| ──アルバム『空いっぱいに奏でる祈り』だと、1曲1曲が全部違うよね。同じ方向でアレンジされたものはないんじゃないかっていうぐらい。
太志:リリックによってできる限り表現方法を変えていくっていうか。サブリミナル的なこともやってみたりとか、いろいろやってます。
──じゃ、曲について。「等身大のラヴソング」の“本気で人を好きになった時は 頭ひねるより 腹くくるしかない”ってすごくいい言葉。そこにはどんな思いがあるの?
太志:僕も、どんどん頭で恋愛をする歳になってきて(ちなみに太志は25歳)。高校生の時には俺もパッションっていうか何かそういうものがあったのに。でも結局、一番正直なのは心臓だけだと思うし。例えばいい音楽を聴いたときでも、あそこがどうだとか評論家みたいになっちゃうこともあると思うけど、結局は心臓がドクドクいったときが感動だと思うし。初期衝動というか、頭で考える前に感情が揺れた時。それが本物のリアルだと思う。その後に頭で考えるんだけど、それでも最初の気持ちっていうのがあるから、だから腹をくくるしかないって書いたんですよね。
──「独り言」のヴォーカルの部分はユニークだけど、どうやって録ったの?
太志:最初はただオーヴァードライブとかをかけてて、もうちょっとこうして下さいってエンジニアさんに頼んでて、そしたらひっくり返るようなやつをエンジニアさんがやってくれて“これですよ!”って。それがあのサウンドに合ったんですよね。あれはギターのリフで聴かせてる曲だと思うし、ドラムンベースっぽいリズムを作ったりしてて。
──ちょっと異色なのが「Blues on the run」。これはどんなアイデアからできたの?
太志:これはキーボードのmayukoが、初めてデモを録音したから聴いてみてって。それで、これはバンドじゃなくてMCとかでやるぐらいのネタだなと思ったんだけど、それにしてもすごくいいメロディだったから、何かリリックを入れたいなって思って。それで「青い空」っていう曲が最後にあるんですけど、それに向けてのイントロっていう気分で入れたんです。だからつなげて聴いてもらいたいですね。
──これだけ凝ったアレンジをすると、ライヴはどうなるのかなと思う。ライヴは好き?
太志:始めの頃は嫌だったんですけど(笑)、今はライヴが唯一の俺たちの現場なんじゃないかなって思えるぐらい、楽しくできるようになったっていうか。やっぱりライヴも起承転結でやりたいので、曲もすごく選ぶし、絶対にMCをするようにしてるんですね。MCがあって1つのストーリーでライヴをやりたいっていうのがある。ぜひ観て欲しいですね。
──ここまでインディーズで売れちゃったけど、何でこんなに売れたのか自己分析してみて。
太志:なんだろ・・・これはなんか・・・なんでだろう? 別に誰も顔がカッコイイわけでもないし(笑)。整形してーなーとか言ってるんですけど。
Daisuke:爆笑
太志:やっぱり有線とかで街でかかったのが大きかったんじゃないんですかね。「等身大のラヴソング」は、この曲は何だろうって思ってもらえる曲だったと思うし。アルバムも妥協なしでいろんな音楽をやらせてもらえたんで。アルバムが好きって言ってくれる子も多いから、それがきっと口コミで広まっていったんじゃないのかな。それが一番嬉しいですけどね。
──4月にメジャー・デビューが決まったわけだけど、意気込みは?
太志:僕はそのへんはけっこう無知なので、流通が変わるぐらいにしか思ってなくて。エンジニアさんとかが“メジャーなんだから、音とかちゃんとした方がいいよ”とか言ってて、制作にはすごく時間をかけてます。でもメジャーに行っても別に書くことは変わらないし、スピリットの部分では何も変わりませんからね。
Daisuke:僕たちのスタイルは確立されてる部分があると思うんですよ、アクアタイムズとしての作り方とか。その姿勢だけは曲がらないようにしたいなって。インディーズだろうがメジャーだろうが、常に最高のものを作るっていうのがまず前提にあって、自分たちの方向性がしっかりあって、そういう核の部分がきっちりあれば、あとはメジャーに行っても何も変わらないと思う。
──今後の目標は?
太志:すごく個人的な目標ではあるんですけど、フル・アルバムをコンセプト・アルバムにして映画のような世界にしたい。それが僕の夢です。まだリリースも少ないし次もミニ・アルバムだから、まだ誤解もあると思うんです。だから、これがアクアタイムズだっていうのを作りたいですね。
Daisuke:プレイヤーの立場からっていうのがあるんですけど、やっぱり全国を廻りたいっていうのがあるんですよ。僕に限らずみんなそうだと思うんですけど、個人の存在だったり主張だったりを表現して、その場にいるお客さんと分かり合うっていうのを全国を周りながら一人一人確認していきたいっていうのはありますね。今はCDの中だけでしか表現ができてないので、それを直に伝えていきたいです。 取材・文●森本智
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