【インタビュー】Alternation of Generations、「人力でできる極限的にテクニカルな面を打ち出し、なおかつ楽しめるような音楽を」

令和の時代に人力の限界に挑むプログレッシヴポップバンド・Alternation of Generations。
NoGoDとしても活動するDANCHOがボーカルを務め、元ギルドのギタリスト&メインコンポーザーのYOSHIHIRO(G)、数々のプロジェクトにベーシストとして参加するRyosuke(B)、Unlucky MorpheusのドラマーであるFUMIYA(Dr)という強力な布陣人のバンドだ。
そんなAlternation of Generationsが、約4年ぶりとなるEP『REVOLVE』を発売。このメンバーならではの激烈なプレイングとハイブリッドなロックサウンドは、この時代に新たな驚きを与えてくれる。
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──まずは、Alternation of Generationsを結成した流れなどを、あらためて話していただけますか。
YOSHIHIRO(G):コロナが始まる前だったかな。なにかのイベントでDANCHOと一緒になった後にホルモン屋で話をしていて、そこで新しいバンドをやるかという話になったんです。
DANCHO(Vo):YOSHIHIROさんはバンドをやめてからは作家系の仕事がすごく多かったけど、俺は彼が元々持っているギターヒーロー的な面やテクニカルな面をよく知っていたんです。自分もNoGoDというバンドをずっとやっていますが、NoGoDでも制約があって出来ないことがあるんですよ。シンセやストリングスを入れた音楽は基本的にやらないとか。YOSHIHIROさんは常に新しい音楽を研究して、それを表現していく人なので、培ってきた知識やスキルを思う存分形にするプロジェクトがあってもいいんじゃないか……みたいな話で盛り上がったんです。
YOSHIHIRO:ホルモン屋でね(笑)。そのままメンバーをどうするかという話になった時に、僕はもうその場でRyosukeに電話しました。
FUMIYA(Dr):その場で電話したんだ?(笑)。
YOSHIHIRO:うん。その場で電話するほうもどうかと思うけど、話を聞いた瞬間なにも考えずに「やる」と言ったRyosukeも凄いと思います(笑)。どうやって説得しようかなと考えていたのに、即答だった。
Ryosuke(B):いや、面白そうだったから(笑)。
FUMIYA:その時は音楽性とかも決まっていない状態で電話したの?
DANCHO:とにかく技術的にみんながビックリするような音楽ということは決まっていた。その時になんとなくYOSHIHIROさんと言っていたのは、“地獄カルテット”みたいなイメージでしたね。要は、キッズ達が“なんだ、これ? こんなこと人間ができるのかよ?”と思うような音楽を提示したかった。楽器離れも叫ばれている昨今で、人力でできる極限的にテクニカルな面を打ち出していて、なおかつ今の若い子でも楽しめるような音楽を形にしたいと。でも、そんなことをやってくれる人はいるかなという話になったんですよね?
YOSHIHIRO:そう。
Ryosuke:そうしたら、いましたね、ここに(笑)。

──そして、その後ドラムはFUMIYAさんに決まったんですね?
FUMIYA:僕だけ、ちょっとここまでとは流れが違っているんです。
YOSHIHIRO:元々は違うドラマーでメンバーが決まって、デモ作りとかを始めて、レコーディングも始まって、ある程度ライブも決まっていたんです。
DANCHO:そういう状況で、ドラマーがギブアップしたんです。自分には、ちょっと荷が重いと。もういろいろ動き始めてしまっている中で、このドラムを好き好んで叩ける人間が誰かいるかなとなった時に、自分の中では1人しか出てこなかった。すぐにFUMIYAに連絡して、実はこういうバンドを始めて、こういう曲なんだけど……という話をしたら「そんなの俺しかいないでしょう」と言ってくれたんです。
FUMIYA:結構大変なバンドだという話だったけど、楽しそうだなというのが先でしたね。僕もメインで活動しているUnlucky Morpheusというバンドがあるんですけど、そのバンドは分かりやすさ重視のメタルをやっていて。僕のプレイヤーとしてのエゴをもっと出していけるフィールドを常に探したんです。それに加えて当時はいろんなメタルバンドを掛け持ちしていたのですが、その中でも出し切れない、プレイヤーに特化したものをやりたいと思っている中でAlternation of Generationsの話がきて自分の思いと合致したし、事情も事情だったので、ここはもう僕でしょうと言って加入させてもらいました。
YOSHIHIRO:最初はサポートという話じゃなかったっけ?
