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'80年代終りにNative Tongue族が続々とデビューした時、ラップ音楽界はどう接したらいいのか戸惑ったものだ。Native TongueとはDe La Soul、A Tribe Called QuestやJungle Brothersらが起こしたムーヴメントである。彼らはロコモーティヴビートやストリートライフのことにほとんど関心がない、一風変わったラッパーで、まるでアーティストのように毅然と振舞い、リスナーをいい気分にさせてくれる。

TribeのQ-TipがNative Tongueの抽象詩人なら、Jungle Brothersは抽象バンドである。彼らの初期サウンドの代表的アルバムは、『Straight Out The Jungle』と『J. Beez Wit The Remedy』。この2枚は同じスタイルのレコーディングで、ファンクっぽさを消すことなくビートを控えめに抑えている。

典型的な作品は、ギターサンプルをたっぷり取り入れたサウンドに、エゴのない、ちょいとふざけた押韻語の歌詞だ。『Done By The Forces Of Nature』でのBrothersは、アフロセントリック(アフロ中心)な価値観を説教しており、KRS-One局ならさしずめ“edutainment”(education + entertainment)と名づけるだろう。

このアルバムや他のNative Tongue系のリリースにより、''80年代後半のニューヨークはカウンターカルチャーラップ発生の地と位置付けられた。そして皮肉なことに、穏健派と強硬派、イーストとウエストの間に断絶を築いてしまった。

Jungle BrothersとWarner Brothersとの意見の食い違いで、『J. Beez』のリリースは差し止められ、『Raw Deluxe』も同様の問題が持ち上がったが、のちにGee Streetからリリースされた。こういうビジネス上のいざこざに嫌気が差したのか、『Raw Deluxe』は彼らの中では最低の出来で、生気のないビートに情熱の感じられない押韻語ばかりが入っている。かつてのような有望株の健康なバンドに戻るには、まずもう一度病気になって出直したほうがいい。

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