女性ジャズ・ヴォーカリスト特集 マレン・モーテンセン
2005年秋、日本でのデビュー・アルバム『デイト・ウィズ・ア・ドリーム』が話題を集め、様々なチャートでトップ10を獲得、そしてFMなどで大きく取り上げられ、次作が待たれていたマレンの新作がついに登場。その洗練されたメロディラインと演奏、そしてヴェルヴェット・ヴォイスは前作にも増して存在感を放つ。北欧の白夜を髣髴とさせる新鮮な響きと空気感に満ちた雰囲気で、これまで以上の話題になること必至。
⇒コロムビアミュージック アーティストサイト
『マレン』
COCB-53589 \2,520(tax in) 2006年12月20日発売
【収録曲】 ♪試聴できます
01.テンプテーション ♪
02.モーニング・アンド・ヴェルヴェット・ムーン
03.シティ・ラヴ
04.アナザー・デイ ♪
05.ラフィン・アット・ライフ
06.デスペラード ♪
07.ノーヴェンバー・ゲイム
08.ホェア・ウドゥ・アイ・ビー・ウィズアウト・ユー
09.イフ・ユー・ガッタ・メイク・ア・フール・オブ・サムバディ ♪
10.シー・オブ・ライズ
11.エンプティー・スカイズ
12.オーストオップ・イ・マーツ
PV視聴 アナザー・デイ
夜更けのジャズ・バーでソフィスティケイトされた音楽をBGMにカクテルを楽しむ。そういうシチュエーションにぴったりなのが、このマレン・モーテンセンのヴォーカルである。耳ざわりの良いメロディと高級感が漂うヴェルヴェットのような声。ブラックなソウル感をあまり感じさせないスタイリッシュなライト・ジャズが魅力だ。それもそのはず、彼女は北欧から来たディーヴァ、北欧の澄んだ空気をそのまま感じさせてくれる。シンガーソングライターとしてのオリジナル曲も興味深いが、アレサ・フランクリン、イーグルス、ビリー・ホリデイのカヴァー曲でのセンスの良さも素晴らしい。
●ジャズ・ヴォーカルならではの歌唱法
ジャズ・ヴォーカルにはさまざまな表現方法がある。その代表がフェイクやスキャットだろう。メロディを少し崩して歌うのがフェイク。これはほとんど誰もが自然にやっている。思い入れを込めてタメたり、元のメロディとちょっと違う旋律に変えてみたり。変化がついて自由な雰囲気が出てくるのがジャズらしい。そしてジャズ・ボーカルの代名詞的存在なのがスキャット。歌詞を使わず歌う方法のことで、“シャバダバ”“シュビドゥビ”というアレである。このスキャットを初めにやったのもやっぱりあのルイ・アームストロング。レコーディングのときに歌詞カードを失くしてしまい、即興でやり始めたのが最初だという。スキャットを売りにしているアーティストも数多い。アル・ジャロウのスキャットは驚異的な高速で、聴いているだけでテンションが上がってしまう。またギターソロを弾きながら同じフレーズをスキャットで歌うジョージ・ベンソンも有名。スタジオミュージシャンとしても活躍するネーザン・イーストはこのワザをベースでやってのけ、ライヴでの呼び物のひとつとなっている。フェイクもスキャットも、楽器の即興演奏に対するシンガーのワザ。こういったワザで楽器とバトルすることもあるのが面白い。
●ジャズを楽しめるライヴハウス
気軽にジャズを楽しめるスポット、ジャズクラブが日本でも増えてきている。中でも有名なのがブルーノートだ。もちろんニューヨークの同名の名門クラブの流れをくんでいて、現在は東京と名古屋、大阪に展開、横浜にはMotion Blueという姉妹店もある。ブルーノートのすごいところは、なんといっても世界でもトップクラスのアーティストが連日出演していることだ。この年末年始の東京のスケジュールを見ても、デヴィッド・サンボーンにカウント・ベイシー・オーケストラ、ホリー・コール、フォープレイ、マッコイ・タイナー・トリオと、ビッグネームばかりがずらり。そしてこういったビッグネームの演奏を間近で見られるのもうれしい。店内は適度にこじんまりしているので、どの席からでもミュージシャンはすぐ近くだし、PAを通さない生音だって直接聞こえてくるくらい。だからヴォーカルの微細な表情やハイテクニックな演奏も見逃すことがない。演奏終了後には、客席に出てきて一杯やるミュージシャンも多いから、グレートなアーティストを本当に身近に感じることができる。ジャズに興味を持ったら、ぜひ一度行ってみたいスポットだ。