FUMIYA:そう。サポートでもいいからと言われたのを、メンバーでやらせてくださいと言いました(笑)。
──理想的な4人が揃いましたね。では、ここまでの話を踏まえつつAlternation of Generationsの最新EP『REVOLVE』について話しましょう。本作を作るにあたってテーマや構想などは、ありましたか?
YOSHIHIRO:特にコンセプトのようなものは、考えていませんでした。前作の『P.O.P』をリリースしたのが2022年9月だったんですけど、その後ワンマンツアーをしてみて、ややこしい音楽をやっているけど意外とライブができるなと感じたんです。それで、その衝動があるうちに勢いで曲作りを始めて、翌春にはデモの視聴会とかをしていたと思う。なので、今回は前作を踏まえたうえでライブを意識していたかなという気がしますね。あとは、後づけでサウンドをシンフォニック寄りに向けてみようかなと思ったというのもあります。

──テクニカルな面をフィーチュアした音楽は“テクニックを見せるための楽曲”になってしまうこともありますが、Alternation of Generationsは楽曲クオリティーが非常に高いですね。楽曲の良さだけで勝負できるところに高度なテクニックがプラスされたスタイルになっていることは注目です。
YOSHIHIRO:僕が20才前後の頃にテクニカルな音楽を探していて、そうなると洋楽にもいくじゃないですか。でも、僕はJ-POPが大好きで、洋楽のロックを聴くとテクニック面はめっちゃカッコいいけど歌メロはそうじゃないと思ったりとか、逆にメロディーはいいけどテクニック面はちょっと物足りないと感じることが多かったんです。なので、Alternation of Generationsに関しては、当時の僕が聴きたかった音楽を作りたいという思いが大きいですね。
Ryosuke:僕はこのバンドを組むにあたって、曲がよくなかったらやらないと言いました。テクニックを駆使したプレイというのは相当自分を犠牲にしないとできないことだったりもするので、元の曲がよくないと自分の命は懸けられんぞ……というのがあるから。だから、家で練習したりする時は「なんだ、このヤローッ!」とか言いながらやっていますけど(笑)、結局YOSHIHIROの作る曲がいいから“やってやる!”という気持ちになりますね。
──『REVOLVE』は、それこそ楽器をやっていないリスナーでも楽しめるキャッチーな楽曲が並んでいます。具体的に曲をあげて話をお聞きしたいので、それぞれ『REVOLVE』の中でも特に印象の強い曲を教えていただけますか。
Ryosuke:僕は4曲目の「ルミナス」です。ベース的には1番聴き応えがあるかなと思うので。ベースソロがあるし、ギターとベースの高速ユニゾンもあって、しかもそれを1番最後にもう1回やるという。それは、僕がやろうぜと言ったんです(笑)。前作でも同じことをしていて、懲りないですよね(笑)。
──そういうことに懲りないのは、いいことだと思います(笑)。Ryosukeさんは全編を通して超絶的なベースを弾かれていますが、メリハリのつけ方が絶妙です。
Ryosuke:どうなんでしょうね? 基本的に“ブワァーッ!”と弾いていて、ルートを弾いているのはトータルで1分くらいじゃないかな(笑)。ただ、個人的にメロディーの合間を縫ってフレーズを入れるのが好きで、ずっと後ろでゴチャゴチャしているのは好きじゃないんです。そこは気にしながらアプローチしていますね。あと、ベースもできればキャッチーさを感じてほしくて、どれだけキャッチーなベースを弾けるかということも考えています。
DANCHO:Ryosukeはね、これだけのプレイを2フィンガーでやっているのがヤバいんですよ(笑)。
YOSHIHIRO:そう。2フィンガーであの速さというのは、ちょっと異常(笑)。
Ryosuke:そうかな? 2フィンガーという縛りがなければ、みんな弾けると思う。
一同:いやいやいやっ!(笑)
