【ライブレポート】flumpool、Zepp公演で証明した“迷いさえも音楽に”という決意

今年3月にリリースされたアルバム『Shape the water』を引っ提げ、全国4カ所のZeppを巡った全6公演のツアー<flumpool LIMITED TOUR 2025「Shape the water」>。そのファイナル公演が5月31日、東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で開催された。

この日は生憎の雨模様。しかし、“形のないものに形を与えたい”というメンバーたちの思いを込め、「Shape the water=水をかたどる」という意味を持つタイトルを掲げた今回のツアーにおいては、会場に向かうファンたちの足元を濡らす雨さえも大切な演出として機能していたはずだ。空から地面へと落ち流れゆく水と、留まることなく過ぎ去っていく時間がflumpoolの音楽を通して、それぞれの記憶の中で明確な形を成していく。
客電が落ちると、水をモチーフにした印象的なオープニング映像に導かれて山村隆太(Vo, G)、阪井一生(G)、尼川元気(B)、小倉誠司(Dr)、サポートメンバーである磯貝サイモン(Key, G)の5人がステージに現れる。大きな拍手と歓声を浴びながら山村が客席を煽る中、小倉のカウントを合図にライブがスタート。アルバム『Shape the water』と同様に、1曲目は「Keep it up!!」だ。ホーンを盛り込んだ爽快なサウンドが華々しく会場を包み込んでいく。続く「ちいさな日々」では夕暮れ時を想起させるオレンジ色の照明を浴びながら、些細な日常の中にある希望を美しいメロディに乗せてメッセージ。「SUMMER LION」では曲中の“Wake me up”“Knock,knock,knock”をそこにいる全員で叫び、心地よい一体感が生まれていく。

「このツアーは『Shape the water』というアルバムがあってのもので。15年以上やってるとみんなが聴きたいflumpoolの曲があると思いますけども、ごめんなさい、今日はしません。先に言っとく(笑)。今日はアルバム曲ばかりになります」と、MCで告げた山村。続けて「『Shape the water』というタイトルは、水をかたどるという意味で。水には形がないけれどコップに入るとコップの形になるし、何かにぶつかると形を変えます。そんな風に僕たちの見えない音楽がみなさんの心にぶつかって形になればいいなと思って作っていったアルバムです。何かとぶつかるのはイヤなことでもある。けれど、ぶつかることがいいなと思ってもらえるようなライブを今日は用意してきました。心ゆくまで楽しんでほしいなと思います」と、今回のライブに込めた思いを真摯に伝えた。

次のパートでは、終わってしまった関係への忘れ得ぬ思いをせつなく届けた「迷宮シナプス」、flumpoolのコアな側面が垣間見れるクールなナンバー「puzzled」、R&B的なアプローチでグルービィなサウンド&ボーカルが堪能できた「Love’s Ebb and Flow」と、バンドとしての幅をしっかりと見せつける。アルバムの中で強い個性を放っていた楽曲たちが、ライブという空間でより生々しく響き、観客を魅了していたのが印象的だった。
山村が出演中のドラマ「MADDER その事件、ワタシが犯人です」や、阪井が劇伴を担当したドラマ「対岸の家事~これが、私の生きる道!~」の話題で大きく盛り上がったMC。そこで繰り広げられる和気あいあいとした楽しいムードもまたflumpoolのライブでの大きな魅力。幼馴染である山村、阪井、尼川の軽妙な掛け合いと、それを微笑みながら無言で見つめる小倉。その関係性があってこそ、多くの人を惹きつけ、愛され続けるflumpoolの音楽世界が形作られていることは間違いないだろう。

「頑張っているあなたに届けたい曲です」という山村の言葉に続いて演奏されたのは「ハレルヤ・レディ」。あたたかなバンドアンサンブルと山村の歌声により、会場にいるすべての人の頑張りが報われ浄化されていく。そこから「Hourglass」「Sugarsong」という胸に染み入るラブソングを2曲連続で。リアルな情景とともに切ない感情が紡がれていく。「Sugarsong」のラストでは眩い光に包まれながら大合唱が生まれる感動的なシーンが描き出された。

「君に恋したあの日から」でハッピーなムードに会場を染め上げた後は、吹き付ける雨風と雷鳴をきっかけにドロップされたロックチューン「アラシノヨルニ」で後半戦に突入。メンバーのアグレッシブなパフォーマンスに呼応するように、オーディエンスもコブシを突き上げながら“wow wow”と激しく声を上げる。メンバーたちの圧巻のソロプレイを経て、山村の鋭いタイトルコールからスタートしたのは「Just stand by me」。リアルなリリックでオーディエンスを突き刺しながら、強靭なビートとサウンドでフロアをぐいぐいと揺らしていく。続く「FREE YOUR MIND」では高まる熱量はさらに沸騰。歌詞を変えて歌われた“主役は東京だーー‼”のフレーズに大歓声が沸き起こる。磯貝によるキラキラとしたシンセサウンドが世界観を鮮やかに彩った「星空サイクリング」では、爽快な高揚感でZeppが満たされた。カラダを突き動かすビートを繊細に繰り出す小倉、楽しそうにステージ上を動き回りながら演奏する阪井、曲の世界にグッと入り込みながら頭を揺らし低音を鳴らす尼川、そして1人ひとりに向けて思いを込めた歌を響かせていく山村。flumpoolが一丸となって届けた音楽が最高の時間を創り上げていく。

