愛すべきインディー・ロックのベテランたちが織りなす珠玉の一夜
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Yo La Tengo ドラマーである妻のGeorgia Hubleyが、眠たげに揺れる子守歌のように「Night Falls」を歌いはじめると、ギタリストで夫のIra Kaplanはすぐさま頭を超現実的にするサイケデリアへと曲を転換した。彼がフィードバックにマレット、ヘヴィにリヴァーブを効かせたリフや電子音で技巧を凝らす一方で、ベーシストのJames McNewはソフトで安定したベースラインをキープする。続いてMcNewが星をちりばめたようなライティングの下に加わると、Hubleyはドラムキットをブラシで操り、Kaplanはオルガンに移動して分厚いコードを響かせる。そうして、音楽で描く夕暮れが暗闇へと溶けていくころ、(時として)穏やかで優しい『Twin Peaks』のサントラのようなその夜のショウにとって、これが完璧で決定的なオープニングだったことが明白になるのだ。 こうしたヴァイブはRoxyでのショウの大半で維持され、最新アルバムの最もおいしい部分をフィーチャーしながら進行した。Stereolab風の「Let’s Save Tony Orlando’s House」ではGeorgiaのソフトなマシン操作が曲をリードし、自由な精神に満ちた「We’re An American Band」ではアシッドロックがジャズコンボに取り憑いたようなフリーキーな展開を見せた。Hal Hartleyの映画『Amateur』でフィーチャーされた「Shaker」の煉獄のような鼓動、Jonathan Richmanっぽい「Should I Cry」、そして教会風のオルガンバラード「Autumn Sweater」へと、バンドはシフトアップしていく。さらに、George McCraeのディスコヒット「You Can Have It All」の発溂としたカヴァーでは、白人少年によるSoul Train風フラダンスも披露され、ばかばかしくもチャーミングなお楽しみを提供した。だが、その夜のハイライトは、アルバム『And Then Nothing Turned~』からの拡張された、浮遊する音楽の光景であり、「Tears Are In Your Eyes」「The Crying Of Lot G.」を含む一連の作品はゴージャスなまでに抑制が効いていた。ここで展開された甘いささやきは、Yo La Tengoのノイジーで、“イージーなスリルを無料で皆さんに”という性向よりもはるかに効果的だ。そして退出する観客に祝福の響きを与えたのは、幸福なことにフィナーレの静かなシャッフル「Our Way To Fall」だった。 Go-Betweens Yo La Tengoと同様に、Go-Betweensのセットも少ない曲を長時間演奏する傾向にあった。最後は新曲の「Surfing Magazines」で弱々しく終わったが、その前にForsterが“VH-1でいつでも54位の曲”と紹介した「Spring Rain」こそフィナーレにふさわしい曲だ。だが、長らく待たれていた再結成だっただけに、記念すべき瞬間を少しでも長く続かせようとした彼らを許すことにしよう。
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