RAG FAIR、『カラーズ』特集内インタビュー
「夏風便り」をデモで聴いたときにちょっと妬きましたね。この曲だったら歌いたいと素直に思えました。(土屋)
引地:僕は作り方が変わりましたね。今までは、でき上がって気に入る曲って、思いついてすらすら書ける、“降ってくる”みたいな曲だったんですけど、今回は作ろうと思って作った曲ばかりなんです。テーマを与えられても今回はしばられずに好きに作れました。「ピリオド」とかも45秒でなにができるかってところからスタートした曲だし、「LIVEラリー」はライブでお客さんと一緒に何かできるものを作ろうと。“降ってきた”んじゃないものができ上がって、それが気に入るっていうのは今回が初めてでした。
土屋:それが二人とも一緒なんですよ。やっぱり1曲目の「夏風便り」ですね。ラグフェアがこのアルバムを作ろうと決心した曲ですから。僕は今回初めて自分の曲を書かなかったんですが、この曲をデモで聴いたときにちょっと妬きましたね。自分の曲じゃないのに、この曲だったら歌いたいと素直に思えました。これがアルバムの1曲目っていうのもすごくうれしいです。
引地:今までで一番いい音が鳴ってると思いますよ。
引地:いつもだと新しいアルバムの曲を中心に構成するんですけど、今回はそこまで『カラーズ』にこだわらずに、ラグフェアってこうだよね、っていうことを全部出せるようにしたい。この6人を見てていつも思うのは、ステージが一番いい顔してるってことなんです。それが出せるようにしたいです。
土屋:今回のアルバムは楽器が入ってるし、次のツアーも楽器がフル編成で入るんです。ライヴの構成を色々考えていくと、どうなるのか正直ビビッてるところもあるんですね。ラグフェアはやはり6人でやってるときが一番光ってるんです。それが去年のライヴハウスツアーでひとつのピークを迎えたという気がしてる。それを超えるには、楽器編成になった上でさらに上を目指したいと。そこに僕の過去の経験を全部ブチ込もうと思ってるくらい気合入ってますよ。
引地:うん、最近はライヴでも男性をよく見るような気がしますね。
土屋:それは僕がMCで筋肉マンの話をし続けたから(笑)。
引地:男性は多いほうがうれしいです。一度、男だらけってのもやってみたいなあ。僕、男子校出身なんで、男の異様な盛り上がりって、それはそれで楽しいんですよ。
土屋:僕は圧倒的に自分の最低ラインが上がりました。人に見せる、および自分が満足するレベルが。逆に気持ちの部分は変わってない。6人がそれぞれ個人活動もやるようになってきて価値観も変わってきてるだろうけど、目の前にいる人を喜ばせたい、楽しませたいという気持ちは、レベルが低かったときから変わってないと思います。逆に言えばそこさえ変わらなければ何をやってもRAG FAIRはアリだなと思います。
引地:うん、うん。
土屋:変わるといえば、誰か2、3人、子供産んでほしいな(笑)。子供ができてからの音楽って絶対変わるんじゃないかな。結婚してからのモノ作りって何が変わるんだろうかって、今後の楽しみのひとつですね。それは早く味わいたいような、もっと取っておきたいような。そうだ、次のアルバムは誰かが結婚したら作ろうか(笑)。その人のプロデュースで。
引地:ああいいかもね。
土屋:ジャケットはその人が子供抱いてる写真で。
引地:かわいければ、ね(笑)。
土屋:僕は将来的には音楽劇を。自分で脚本書いて、ほかのいろんな役者さんとかミュージシャン、ラグフェアももちろん入れて。TV見てる感覚で楽しめるようなやつを舞台でやってみたいなあ。そのためには長尺の歌も作らなきゃならないんですけど、それは洋輔が抜群にうまいですから。この人ね、アイドルソングとか作るの天才なんですよ。
引地:僕はね。男女のデュエットソングとかってよくあるじゃないですか。それをもっと広げて、4人とか5人とかが同時に朝起きてどこかに集合するまでのオムニバスのストーリーが展開する、違うこと歌ってるんだけどサビでは同じシチュエーションにいるみたいな、そういう音楽をやってみたいですね。せっかく歌う人が6人いるんだし。
土屋:自分にウソをつかない年にしようと思ってます。自分の中での最低ラインが上がってきてるので、まわりがそれでいいといっていても、ちゃんと自分を裏切らずにそこまで精進したいですね。
引地:3月でちょうど30歳になるので、そこからまた新しいことをしたい。20代はとりあえずなんでも経験しとこうと思ってたんですけど、30代は自分の興味のあるところで、遠慮なくモノを作ったり発信したりしていいかなと思ってます。