──かなりハードルが高くはありますが、テクニカルなベースが好きなキッズには、ぜひコピーしてほしいです。
Ryosuke:コピーしてほしいですね。
FUMIYA:ライブパフォーマンスも含めてね(笑)。うちの人達は、みんなすげぇ動くんですよ、ライブで。こういうのを黙って弾かないんだよな。

──レベルが高過ぎますね(笑)。話を「ルミナス」に戻しますが、この曲はメロディアスですし、繊細な導入から始まる構成やドラマチックかつエモいサビ、“上手くいかない人生だけど、自分が思う道を進んでいく”と歌っている歌詞など、楽曲自体の完成度の高さが光っています。
YOSHIHIRO:「ルミナス」はさっきもお伝えしたとおり、『P.O.P』のツアーの直後に書いた気がしますね。この曲は作っていくうちに表題ではないけど、たぶん日本人にはすごく刺さるメロディーだろうなという感触がありました。ただ、やはりバンドのスタイルとして黙ってはいられないので、演奏面は凄いことになったという(笑)。とはいえ、最終的に楽曲のエモさだけは崩さないようにというのがあって、激しいことはしていますが、後ろで鳴っているコードが持っているドラマチックな響きを絶対に殺さないようにしました。ユニゾンフレーズの始まる音の配置とかは、すごく注意しましたね。
DANCHO:「ルミナス」の歌詞に関しては、今回の中で歌詞のリテイクに1番時間をかけたと思います。YOSHIHIROさんはいろんな現場で曲を作っているし、いろんな作詞家さんと仕事をしていて、この曲は歌詞の方向性や温度感といったところの細かいビジョンが明確だったんです。「ルミナス」は今回の1曲目の「REVOLVE」と共に核になる曲で、近い立ち位置ではあるので、それぞれの差別化を図るというのがあったし、「ルミナス」に関してはYOSHIHIROさんから若い世代のリスナーに引っかかりやすいワードとか、ハッとするワードをもうちょっと増やしてほしいというリクエストがあったんです。あとは、最終的な温度感が幸福過ぎてはダメだし、絶望過ぎてもダメという、その辺のラインの擦り合わせにめちゃくちゃ時間をかけました。
──DANCHOさんは長いキャリアを持たれていて、「これが自分のスタイルだから」といって周りの要望などを突っぱねることもできるわけですが、リクエストされると応えたいという気持ちになるんですね。
DANCHO:このバンドは、特にそうですね。要は、各メンバーが出すものに対して自分がそれを上まわっていかないと置きざりにされてしまうようなところがあるんです。こういうふうにしてほしいと言われたら1.5倍、2倍、3倍で返していかないと……というある意味プライドというか、この人はこれを求めてもできないんだと思われたら負けみたいな意識が、このバンドの絆になっているところがあると思う。「俺はこれだけやっているんだから、お前もやれよ!」と全員で言い合えるバンドを組めるというのは稀なことだと思うんですよ。なので、メンバーの期待を上まわるもので応えるということは大事にしています。
FUMIYA:実際、ライブの後とかに「お前もっといけるだろう? 今日の感じだと、もったいないよ」みたいなことは言いますね。僕は、『REVOLVE』の曲は全部気に入っていて、敢えて1曲あげるとしたら5曲目の「Lost Child」かな。今回のEPの中で1番メカニカルというか、ちょっと冷たい雰囲気の曲で、ドラムも現代のメタルっぽいフレーズでビートを刻んだりするアプローチになっていますが、僕はいろんなシンバルを使い分けて、いろいろ“パシャパシャ・カチャカチャ”やるプレイ・スタイルなんですね。この曲はそれをふんだんに使えていて、でいながらメロディーが入っているところではハイハットの16ビートが繊細だったりしている。それが共存しているので、ライブで演奏する難易度が1番高そうな気がしますね。現代メタルっぽいドラムは大抵ベーシック過ぎて面白くないなというのがあって、この曲は自分なりの特色を出しているので、耳を傾けていただけると嬉しいです。
