テイク６の新作にスティーヴィー・ワンダーの傑作「ラヴズ・イン・ニード・オブ・ラヴ・トゥデイ」が収録されると聞き、2001年９月11日のテロを受けてのアルバムかと思った人も多い。いずれの作品も、現代社会への大いなる警鐘と愛の必要性を訴えるメッセージを持った作品ばかりだからだ。このアルバムのコンセプトは何か。アルバムに秘められたドラマとは……。彼らに聞いた。

『ビューティフル・ワールド』
WARNER MUSIC JAPAN　WPCR-11244
2002年05月09日発売　2,520(tax in)

1 テイキン・イット・トゥ・ザ・ストリート
（ドゥービー・ストリート）
2 ピープル・ゲット・レディ
3 グランドマザーズ・ハンド
4 ある愛の伝説
5 ビューティフル・ワールド
6 ドント・ギヴ・アップ
7 ウェイド・イン・ザ・ウォーター
8 いつか自由に
9 エヴァーラスティング
10 フラジャイル
11 ピース・イン・ザ・ヴァレー
12 ストリート・ジャム
13 ラヴリー・デイ
14 テイキン・イット・トゥ・ザ・ストリート（リミックス）

サードを歌うデイヴィッド・トーマスが語る。「自分たちで何か曲を書いて歌うというよりも、むしろ、テイク６らしい（既存の）曲をアレンジしようというところから始まったんだ」

新作『ビューティフル・ワールド』にはカーティス・メイフィールド作インプレッションズの’65年の大ヒットにして大傑作「ピープル・ゲット・レディー」や、スティーヴィー・ワンダーの’76年の傑作アルバム『ソングス・イン・ザ・キー・オブ・ライフ』のトップを飾る前述の「ラヴズ・イン・ニード・オブ・ラヴ・トゥデイ」などが収録されている。多くのテロや戦争が起きている2002年という昏迷の現代に聴くと、いっそう心に染みるメッセージ・ソングばかりだ。「これは、９月11日のテロの後を受けて、作ったアルバムですか？」と尋ねた。

アルバムに収録されている作品のひとつ「サムデイ・ウイル・ビー・フリー（邦題、いつか自由に）」は、故ダニー・ハザウエイの’73年の傑作である。“回り続ける地球に、振り落されないよう、しっかりつかまるんだ。世界は急速に変化している。だけど、しっかり追い付いていけば、生き永らえる。いつか僕たちは、自由になるんだから”という内容。この普遍的なメッセージは、30年近くたった今もまぶしいほどの輝きを放つ。ダニーは、あまりに猥雑なこの世界に厭気がさしたのか、’79年、エセックス・ホテルの13階からマンハッタンの冷たいコンクリートの上に身を投じた。その時、彼には９歳になる娘がいた。娘はその後、父の跡を追い歌手になった。娘の名は、レイラ・ハザウエイ。この傑作が生まれた時、彼女はまだ４歳にも満たなかった。

そのレイラが、テイク６のヴァージョンで客演している。レイラ32歳にして、父親の遺産「サムデイ・ウィル・ビー・トゥゲザー」を歌ったのだ。当初、彼女はこの曲の録音に躊躇したという。前回来日した時にレイラに聞いたことがある。「あなたは、ナタリー・コールが録音したように、将来、父親の作品群を録音するつもりはあるか」と。彼女はその時、きっぱり「ノー」と答えた。一体どのような心境の変化があったのだろうか。ここにももうひとつの隠されたドラマがあるはずだ。

『TAKE 6』
WARNER MUSIC JAPAN　WPCR-319
1995年04月25日発売　￥1,835(tax in)

全曲試聴はこちら　 WMP / RA

『ソー・マッチ・トゥ・セイ』
WARNER MUSIC JAPAN　WPCR-320
1995年04月25日発売　￥1,835(tax in)

全曲試聴はこちら　 WMP / RA

1 ノット・アゲイン！！
2 ソー・マッチ・トゥ・セイ
3 ヒューマン・ボディ
4 Ｉ L-O-V-E U
5 サムシング・ウィズイン・ミー
6 タイム・アフター・タイム
7 カム・アントゥ・ミー
8 アイム・オン・マイ・ウェイ
9 アイ・ビリーブ
10 サンデーズ・オン・ザ・ウェイ
11 アイム・オン・マイ・ウェイ
12 ザッツ・ザ・ロウ
13 子供たちは何処へ？

『ジョイン・ザ・バンド』
WARNER MUSIC JAPAN　WPCR-50
1994年07月25日発売 ￥2,446(tax in)

『ブラザーズ』
WARNER MUSIC JAPAN　WPCR-600
1996年05月10日発売 ￥2,446(tax in)

『グレイテスト・ヒッツ』
WARNER MUSIC JAPAN　WPCR-10458
1999年07月28日発売 ￥2,520(tax in)