【ライブレポート】East Of Edenが示した、向かうところ敵なしの強大なエネルギー

2025.03.29 12:00

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East Of Edenが初のフルアルバム『The First Eden – Seeds Of Hope』を携えて回った全国ツアー<East Of Eden Spring Tour 2025 ~ Seeds Of Hope ~>、その日本公演ファイナルが、湊あかね(Vo)の誕生日当日である3月20日にZepp DiverCity(TOKYO)で開催された。

開演1時間前にMINA(B)の体調不良による出演見合わせがアナウンスされたものの、メンバーは即座にSNSで「4人でMINAちゃんのぶんまで精一杯盛り上げる」と前向きなコメントを発信し、観客の不安を払拭した。蓋を開けてみるとその言葉通り、雨降って地固まるを体現する4人のバンド愛とメンバー愛が漲った一夜となった。(なお写真は3月19日に撮影したものを掲載)


Ayasa(ヴァイオリン)

オープニングSEにAyasa(Vn)の音色が重なり、新体制初シングル曲かつアルバムの1曲目である「Shooting Star」でライヴをスタートさせる。MINAの立ち位置に彼女の機材が配置され、続いての「Chasing the moon」の間奏では湊がMINAのベースの横に立ち、堂々とした佇まいで会場を盛り上げた。優雅さと激しさを併せ持つプレイで魅了するAyasa、身重で腹部を気遣いながらも鋭い音色を鳴らすYuki(G)、ムードメーカーのように痛快なビートで突き抜けるMIZUKI(Dr)と、メンバーそれぞれの魅力が発揮された爆音は観客を高揚感へといざなう。「Unapologetic freedom」ではシリアスなムードで会場の意識を引きつけ、今作でThe First Edenが手に入れた振れ幅の広さを明示した。


MCではMINAの出演見合わせに言及し、大事を取っての休養であること、この日使用しているベースの演奏は前日のMINAのプレイをライン録りしたテイクであることを明かし「だから今日のライヴも実質5人!」と観客を安堵させる。Yukiも自身の体調を気遣いながら演奏をまっとうすることを誓い、Ayasaも「今日は(MINAとYukiのお腹の中にいる子も合わせた)6人でライブをやっていると思っています」と意気込んだ。


湊あかね(ボーカル)

「Doesn’t Matter」では観客に振り付けをレクチャーして一丸となって興じるなどThe First Edenには新しい試みを見せ、結成直後にリリースした1stミニアルバム曲「無重力飛行」「This Moment」は4人の身体に馴染んでいることもあってか、しなやかかつ風通しのいい演奏を響かせる。湊が「このツアーでバラード曲が育ってきた」と手ごたえを語った後は、「I don’t say goodbye」「Don’t Look Back」と彼女の歌声が主軸となった楽曲を立て続けに披露した。集中力の通った隙のない歌が、観客を曲の深部まで引き込む。プレイヤーチームも手と手を取り合うように音を重ねて楽曲の世界を構築し、湊の歌声を際立たせた。このメンバーで様々なことを乗り越えたからこそ成し得たであろう優しさに満ちたグルーヴは、海のような壮大さと悲喜こもごもで織りなす深みや昂りに溢れていた。

MIZUKIが手掛けたインストナンバー「Yellow Card」ではメンバーのコンビネーションが活きたアンサンブルやドラムソロなどで会場を沸かし、「Noise-Canceling」で再びスケールの大きなサウンドと琴線に触れるボーカルで会場を包み込むと、メンバーはツアーの思い出話に花を咲かせる。前日の終演後に湊、Ayasa、MIZUKIの3人が同じホテルに宿泊し、0時を迎えた瞬間に湊の誕生日を祝ったエピソードでは、湊が「35歳になってすぐに食べたカレー味のカップ麺が心に染みた」と喜びをあらわにしたり、事務所の用意していたホテルに宿泊していたYukiからうらやましがるメッセージが届いたことを明かしたりと、朗らかな空気感からもバンドの良好な関係性がうかがえた。


Yuki(ギター)

そしてライヴはクライマックスへ。突拍子のないアイデアが詰め込まれた「Darkside Lotus」は生演奏で聴くとあらためてそのソングライティングやアレンジの異端さが浮き彫りになり舌を巻く。これだけ展開が多くて、個性的なフレーズが散りばめられているのにぎりぎり散漫とせずスリリングな空気へと昇華できているのはメンバーのスキルがあってこそと言えるだろう。「Breaker」「Red Line」と4人はゾーンに入るように歌と演奏を研ぎ澄まし、その気魄は目を見張るものがある。湊が「声出す準備できてますか?」と威勢よく呼びかけてコール&レスポンスから「花美」につなぎ、曲中で4人が階段状のステージでMINAのポジションを含めて逆三角形のフォーメーションを作る様子は、花火が打ちあがる景色さながらだ。本編ラストの「IKIZAMA」はバンドのグルーヴでフロアをかき回し、向かうところ敵なしの強大なエネルギーはとても瑞々しかった。

「CROSS∞ROADS」をアンコール1曲目に披露したあと、AyasaとYukiがおもむろに「Happy Birthday to You」をプレイし、湊の前に巨大ケーキを差し出したMIZUKIはロウソクに火をつけた後に笑顔で観客へとシンガロングを促す。祝福の歓声と拍手に包まれながらロウソクの火を吹き消した湊は「今回のツアーはいろいろあって大丈夫かなと思ったけど、皆さんに支えられてこんな素敵なツアーファイナルを迎えることができました」と涙ながらに述べると、35歳の抱負として「武道館にいきたい。これは目標であり夢であり、越えなければいけない壁です」「皆さんに楽しんでいただけるようにライブを続けていきたい」と野望をまっすぐ言葉にした。