──FUMIYAさんのドラムはテクニカルであると同時に、楽曲の世界観を深めるアプローチが多いことが印象的です。
FUMIYA:僕は、それを1番考えています。プレイの方向性とかもそうだし、押し引きということもすごく考える。僕はバンドというのはメインメロディーがプライオリティーの1番上にあると思っているので、絶対にメロディーは潰したくないんです。いいメロディーを歌っている時にガチャガチャしたりは、絶対にしない。そのバランス感というのは、もう長年このジャンルに身を置いていて、そこで培われてきたものではあって。“技術を見せたい”という気持ちにはバンドのドラマーとしての技術も含まれていて、プレイが派手なことだけが技術ではないと思っています。
YOSHIHIRO:「Lost Child」は2022年のツアーをまわりながらベーシックを作っていた記憶がありますね。だから先行して作っていて、モダンメタルっぽい曲をAlternation of Generationsなりに解釈できないかなというテーマで作っていたことを覚えています。

──たしかに、インターパートなどは、ちょっとジェントが香っていますね。
YOSHIHIRO:そう。そういうところで、今どきっぽさを入れました。モダンメタルのテイストとメロディアスなサビを、上手く融合できたんじゃないかなと思います。
DANCHO:この曲はさっきFUMIYAも言ったように曲の雰囲気が冷たいというのがあって、歌詞もそういうテイストになりました。孤独をテーマにした歌詞ですが、これも寂しさのレベルというのが10段階くらいあって、最後に救いを出すか、出さないかということを精査しましたね。最初は“ど絶望”で終わっていたんですけど、この曲は最後にほんの少しだけ光を見せてほしいという要望があって。それでリライトしたら、「光り過ぎ!」と言われてしまった(笑)。自分はこういう冷たい曲というのは普段はあまりやることがないので、その辺りのさじ加減がよく分からなかったんです。でも、大まかなイメージや骨組みはわりとサクッと出てきて、細部を微調整した程度でした。この曲は他の曲よりも冷たさを増すということを重視して取り組みました。
──“精査”という言葉が出ましたが、今作は表情やニュアンス、抑揚などの細やかな使い分けを活かしたボーカルも大きな聴きどころになっています。
DANCHO:「Lost Child」は特にそうですが、今回は歌の面で顕著に出ているところがあるんですよね。このバンドは全員自宅でレコーディングしているんですよ、ドラムも、歌も。歌を録る時はYOSHIHIROさんに家に来てもらうんですけど、この曲は最初はここまでエモーショナルに歌っていなかったんです。なぜかというと、長年蓄積した経験上、音源の歌は崩し過ぎるのはよくなくて、ある程度清書をするように歌うのが正解だという認識があったから。でも、YOSHIHIROさんは全くそうではなくて、いいテイクであればなんでもいいというタイプなんですよ。そういう助言をもらって、かなり歌を崩したんです。

──わかります。「Lost Child」や「Day After Day」のサビなどはいわゆる“激情系”のボーカルになっていて、DANCHOさんの新たな魅力を味わえます。
DANCHO:NoGoDではライブは別として、音源でこういう歌い方をしたことはないんですよね。「Lost Child」を録った時は、これでいいのかなという不安が若干ありましたが、最終的に聴いてみて、これくらいやっても全然いいんだ、むしろ次の展開でもっとやれることがあるなということに気づかせてもらえました。YOSHIHIROさんは、「もうピッチとかは無視して、ただ伝えるだけで歌ってください」とか言うんです。
