黒猫チェルシー&『色即ぜねれいしょん』、10代の肉体に渦巻くエネルギーが暴発する大特集

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黒猫チェルシー featuring 映画『色即ぜねれいしょん』

20世紀のパンク・ガレージ根性

ロックの歴史を軽々と咀嚼して空気の振動を暴力に変えた驚くべきティーンズ・バンド

映画『色即ぜねれいしょん』で主演を務めた渡辺大知が在籍する4人組のガレージロック・バンド黒猫チェルシー。『色即ぜねれいしょん』の田口トモロヲ監督も言う、「理詰めじゃなく、感覚で人を揺さぶることができる音楽の力」を、この超個性派バンドはまさに体現している。一聴からリスナーにインパクトを与える、荒々しいことこのうえないサウンド。そして、何物にもとらわれない縦横無尽なセンスを発揮しまくる恐るべき10代だ。

INTERVIEW

渡辺大知(Vo)

──この4人は元々、友達つながりとか?

澤竜次(G:以下、澤):そうですね。ボーカル(渡辺)以外の3人は、小学校のときからバンドやったりしてて。それで、高校で渡辺と同じ学校になったんですけど、渡辺の初ライブを見て一緒にやりたいなと思って……。1回みんなでスタジオに入って、ガーッと曲を作って。このアルバム(1stミニアルバム『黒猫チェルシー』)にも入ってるんですけどね、けっこう。

渡辺大知(Vo:以下、渡辺):「地下室のテレビジョン映像」とか、「正義感ある殺しは許される」とか。

岡本啓佑(Dr:以下、岡本):でも、最初はそれとは全然違うサイケデリックなことをやってたんで。そこで溜まってたものを、どんどん……。

澤:吐き出した(笑)。その前はピンク・フロイドとかを聴いてて、ギターソロを何分も延々弾くような曲をやってたんですよ。

──ピンク・フロイド? 10代とは思えないルーツですね。で、小学生で始めたバンドっていうのは?

澤:小学生だから、バンドってもの自体をまだ何にも知らなかったんです。スタジオって存在とかも。それで、3人(澤・宮田・岡本)で山に行って、木の棒で切り株叩いたりアンプ内蔵ギター鳴らしたり、ピアニカとか電気の要らないものでやったりとかして。


宮田岳(B)

──それはまた素朴でオーガニックな。

渡辺:(笑)ブレーメンの音楽隊みたいな。

澤:それで、「イエスタデイ・ワンス・モア」とかを演奏してました。

宮田岳(B:以下、宮田):たぶん、小5ぐらいやったと思うんですけど。僕もカーペンターズにめっちゃハマッて、それで楽器のほうにも目が行くようになったのを覚えてます。なんていうか、一つひとつの楽器の音がちゃんと聞こえるような気がして。

──その3人にあとから加わった渡辺くんが前にやっていたのは、どんなバンド?

渡辺:パンクっぽいヤツをやっていました。ライブの最後に、ラモーンズの「KKK TOOK MY BABY AWAY」って曲をコピーしたり。


岡本啓佑(Dr)

──うーん、話をすればするほど、古き良き音楽のエッセンスがどんどん出てくるのが不思議(笑)。世代的におかしいでしょ。

澤:それは、たぶん……。たとえばボン・ジョヴィとかは、僕が小学生のころに母親が普通に新譜を買ってきて、それを僕も聴いてハマッた。そこから、じゃあこの人たちは誰の影響で今こういう音楽をやってるんだろうかみたいに、どんどん過去になっていくと思うんですよ。そのきっかけが、たまたま僕らはわりと昔の音楽が多かっただけで。

渡辺:ちょっとズレてるだけだと思うんですよ。今の若い人たちが普通に聴くものと、時代的に少し。だから……。ジャンルとか年代とか、関係ないような気がするんですけどね。今のものにも良い音楽はあるし、昔のものも、逆に斬新じゃないですか。

──で、そのルーツを基にして作ったのが、今年4月にリリースした1stミニアルバム『黒猫チェルシー』ですね。

澤:はい。バンドを組んだときは、パンク的な速い曲をやろうって半年ぐらい続けてたんですけど、だんだん飽きて(笑)。そのときのマイブームが前とは変わってきてたなかで、この2曲目「嘘とドイツ兵」みたいなミドルテンポのものも出てくるようになったりして。だから“こういう音楽”って具体的に決めたものはないんですよ。

──たしかに。音の質感はパンクとかガレージっぽいものが多いですけど、最後の曲(「正義感ある殺しは許される」)なんか、いきなりエレクトロが入ってきますからね(笑)。

澤:はい。それは……オチです(笑)。

岡本:関西の出身なんで。


澤竜次(G)

──関西人は、何をやるにもオチをつけないと気が済まない、と。

澤:(笑)だから、別に今後こういう音楽性になっていくっていうんでもなく。曲的にも単調だからイジりやすかったっていうのもあったんで面白いんちゃうか、って。シンセを僕とガッチャン(宮田)が連弾で弾いたり、効果音入れたりトランペット吹いてみたり。

宮田:そういうふうに遊ぶのは好きなんで……。逆に、それがないとダメやんみたいな。

澤:ユーモアがどっかにないと、聴いてても僕は面白くないんで。だから、そこは意識的に大切にしたいなと思ってます。

──次の音源も楽しみしてます。どんな遊び心が出てくるのか。

澤:とりあえず……。1stと全然違うかもしれないです(笑)。曲調としては。

宮田:違うな! もっとオールドスタイルになってる。

澤:(笑)僕、元々ジミ・ヘンドリクスも好きで。今作ってる曲には、そういう自分の好きな要素を入れられたんちゃうかな、って。音は、もっとイカツくなってます。もっとライブ感がある音にもしたいし……。20分ぐらいある曲、またやるかもしれないです(笑)。

取材・文●道明利友

NEW DISC

『黒猫チェルシー』

INFORMATION

<クレイジーミッドナイト69~夏の終りのカミナリ族>
8月28日(金) CLUB CITTA'川崎
出演:騒音寺、片山ブレイカーズ&ザ☆ロケンローパーティ、浅草ジンタ、JAPAN-狂撃-SPECIAL、キノコホテル、DJサミー前田
[問]クラブチッタ 044-246-8888

<スゴイ・インディード@新宿LOFT>
9月10日(木) 新宿LOFT
出演:ELECTRIC EEL SHOCK、ザ50回転ズ、MO'SOME TONEBENDER、黒猫チェルシー(OA)
[問]新宿LOFT 03-5272-0382

<Beat Happening! Vol.214>
9月12日(土) 渋谷LUSH
出演:少年ナイフ / 黒猫チェルシー / SISTER JET
【問】 渋谷LUSH 03-5467-3071

<2009年途中の旅路 四星球方向性会議>
9月22日(火・祝) 高知X-pt.
出演:四星球 / 黒猫チェルシー
[問]デューク高知 088-822-4488

10月12日(祝・月) 渋谷チェルシーホテル
黒猫チェルシー自主企画イベント<黒猫チェルシーホテル 本館1階(回)>

対バン有り、後日発表
[問]渋谷チェルシーホテル(03)3770-1567


黒猫チェルシー featuring 映画『色即ぜねれいしょん』

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