【対談】yukihiro (Petit Brabancon) × 345 (凛として時雨)、初の対バン直前に語る2025年夏の日々とgeek sleep sheep「絶叫の連続になりそうです」

■プチブラと時雨は初の対バンですけど
■いつか一緒にできないかなと思い合っていた
──ちなみに、ACID ANDROIDのベースはシンセベースがほとんどだと思ってましたが、生ベースも使ったことがあるということですか?
yukihiro:ACID ANDROIDでは1曲しかないんですけどね。打ち込みを始めた頃は、シンセベースとして耐えうるようなシンセを持ってなかったので、自分で弾いたベースフレーズをサンプリングしてシーケンサーで鳴らしてたりしていたんですよ。
──Roland MC-500 MK-IIを使っていた当時、テンキーで数値を打ち込んでいたという話を思い出します(笑)。
yukihiro:サンプリングして、実際にはプレイできないようなフレーズを組んだりするのは楽しいですからね。
──ACID ANDROIDに1曲あるという生ベースとは?
yukihiro:「unsaid」(2002年発表『acid android』収録曲)です。実はこの曲は、20代の頃に僕が弾いたベースがそのまま入っているんです。ギターもそうですね。あの曲を作った当時の自分が弾いたギターやベースを、今もライヴで演奏するときのオケで使っています。ラルクに入る前に作っていた曲ですね。
345:そうだったんですね!
──ACID ANDROIDは、ライヴで披露するたびに楽曲アレンジを変えたり、新たな音に差し替えたり、既存曲がどんどんアップデートされていきますが、「unsaid」はどうして当時のベースやギターがそのまま残っているんですか?
yukihiro:フレーズがもう完成しているんですよ。一度、弾き直してみたことがあるんですけど、その感じにはならなかったんです。
345:ありますよね、そういうこと。レコーディングでプリプロの音を超えられないみたいな。
yukihiro:そうそう。あの当時持っていたサンズアンプを使って、サンプラーにラインで繋いで弾いて録った音なんだけど。なんか完成しているんだよね。

──345さんも「楽器は見た目大事ですよね」と頷いていましたが、楽器のルックスっていうのはやはり大事ですか?
345:私は楽器というもの自体に魅力を感じてて。楽器を愛でるのが大好きなんです。オーケストラを観に行っても、いろんな楽器の細かいところばかりに目が行っちゃう。それは昔からで。子どもの頃からピアノ内部の弦とか見るのが好きでしたね。
yukihiro:かなりマニアックな視点だね(笑)。
345:(笑)。チェロも見た目にすごく惹かれますね。チェロを始めてみたものの、すごく難しくて上達スピードがかなりゆっくりで、ギターとかベースはもっと手軽にみんなが楽しめるように生まれたんじゃないかなって思うくらいです(笑)。ギターとかベースにはフレットがあったり、圧倒的に弾きやすいですよね。
──チェロはなかなか思った音が出ないような感じですか?
345:思った音は出ないですし、それ以前に押さえるのが大変だし、弓を扱うのも大変で。ベースを始めたときやピアノを始めたときよりも進みがだいぶ遅いというか、難しい楽器だなと思いますね。年齢を重ねたこともあるかもしれないですけど(笑)。でも、それ以上に魅力的な楽器ですね。
yukihiro:チェロももうひとつほしいな、とか思うようになったりするものなの?
345:はい、ちょっとあるんです。
yukihiro:やっぱりあるんだね。
345:始めたときは全然弾けない状態で入手したけど、少し弾けるようになってきたら、弾きやすさだったり音の違いだったり少しずつ分かってくるので。私は手が小さいので、ネック幅とか厚みが若干違うだけですごく押さえやすくなったりしますね。
──チェロが弾けるようになったらこうしたいとか、自分の作品でチェロを弾きたいとか、何か目標は立てているんですか?
345:すごく歳を重ねたときに、アマチュアのオーケストラとかで弾いてみたいですね。20年後くらいを目指して、頑張ります(笑)。

