 RYO the SKYWALKERから ファンの皆さんにメッセージ♪ 夏にレゲエを楽しむポイントも訊いちゃいました。
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――BARKS初登場ということで、RYOさんがレゲエに興味をもったきっかけから教えてくださ。
「いろんな音楽を聴いてクラブに遊びにいってたところに、いつの間にかレゲエクラブで店員として働きだして。そのうちにレコード回しを始めたんですけど、そのときにダブ・プレート(各クルーが持っている一点物の歌)を作りにジャマイカに行こうと。それで本場で観たDeeJayから刺激を受けたのが、歌いだすきっかけでしたね。で、日本に帰ってから2~3年間、いろいろなライヴとかでマイク握らせてもらって、インディから作品を出すことも決まったんです。けれども、そこでレゲエはジャマイカのもんやから、とにかくジャマイカを知って完全に吸収せんと、日本に伝えるなんてできへんと思って、もう一度行きました。そのときは、マイク持ってえらそうなことを言うんやったら、向こうのことを知り尽くさなアカンと思ったんですよ。でも結果的には1年で帰ってきました。でも自分にとってその経験は大きかったですね」
――なるほど。DeeJayとしてジャマイカで一番刺激を受けたことは?
「考える前にやっちゃうことですかね。やっちゃう勢い。やらんより、やるほうが絶対プラス。そういうポジティヴさっていうか」
――そういった勢いが今回のアルバムにもすごく出てるなと。
「そうですね、今まで2枚のアルバムを出して、そろそろ俺の背景を知ってもらわんと、ソロ活動の本当の意味がわからないというか…。ソロを始めたときからずっと言ってるんですけど、みんながおってナンボっていうのがレゲエやと思ってるんで。だから周りのみんなに声かけて、コンピレーションというかセグメント・スタイルで、より現場感の近いスタイルで、普通のリスナーの耳にまで届けばな~と。まあ、今回はみんなの協力がなければマジできなかったんで、ほんと感謝って感じです」
――今回はプロデューサー初挑戦ですよね。一番気をつけたところは?
「全体でいうと、曲の並びと抜き差しですかね。もちろん、曲単位で作っていく時点で、リズム作りからいろんなところで口だしたり、リリックに関してもその人の味で骨組みを作ってきてもらいつつ、自分の世界観でちょこっと言葉を変えさせてもらったりとか。あとは全体のミックスも初めての挑戦なんですけど、古くから知っているエンジニアとやらせてもらいました。通常のやり方なら曲単位でミックスしたものをノン・ストップ・ミックスにすると思うんだけど、今回はノンストップにするという前提で、抜き差しをやってみようと。だから全体を、細かいところを頭からケツまで自分でコントロールできるようにスタジオにこもってミックスしたんですけど。この辺で飽きてくるな~って感じたときには大胆な抜きをやったりとか、曲の並べ方しかり、タイミングとかも気を遣いましたね。もともとレコード回しもやってきたので、そのカンどころも自信があるし。だから、ズルッと頭からケツまで通して聴けると思うんですよね」
――リディム(トラック)は大御所、Sly&Robbieを筆頭に、Bobbie Dixon(Digital-B)、Steely & Clevieとそうそうたるメンツが手掛けてますね。
「3way=3つのリディムを作ろうっていうのはもともと決めてて。1wayっていうのも『Music is Mystic』でPUSHIMがやってたし、3wayくらいがちょうどいいかなって。それぞれ自分のリスペクトしているアーティストだし、以前にも何曲かお願いして多少自分のこともわかってもらってたんで。それぞれから2トラックくらい作ってもらって、いいほうを選んだんですけど、スラロビ、デジビはもともと狙ってるほうがよくて。スティクリに関しては、ソカのダンスホールみたいのをメインに作ったんですけど、このトラックのようがよくて。もともと「スレンテン」っていうトラックがあるんですけど、その高速ヴァージョン」
――Sly & Robbieのリディムもタイトルを象徴するように密林のイメージで、ファンキーですよね。
「トラックだけで聴けるでしょ。これは俺のリクエストで、生の管楽器、ラッパ3管までスライのファミリーにやってもらって。普通、ダンスホールのトラックに生のラッパを入れることはそんなにないんですけどね。「BUSH HUNTER」のテーマを作るにあたって、ジャングル感っていうか、象のパォ~ンじゃないですけど、なんか熱帯感っていうのを入れたくて。いや、バッチリでした(笑)。密林な感じ、熱い感じですね。で、ジャマイカからこれをもって帰ってきたときにみんなに聴かせて、イメージ伝えてないのに「ジャングルやな~」って感じてくれて嬉しい~みたいな・・・」
――参加したDeeJayたちに関しては?
「もともと大阪なんで、大阪の繋がりは強いけど、自分がよくやってる人もいつつ、一緒にやりたいな~って言う人に声をかけて。もちろん他にもやって欲しい人はいっぱいいたんですけど…。やれることが決まった人から、この人にはこのトラックっていうのでお願いして。それもうまくハマったかな~と思ってるんですけど、まあ、ゴリゴリばっかりでもしんどいので、所々でシンガーを散りばめる形で。予想以上の出来になりました。」
――RYOさんがリリックを書くときのポイントは?
「俺の場合はフレーズから出るときもあるし、メッセージから考え出すときからもあるし・・・・ケース・バイ・ケースですかね。「BUSH HUNTER」はレーベル、BUSH HUNTER MUSICのアンセムを作るってところから始まって、決意表明がありつつ、なんか自分語っていうのを出したくて、”チワキニクオドレ”っていうのを考えたんですけど(笑)。映画とかの枕詞でよく使われる”血湧き肉踊る冒険活劇”というフレーズがあるんですけど、 “血液が沸騰して肉が踊る”そういうアドヴェンチャー的な、まさに冒険活劇の形容詞なんですけど。要するに”ダンスミュージックも、理性を忘れて野性的に騒ごうぜ!”みたいなところで、その言葉を使って”チワキ二クオドレ、おまえら!”みたいな(笑)。今までも「ふたりワンマン」とか、結構造語作るの好きで。自分なりにもただ作ったっていうよりは、そこに”なるほど”って思えるのは詰めてると思うんで。自分なりの意味は一個あるんですけど、そうじゃなくいろいろ想像を膨らませてもらえればと思うんですよね。ちょっとした暗号ですね」
――シーンは大きくなるけれども“現場感”を常に大事にするRYOさんの想いがこの作品で表われてますね。
「シーンも拡がってるし、選べるし、お手本もあるし、場所もいっぱいあるし、おもろいっすよね。でも大きくなって、広く発信している所に立たせてもらっている以上は、負けたもん伝えたらあかんし、汚したもん伝えたらシーンに及ぼしてしまうだろうし、そこは紳士の態度でやらんと、常に手は抜かれへんなって。自分だけの話じゃないからっていうのは感じてますよ。特に今回はみんなに助けてもらって、俺が他のチューンも引き立てて、俺のチューンも引き立ててもらってて、やっぱり次々くる面白さとか、流れの面白さも出せたと思うし、ただのダンスホールでは収まらないですね。俺がこんなスタイルで続けてられるもの周りがあるからやと思いますね」
取材/文●イトウトモコ
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