| 「尖がった感じの意味ではあるんですけど…」 というのが、S-WORD(スウォード)という名前について訊いた時の答え…。 デビュー・シングル「KRISS OVA'<斬>(クロス・オーヴァー-・ザン)―swisherz deftime fliez-」は、その“尖がった”感じを投影させた作品に仕上がった気がする。 プロデュースは、クラブDJとしても大人気のDJ WATARAIによるもので、流行りのバウンス・ビートに乗せたパンチのあるトラックに、S-WORDらしい鋭くスピーディなフロウと、脳にすり込まれるような言葉が刺激的な曲だ。日本語ではあるものの、向こう(US)のメインストリームの匂いが強くする。
「わからない事は、“わかんねー”って言っちゃっていいんじゃないかと、とりあえずまんまの自分をどれだけ出せるかやってみました。後はインパクトとして、“シャキーン”って音があったりとか、リリックがすごい分かりやすくなってるとか、メロディがあったりとか…頭の中にどれだけ残れるかなって考えて作ったので、聴いた人の耳に一発で残ればいいなと思う」
DABOに引き続き、Def Jam Japan第2弾アーティストとしてデビューをするS-WORDは、2000年の暮れにカウンターパンチとも言える衝撃的作品『Nitro Microphone Underground』をリリースしたおなじみニトロのメンバーのひとり。
彼の活動歴は、そのニトロよりももう一世代上の、YOU THE ROCK★やTWIGYが参加していた伝説のグループ、雷のイベント<亜熱帯雨林><鬼だまり>やMUROらとのK.O.D.P.(King of Diggin' Production)としてのステージにまで遡り、充分過ぎるほどのキャリアを持つ。
しかし、あえて今となって“ソロ”としてメジャーに進んだのは、これまでできなかった100パーセントS-WORDらしさをぶつけてみたいという気持ちがあったからなのだろう。
「とりあえず人数が多い時ではできない全部を自分がコントロールできると言うことがソロにはあるんで…。自分のやりたいように、バカでもいいし良くも悪くも、とりあえず自分のやりたい事が表現できればいいな…と」
そしてその自身のやりたいことを思いきりぶつけるのは、5月にリリースされる予定のアルバム『ONE PIEACE』になりそうだ。
「ヒップホップと言うよりS-WORDがすごい前面に出て、好き勝手…、レゲエ・フロウもあればR&Bみたいな歌物もあるし、すごいダブと言うかアンビエントと言うか、深すぎる曲もあるし…っていろんな事をやっているアルバムです、ハイ」
その言葉からはまだ未知な部分が多いが、独りになってより広がりを見せた音楽性やチャレンジ精神が伝わってくる。まずはそのアルバムをゆっくり待ちつつ、序章としてこのデビュー・シングルを聴くしかない。 | |