YOSHIHIRO:最近のメタルを聴いていると、すごくきれいに感じるんですよね。ピッチも整っていて、リズムもすごくしっかりしていて、それを批判する気はないけど、自分の中ではちょっと違和感があるんです。Alternation of Generationsの場合はドラム録りの段階で、普通だったらリテイク出すかなというような、ちょっとしたリズムの揺れみたいなものを全部残しているんです。FUMIYAがアウトプットする音というのはメンバーの中でダントツにいい意味で人間味があって、それが魅力なんですよね。であれば、絶対にそこに乗っかったほうがいいと思うんですよ。僕とRyosukeはクリックに対してジャストに弾くのが得意なタイプではありますが、FUMIYAのドラムに合わせることにしました。
Ryosuke:なので、ベース録りは大変でした(笑)。
FUMIYA:でしょうね(笑)。
Ryosuke:レコーディングを進めていく中で大分感覚は掴めましたけど、全体的に苦労しましたね。前作は違っていたから。
YOSHIHIRO:冒頭で、ドラムが脱退した話をしたじゃないですか。そのタイミングで、ドラムまでレコーディングは終わっていたんです。そこでドラムが入れ替わってドラムを全部レコーディングし直したので、前回はFUMIYAがクリックに合わせる形で録ったんです。なので、今回初めてFUMIYAの人間味を活かすことができて、それは本当によかったなと思いますね。そういう人間味のあるオケができたからには、ボーカルには1番人間クサいことをしてもらわないといけないでしょうというのがあったんです。そういう意図のもとにDANCHOに歌ってもらったらすごくよくて、“なぜ、これをもっと出さないんだ? もったいなさ過ぎる”と思いました。
DANCHO:いや、メタルはエモーショナルに歌うとヘタだと言われてしまうことがあるジャンルだから。自分としては、そうじゃないんだけどな……と常々思っていて、このバンドではそれを是としてできるので、もっと突き詰めていきたいですね。

──挑戦し続けることの大切さを、あらためて感じます。YOSHIHIROさん、DANCHOさんも特に印象の強い曲をあげていただけますか。
YOSHIHIRO:僕は、「THE M@D SHOW」ですかね。メタルバンドはシンフォニックなストリングスが入っていることはめちゃくちゃ多いけど、ビッグバンド感のある、オシャレ系のブラスとかが入っているのは多分ないよなと思って。実は、この曲のデモ自体は2017年からあったんです。つまり、なんでもない時に思いついて書いたデモがあって、Alternation of Generationsの新曲を作るぞとなった時に、あれが使えるんじゃないかなと引っ張り出してきて、今の自分達ができるエンタメ的な部分を詰め込むことにした。そうやって、できた曲です。
──メタルをベースにしていて、なおかつテクニックを押し出しているバンドの場合、ビッグバンドの要素を採り入れるという発想はなかなか出てこないと思います。
YOSHIHIRO:良くも悪くも、このバンドで楽曲のアレンジをする時に、こうあらなければいけないという気持ちが1ミリもないんです(笑)。それが、デカい気はしますね。
──実際Alternation of Generationsはいろいろなジャンルのテイストを活かしていまして、「THE M@D SHOW」はジャズの要素も入っていますし、「Day After Day」はネオソウルが香っていたりしますね。
YOSHIHIRO:そこに関しては、自分達みたいな音楽に全く馴染みがない人が飽きずに通して聴けるアルバムにしたいという思いがあるんです。そのためには1曲1曲の個性が強い必要がありますよね。たとえば、レゲェをメインでやっている人がメタルのアルバムを聴いたら、覚えているのは1~2曲だと思うんですよ。逆も、しかりだと思うし。そうならないようにということは、すごく意識しています。
──軽いノリでいろいろなジャンルの要素を採り入れるのではなく、それぞれのジャンルをちゃんと咀嚼したうえで活かされている印象がありまして、それも楽曲クオリティーの高さにつながっています。
YOSHIHIRO:そう言っていただけると嬉しいです。
