▲カート・レースの世界が舞台。世界チャンピオンのボー(ティル・シュワイガー)は絶好調。が、ルーキーのジミー(キップ・パルデュー)が驚異の成績を上げ、シーズン途中でトップに。しかしジミーは不安定なところが泣き所。続くレースでボーのマシンに接触してリタイアしてしまう。そこでジミーのチーム・オーナー、カール(バート・レイノルズ)に現場に呼び戻されるのが、かつての英雄ジョー(シルベスター・スタローン)。彼の役目はジミーをモチベートし、チームを優勝に導くことだが、このジョー、過去の男とはいえ、ドライバーとしての腕は少しも衰えていなかった。これが結末に大きく作用する。ソフィアを巡って私生活でも敵対するボーとジミーの因縁の対決は、老練ジョーの出現で急展開し始める……。
2001年8月18日より、全国松竹・東急系劇場にて公開! ●監督/レニー・ハーリン ●脚本/シルベスター・スタローン ●音楽/BT ●出演/キップ・パルデュー、シルベスタ・スタローン、バート・レイノルズ、エステラ・ウォーレンほか ●配給/日本ヘラルド・松竹 ●上映時間/117分
Special Thanx to www.driven-jp.com |
「ドリヴン」オリジナル・サウンドトラック COCB-50636 2,625(tax in) 2001年7月20日発売
1Breakdown/Tantric 2Burn/Jo Dee Messina 3 Green Light Girl/Doyle Bramhall II & Smokestack 4 Soon/LeAnn Rimes 5 I Wanna Get Back With You/Mary Griffin 6Good Time/Leroy 7 Poison Well/Insolence 8I'm Not Driving Anymore/ Rob Dougan 9Satellite/BT 10Mother/ERA 11Falling For Me/Tamara Walker 12Hang On/Hank Williams III 13 Take Me Away From Here/Tim McGraw 14For The Love Of Money/Rare Blend 15Break On Through/Steve Holy
|
| あまりに個人的な感情による視点で恐縮なのだけれど、人生を降りてしまいたくなるほどの失恋を経験したばかりの自分にとっては、まずはこの映画の恋愛描写が引っかかる。
いや、わかってますよ、これが切なくも美しいロマンスだってことぐらい。きっと女性が観たら目をウルウルさせて、「まあロマンティック!」ってなもんでしょう。
でもなあ……。
ボーと別れたソフィアさん、アナタはいただけません、本当に。かねてからアナタに想いを寄せていたボーのライバル、ジミーの優しさに惹かれて一緒になるのはいい。彼に傷を癒してもらいながら、ふたりでこれから生きて行こうとしたんでしょ? そんな時、愛する人のために、男は自分にできることは何でもするよ。傷心も何もすべて引き受けますよ。ジミーのように心を尽くしてね。
▲元花形レーサーだったが、レース事故で挫折してしまったジョー(スタローン/左)と、悩める天才ドライバー/ジミー(キップ・パルデュー)。 | それを、別れて後悔しているボーに「I miss you」と言われて、何でアナタも簡単に「I miss you,too」なのよ? 何で簡単に戻っちゃうのよ? 未練があったのなら、それとちゃんと向き合うべきだし、そもそも失恋の痛手は、どんなに辛くても自分でカタを付けるもんでしょ? 他人の愛や誠意を巻き込んじゃいけないのです。絶対に! あて付けにしては罪は重いよ。「その時は本気だったのよ」って? そんな醜い常套句、やめてほしいな。
あ、熱くなってスミマセン。
……そう、熱いのです、この映画も。何と言ってもレースのシーンが凄まじく熱い。本物のレース映像を使っているだけあって、臨場感、緊張感、スケール感、どれを取ってもド迫力でリアル。絶叫する何万観衆の絵なんか、思わず引き込まれて自分が会場にいるような錯覚に陥るほどだ。
また、音楽も熱い。サントラ収録曲はもちろんだけれど、ケミカル・ブラザーズやファットボーイ・スリムらのダンス・ミュージックがレースに思い切りマッチしている。ダンスの肉体性、享楽性とレース。なんとなくわかるような気がする。
▲左の彼女が「I miss you, too」と言ってしまうソフィア(エステラ・ウォーレン)。こんな美形なジミー(キップ)をフルなんて、たいしたもんです(笑)。 | そして、レースに命を懸けた男たちの人間模様がこれまた熱い。脚本・製作のシルベスター・スタローンは、「なるべく『ロッキー』的要素は外そうとした」と語っているが、どうもロッキーとダブっているように感じられてならない。事故で瀕死の状態の仲間(ライバルでもある)を、男どもが危険を顧みず救出する場面や、レースにも恋愛にも挫折したジミーが這い上がっていく過程、そして過去に栄光と没落を経験した老いぼれレーサー、ジョーの立ち回りぶりなど、ロッキー的(スポコン的!?)なヒロイズムとロマンティシズムにあふれていると思えるのだ。
スタローンはまた、「最後まで僕が引くことで、観客を驚かせようと思ったんだ」とも語っているが、結末は言えないけれど、結局のところ、この映画の一番のヒーローはスタローンでしょう。確かに彼は引いている。でもそれが、美学としてカッコ良く完成されているもの。それを自分でも充分確信しているくせに、スタローンったら(笑)。 |
|