして、kazuyaをLEVINと同じように「呼ぶ声が小さいな」と紹介すると「それ、やってもいい? kazuyaを呼ぶ声が小さいな」と何と自ら煽り、会場を盛り上げた。
そして自分で自分を紹介した石月は「残すところ、僕らとトリのラクリマだけなんでね。想いの丈を(みんな)歌って。知らなくてもいい。何かの縁があって集まっているみんなにこの曲を──」と日々を懸命に生きている人を肯定し、エールを送る人間味溢れるミドルバラード「LIFE」を届けた。時折、喋りかけるように歌う石月のボーカルスタイルも含めて、今のFANTASTIC◇CIRCUSだからこその味わいや深みが感じられた。


「どうですか? FANTASTIC◇CIRCUSは? 壊れるまでやりますからね!
用意はいいか?」と煽り、イントロで石月が「ロックンロール!」と叫んだ「Behind」は解き放たれたパフォーマンス。SHUN.は休養中だが、重厚感たっぷりのリズムセクションを味方につけた今の石月とkazuyaは最強だ。互いに横で歌い、プレイすることが幸せだという信頼関係がリアルに感じられるアクトにも胸が熱くなる。

そしてステージが青い照明の光に包まれる中、贈られたのはライヴのシンガロング曲でもある「ONE -You are the one-」。ここまで披露されてきた曲たちは2023年にリリースされたリテイクベスト盤『TENSEISM BEST SINGLES【1997-2000】』に収録されているが、この曲は新たにミュージックビデオが撮影されたライヴ代表曲のひとつ。スケール感のある温かい音と歌が染み渡るように響いた。
「今年、こんなに大きい会場でできることが奇跡ですからね。いろいろな想いでみなさん、この場所に集まっていると思います。僕は思うんですが、言霊というのがあって言い続ければ、願い続ければ、本当に目の前に現れるんです。そのことを僕らも今、目の当たりにしてます。今日、ここにいるひとりひとりはもう運命に乗っかってますから。僕、全バンドは見れてないですけど、たぶん、奇跡のような瞬間がいっぱいあったと思います。このイベントに出れて嬉しいです」──石月

「自分のことを自分がいちばん大事にしてほしいってずっと言っているんですけど、その次に周りにいる自分を愛してくれる人に愛を届けてほしいと日々、思っています。最後の曲になりますが、20年ぐらい前、この日のために作ったかもしれません」と伝えた石月の言葉からは<CROSS ROAD Fest>のステージに立てた嬉しさ、そしてフェスに出たくてたまらなかった時期に作った曲を届けて、さらにみんなの歌声まで聴けるという高揚感が伝わってきた。

ラストナンバーはLEVINの力強いドラムで始まり、イントロで石月が「幕張! そこに生きてることを俺たちに見せてくれ!」と叫び、オーディエンスの大合唱が会場を満たした「すべての友のためにきっと明日は来るから」。場内をひとつにし、明日への希望を繋ぐ景色を作り出したFANTASTIC◇CIRCUSのアクトは感動的であり、ラストのLa’cryma Christi復活のドラマも盛り上げるものだったように思う。
取材・文◎山本弘子
撮影◎今元秀明
■セットリスト
1. Maybe true
2. 火の鳥
3. SLEEPER
4. LIFE
5.Behind
6.ONE -You are the one-
7.すべての友のためにきっと明日は来るから
■<CROSS ROAD Fest>
【DAY1】11⽉15⽇(土) 千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
open12:00 / start13:00
【DAY2】11⽉16⽇(日) 千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
open10:30 / start11:30
〒261-8550 千葉市美浜区中瀬2-1

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