DANCHO:「THE M@D SHOW」は1番遊べる楽曲ではあったので、歌詞も率先して遊ぼうというのがありましたね。この曲のデモを聴いた時に、自分の中では『ルパン三世』や『キャッツアイ』『007』みたいなイメージで、“スリリング”というビジョンがパッと浮かんだんです。方向性はすぐに出てきたけど、言葉のチョイスや韻の踏み方、言葉の表記のギリ、ダサい感じとかは熟考しました。’90年代のJ-POPは日本語と英語がごちゃ混ぜの歌詞がよくあって、それがカッコいいと感じるかどうかは人それぞれですけど、俺の中ではちょっとオールドスクールな表現で、それを意図的に活かしたりしています。別にカタカナでいいものを敢えて英語にしたりとか、やたら日本語英語を入れてみたりとか(笑)。

──DANCHOさんは、ポップということを理解されていますね。
DANCHO:そう感じていただけたなら、よかったです(笑)。俺の中で『REVOLVE』で印象の強い曲は、どの曲もこだわりがあって、思い入れも深いんですよ。でも、タイトル曲の「REVOLVE」の話が出ていないので、1曲あげるとしたらこれになりますね。今回のデモが出そろったタイミングで、どの曲をリードにするかという会議をバンドでした時に、1曲目の「REVOLVE」と4曲目の「ルミナス」で意見が分かれたんです。「ルミナス」のほうが前作を経て、ちゃんと次のステップに着地している楽曲なんですよね。それに対して「REVOLVE」は前作とのつなぎという立ち位置でいながら進化も見えるというところで、「REVOLVE」を先行シングルとして出すことにしました。だから、歌詞に関しても、歌唱に関しても前作の地続きということを、わりと意識していますね。歌唱に関しては、まさにそうかもしれない。あと、YOSHIHIROさんが前作よりも歌物をポップにしたというのはメロディーや符割にも出ていて、前作はメロディーの起伏だったり、キーのレンジ的な部分とかもあってストロングさを多めに配分した印象があるんですね。「REVOLVE」はトップのキーが少し下がっているので、その分ミッドレンジとかハイミッドの力強いニュアンスもつけられるというのがあって、なるべく歌に勢いを出すことを意識しました。歌詞も前回の『P.O.P』を踏まえた書き方というイメージですね。Alternation of Generationsがどういうバンドで、どういうものを提示したいかということを分かりやすく書きました。
──「REVOLVE」は“自分が歩んできた道やそこで得たものを大事しつつ、ここからまた新たなところを目指そう”ということが歌われています。それに、世の中をなんとかしたいというテイストも感じました。
DANCHO:前作を出してからの4年間の世の中はよくなっていない……世界的にもそうだし、音楽業界もそうだし、バンドの立場というものもよくないですよね。特に、自分達みたいな人力が映えるバンドの需要は少なくなってきている。いろんなものが発達したことで、人がここまで魂を削る必要のない音楽がいっぱい出てきていて、そういう中でフラストレーションが重なってしまっていたんです。でも、そこで腐った歌詞を書くのは簡単だけど、Alternation of Generationsはそういうバンドではないので、前向きなところに落とし込みました。不都合なものが多いのが人生だし、このバンドも大変なんですよ(笑)。
Ryosuke:大変です(笑)。
DANCHO:だけど、楽して手に入れたものというのは価値があまり分からなかったりするじゃないですか。そういう意味で、このバンドにやり甲斐を感じているし、「REVOLVE」はそういうことを伝えたいという思いのもとに書いた歌詞になっています。
YOSHIHIRO:「REVOLVE」は今回の6曲の中で、1番最後にできた曲です。あがってきた曲達を聴いて、1曲目っぽい曲がないなと思ったんです。だったら曲順が最終的にどうなるかはさておき、もう露骨に1曲目っぽい曲を作ってやろうという気持ちになってできた曲です。