──(笑)。楽器は充実していたようですが、映画などはどうですか?
yukihiro:少し前ですがガンダム(『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』)は観に行きましたね。あとはSF映画とかが好きなので、そういうものはいい音で観たいし、スケール感も違うのでなるべく映画館で観たいんですけど、なかなか時間が作れなかったりします。だいぶ前ですけど、『エイリアン:ロムルス』とかも観たいと思ってたけど、気づいたら終わっちゃってたし。今待ってるのは『DUNE』の新作かな。
──345さんはご自分の中で強く残っている映画とか、こういうテイストの作品が好きというのはありますか?
345:私はあまり心を掻き乱される映画が得意じゃないんですが、映画ってだいたいそういうものじゃないですか(笑)。窮地に陥るようなシーンとか、心がざわざわするのがいつからか苦手になりましたね。
yukihiro:(笑)。
345:北欧が好きなんですけど、『かもめ食堂』とかああいう何も起こらない淡々とした日常を描いた作品が一番好きなんです。
yukihiro:『ミッドサマー』とか観てほしいな。たぶん最悪な気分になると思うけど。
345:立ち直れなくなりそうです(笑)。

──そんなインドアな夏を経て、Petit Brabanconも凛として時雨もgeek sleep sheepもライヴやツアーの予定がありますが、まずは9月5日のPetit Brabanconと凛として時雨との対バンライヴ<Petit Brabancon CROSS COUNTER-02->東京公演です。ここでしか観られないライヴになりそうですが、yukihiroさんは凛として時雨との対バンは、これまでありましたか?
345:時雨との対バンは、ACID ANDROIDではありましたよね。
yukihiro:そのときは対バンというよりも、スマッシング・パンプキンズのオープニングアクトとしての共演だったんですよね (2010年 / <SUMMER SONIC EXTRA>)。
345:それ以来ですね。
──時を経て、今回はPetit Brabanconとの対バンですから、また違った1日になりそうですね。
yukihiro:そうですね。両バンドとも絶叫して、絶叫して、という。
345:絶叫の連続になりそうです(笑)。でも本当にどうなるのか、すごく楽しみです。
yukihiro:プチブラと時雨は初の対バンですけど、以前からいつか一緒にできないかなと思い合っていた感じかな。
345:そうなんです。なかなかタイミングが合わなかったんですけど、お互いがお互いを気にしていたというか(笑)。ようやく実現する対バンでもあるんです。
──345さんは、Petit Brabanconのライヴは?
345:もちろん何回も観てます。もう、音の塊みたいな。畳み掛けてくるような感じがめちゃくちゃあって。yukihiroさんは観るたびにドラムがパワーアップしてますよね。L’Arc-en-Cielで観る大きなスケールも好きなんですけど、ライヴハウスでよりダイレクトに、音に打たれ続けるっていうのが最高で。
yukihiro:時雨は、もう何か決まってることはあるの?
345:まだ何も決まってないんです。

──対バンだからこその相手を意識したセットリストなどもあるんですか?
345:考えているかもしれないですね。今回はどうするんだろう?
yukihiro:だいたいはTKが考えるの?
345:大まかにリハの前にみんなが意見を出し合いつつ決めて、でもリハに入って変わることが多いですね。実際やってみて曲の繋がりとか流れとかありますから。プチブラとやるということでどうなるのか、もしかしたら本当にずっと絶叫してる曲になるかもしれないですね(笑)。
──Petit Brabanconはどのようにセットリストを決めるんですか?
yukihiro:最近は、スタッフの人が最初にたたき台を作って、そこにメンバーの意見が入っていって。で、リハーサルをやって、やっぱりだいたい変わるという感じですね(笑)。
──今回の<CROSS COUNTER-02->では、東京公演に凛として時雨、名古屋公演にSiM、大阪公演にSable Hillsが対バン相手として参加しますが、バンドによってセットリストを変えたりするんですか?
yukihiro:まだそこまで曲数もないので、いろいろ贅沢を言ってられないというのもあるんですけど(笑)。そのなかで曲は絞られてきて、それが対バン用になるのかなという感じですかね。ワンマンだったらもう少し幅を持たせたような曲調を入れたり、そういうセットリストになっていくので。
345:なので、観に来ないとわからないということですね(笑)。ライヴはやっぱり会場で観てほしいですよね。