「まだまだ行けますか! 楽しんでる?」という山村からの投げかけに、大きな声で答える観客たち。そこから楽しいコール&レスポンスを経て、眩しい太陽の光を感じさせる「夏Dive」を披露、会場を一足早い夏へと誘う。サビで繰り広げられる息の合ったダンスによってフロアには波のようなうねりが生まれた。そしてラストに演奏されたのは「Touch」。そこで生まれた“I touch you,you touch me”の大合唱は、flumpoolとファンとの相思相愛の関係性をさらに鮮明なものにするものだった。何があっても決して揺らぐことのない強い絆を確かめ合って、本編は興奮のまま幕を閉じた。
アンコールの声に呼び込まれ、ツアーTシャツを纏ったメンバーたちが再びステージに現れる。メンバー紹介や、8月からスタートするファンクラブツアー『The Best “Minor”Songs Tour 2025「Spill the water」』の告知などを経て、アンコール1曲目に歌われたのはflumpoolのメジャー1stシングル表題曲である「星に願いを」。そこでは山村が最前列のファンにスマホで動画を撮影することをお願いし、曲中ではそのスマホで自らが歌う姿や客席などを撮影するというサプライズも。flumpoolが大切に歌い継いできた1曲が、思いもよらぬ演出で彩られたのはツアーファイナルならではだろう。そして、最後に山村が自らの思いを赤裸々に吐露する。

「迷いとか葛藤とかは生きているとあるけど、その答えはなくていいと思う。迷っているならそのまま、わからないならそのまま伝えればいい。そう、あなたが教えてくれました。わからないことも、その感情のままに音楽にすればいいと、あなたが教えてくれました。だからこれからも4人で、flumpoolとして迷いさえもちゃんと音楽にしていこうと思ってます。みなさんの心の中にあるちょっとした迷い、明日への憂鬱、やり残したこと、言いそびれた言葉、そのひとつひとつをちゃんと誰かに届けられるように、僕らはあなたの背中をこれからも押していきます。共に今という瞬間、掴んでいきましょう。戦っていきましょう。今日はありがとうございました!」

そんな思いを胸に、この日の、そしてツアーのラストソングとして歌われた「明日への賛歌」。それはflumpoolと僕らの未来を輝かしく照らしてくれるものだった。
flumpoolにとって約10年ぶりとなる今回のZeppツアー。ライブハウスならではの距離感、空気感は、彼らのバンドとしての魅力をあらためて感じさせてくれるものだった。また、『Shape the water』というアルバムの楽曲メインで構成されたセットリストには、最新作によって芽生えたバンドとしての確固たる自信がみなぎっていたように思う。このツアーをもって真の完成形へとたどり着いた『Shape the water』をもって、flumpoolはここからも力強く歩みを進めていくのだろう。自分たちの思いを余すことなく、音楽を通してかたどっていくために。

文◎もりひでゆき
写真◎白石達也
<flumpool LIMITED TOUR 2025「Shape the water」>
2025年5月31日 Zepp DiverCity(TOKYO)
1.Keep it up!!
2.ちいさな日々
3.SUMMER LION
4.迷宮シナプス
5.puzzled
6.Love’s Ebb and Flow
7.ハレルヤ・レディ
8.Hourglass
9.Sugarsong
10.君に恋したあの日から
11.アラシノヨルニ
12.Just stand by me
13.FREE YOUR MIND
14.星空サイクリング
15.夏Dive
16.Touch
<アンコール>
17.星に願いを
18.明日への賛歌
プレイリスト https://a-sketch-inc.lnk.to/flumpool_shape-the-water_tour
<flumpoolオフィシャルファンクラブ「INTERROBANG」会員限定ツアーThe Best “Minor” Songs Tour 2025「Spill the water」>
8月29日(金) 福岡 DRUM LOGOS
開場18:00 / 開演19:00
問い合わせ:BEA
092-712-4221(平日 12:00〜16:00)
https://www.bea-net.com/index.html
8月30日(土) 広島クラブクアトロ
開場17:00 / 開演18:00
問い合わせ:YUMEBANCHI(広島)
082-249-3571(平日12:00〜17:00)
https://www.yumebanchi.jp
9月5日(金) 渋谷クラブクアトロ
開場18:00 / 開演19:00
問い合わせ:ディスクガレージ
https://info.diskgarage.com/(お問い合せフォーム)
https://www.diskgarage.com
9月7日(日) 名古屋クラブクアトロ
開場17:00 / 開演18:00
問い合わせ:サンデーフォークプロモーション
052-320-9100(月~日12:00~18:00)
https://www.sundayfolk.com
9月12日(金) 梅田クラブクアトロ
開場18:00 / 開演19:00
9月13日(土) 梅田クラブクアトロ
開場15:00 / 開演16:00
問い合わせ:キョードーインフォメーション
0570-200-888(11:00〜18:00 日祝休)
https://kyodo-osaka.co.jp
9月20日(土) 札幌PENNY LANE24
開場17:00 / 開演18:00
問い合わせ:WESS
https://wess.jp/contact/(お問い合わせフォーム)
https://wess.jp
9月26日(金) 渋谷Spotify O-WEST
開場18:00 / 開演19:00
9月27日(土) 渋谷Spotify O-WEST
開場15:00 / 開演16:00
問い合わせ:ディスクガレージ
https://info.diskgarage.com/(お問い合せフォーム)
https://www.diskgarage.com
スタンディング:¥7,000(税込)※お土産付き
ドリンク代別途/小学生以下入場不可
チケット
【年額会員】エントリー受付:6月3日(火) 12:00~6月16日(月) 23:59
入金期間:6月24日(火) 15:00~6月30日(月) 23:59
【月額(ライト)会員】エントリー受付:6月17日(火) 12:00~6月30日(月) 23:59
入金期間:7月8日(火) 15:00~7月14日(月) 23:59
※チケット申し込み関するお問い合わせ先
サクチケ:https://sakuticket.zendesk.com/hc/ja-jp/requests/new