そして4人はMINAがこの日参加できなかったことを受けて、4月8日にKT Zepp Yokohamaにて追加公演を開催する旨を発表する。MINAの出演見合わせが決まってすぐ、つまりこの日の開演前に急遽セッティングした同公演は、Yukiの産休前最後のワンマンライヴとなる。Yukiも「年内には(産休から)帰ってきたい」と希望を語り、観客も彼女たちの未来にあたたかい拍手を送った。


MIZUKI(ドラムス)

最後のメンバー挨拶でAyasaは「MINAちゃんも今日絶対に出たかったと思うけど、そんなMINAちゃんに『これから先もいっぱいライヴができるから気にしないで』と言えるのはバンドだからだなと思って」と涙で声を詰まらせる。そして「このメンバーなら楽しい思い出をたくさん作れるだけでなく、大変なことも試練もその都度乗り越えられると感じたツアーでした。追加公演は最高のツアーファイナルにしたいです」「本日完全体をお届けできなかったことは大変申し訳なく思っているのですが、それでも最後まであたたかく一緒に過ごしてくださってありがとうございます」と再度観客に意欲と感謝を告げた。

この日の締めくくりに彼女たちが選んだのは、バンドが初めて発表した楽曲「Evolve」。湊は途中MINAの立ち位置で歌唱をし、間奏ではAyasaとYukiがダイナミックなソロの掛け合いを見せるなど4人一丸となってすがすがしい空気を作るなどして、この後に控える中国公演と追加公演へとポジティブなムードをつないだ。


MINA(ベース)

この日印象的だったのは、メンバー全員がこのメンバーで音を鳴らすことを心から楽しんでいたこと、そして圧倒的にバンドとしての力が上がっていることだった。新ベーシストの選出、MINAへの加入交渉、新編成で新作家陣を多数招き急ピッチで行ったアルバム制作、1週間弱で4公演を回るツアーと、この数ヶ月は彼女たちにとって試練ではなかったと言えば嘘になるだろう。これらを乗り越えられたのは5人がお互いを支え合えたからであり、この日の予期せぬ事態を良好に乗り越えられたのはバンドがたくましく成長しているからに他ならない。湊が最後に「East Of Edenでした!」と高らかに叫んだ頼もしい姿は、まさしくバンドの現状を象徴していた。


取材・文◎沖さやこ
写真(2025年3月19日@Zepp DiverCityにて)◎Ryoichi

<East Of Eden Spring Tour 2025 ~ Seeds Of Hope ~>追加公演

2025年4月8日(火)
@KT Zepp Yokohama
開場:18時 / 開演:19時
・S席 13,000円(税込)
※終演後お見送り付
※ラミネートパス付(当日会場にてお渡しに限る)
・A席 7,500円(税込)
・車椅子A席 7,500円(税込)
ぴあ:https://w.pia.jp/t/eastofeden2025/
ローチケ:https://l-tike.com/eastofeden/
e+:https://eplus.jp/east-of-eden/

アルバム『The First Eden – Seeds Of Hope』

2025年3月12日(水)発売
楽曲の視聴および購入:https://EOE.lnk.to/TheFirstEdenPu
[通常盤(CD)]
・品番:WPCL-13628 / 価格:3,300円(税込)
・収録内容:CD
1. Shooting Star
2. Breaker
3. Darkside Lotus
4. I don’t say goodbye
5. Don’t Look Back
6. Unapologetic Freedom
7. Doesn’t Matter
8. Noise-Canceling
9. Red Line
10. IKIZAMA
11. YELLOW CARD *通常盤のみ、配信ナシ

[初回限定盤A(CD+Blu-ray)]
・品番:WPZL-32185-6 / 価格:8,250円(税込)
[初回限定盤B(CD+DVD)]
・品番:WPZL-32187-8 / 価格:8,250円(税込)
・収録内容:CD
1. Shooting Star
2. Breaker
3. Darkside Lotus
4. I don’t say goodbye
5. Don’t Look Back
6. Unapologetic Freedom
7. Doesn’t Matter
8. Noise-Canceling
9. Red Line
10. IKIZAMA

Blu-ray / DVD(「Shooting Star」MV、MVビハインド・ザ・シーン、5人分のMVソロ・バージョン)

[WMS限定豪華盤 CD+グッズ+Tシャツ(サイズL / XL)]※完全生産限定
・サイズL 品番:WPCL-60084 / サイズXL品番:WPCL-60085 価格:10,450円(税込)
・収録内容:通常盤CD(「Shooting Star」、「Yellow Card」含む全11曲収録)、アクリルスタンド、Tシャツ(LもしくはXL)
Lサイズ:https://store.wmg.jp/collections/eastofeden/products/4513
XLサイズ:https://store.wmg.jp/collections/eastofeden/products/4514

[CD購入特典]
・Amazon.co.jp:メガジャケ
・楽天ブックス:アクリルキーホルダー
・セブンネットショッピング:アンブレラマーカー(個別ソロアー写5体セット)
・disk union:コルクコースター 
・その他CDショップ:クリアファイル
※特典クリアファイルの対象店舗はワーナーミュージック・ジャパンのHPをご確認ください。
※特典ナシのカートもございますのでご注意ください。
※一部取扱いのない店舗もございます。
※特典はなくなり次第終了とさせていただきます。
※特典の有無に関するお問い合わせは直接各店舗へご確認下さい。

◆East Of Edenオフィシャルサイト