──「REVOLVE」はAlternation of Generationsならではの“テクニカルかつエモい”という個性を堪能できますし、2番のジェントとは異なる、よりモダンな感覚のハードネスも注目です。
YOSHIHIRO:そこに関しては僕がアレンジしたというよりも、「2番は激しくしたいので、各楽器の皆さんよろしくお願いします」と伝えたんです(笑)。
FUMIYA:そう。その結果、こうなりました(笑)。
DANCHO:前作の「春呼ぶステラ」という曲は、最後のサビで全員が歌を置いていくアレンジになっているんです(笑)。本来、歌というのはバッキングという支えてくれるものがあって歌うわけですけど、この人達は急に俺を置いていくんですよ。俺を“パーッ”と置いていって、ユニゾンして走り続ける中で、自分だけが1人歌っているという(笑)。それに味を占めてしまって、それが今回ここに出ていますね。
Ryosuke:ここに関しては、“歌っていても関係ないゾーン”だから(笑)。

──そういうアプローチが多いと慣れていないリスナーは疲れてしまいますが、場所を絞っているためすごく効果的です。Alternation of Generationsは変拍子なども“ここは変拍子です!”という感覚ではなくて、気がつくと変拍子という使い方ですし。
FUMIYA:だから、厄介なんですよね(笑)。
DANCHO:そういう変拍子なので、ライブでお客さんが拳を振っていると合わなくなってしまうんですよ。“あれ? いつの間にか裏になってる”という(笑)。そうすると自分が間違えたと思って拳を下げてしまうんですけど、気にせずそのまま続けてくださいと伝えたい。ずっと続けていれば、いずれ帰ってくるからと(笑)。
──いいですね(笑)。さて、『REVOLVE』はより魅力を増したAlternation of Generationsが詰め込まれた一作になりました。音源を是非聴いてほしいですし、4月から5月にかけて行われるツアーも楽しみです。
Ryosuke:そうですか、楽しみですか……。
FUMIYA:アハハ(笑)。自分で自分の首を絞めて音源を作ったからな(笑)。
Ryosuke:……今、めっちゃ練習しています(笑)。
──うっっ……。しかも先ほど話が出ましたが、ライブでは激しくパフォーマンスしながら弾かれているんですよね?
Ryosuke:はい。そこが自分の売りではあるかなと思っているので。まあ、骨は折れていますが。俺、右足が折れているんですよ。
──えっ! 大丈夫なんですか?
Ryosuke:だと思います。
FUMIYA:なんなら、この前のライブもやっていますからね。
Ryosuke:来月で、折れてからちょうど半年くらいなんですよ。半年でくっつく予定なんですけど、今は半分もくっついていないらしいです。
──えええっ! それは、ライブをしてしまっているから?
Ryosuke:そう。だから、北海道にも、まともに行けるのかなという(笑)。
FUMIYA:足に金属が入っていて、空港で“ピィーッ!”と鳴るから?
Ryosuke:そう(笑)。でもね、手じゃなくてよかったです。とりあえず、今度のツアーでは観ている人は足が折れているということが分からないようなライブをしようと思っています。あとは、もう自分を超えていくだけなので。
一同:おおっ!
FUMIYA:いい言葉出たぞ。なんか、ムカつく(笑)。今度のツアーに関しては、僕は北海道出身なので、嬉しいですね。しょっぱなから札幌に行くというのは中々ないし、しかも2デイズということでもうウキウキで、札幌ではなにを食ってやろうかなとずっと考えています(笑)。行きたい店はもう決まっていて、2日間で何軒まわれるかなという。胃袋は1つしかないんでねぇ(笑)。いや、早く札幌に行きたいです。

──す、すみません、ライブについては……。
FUMIYA:ああ、そうか(笑)。地方なので、ドラムをフルセット持っていけないんですよね。今年の3月に行ったワンマンは都内だったので普通に僕のフルセットを持ち込んだけど、今回はそういうわけにはいかない。なので、逆にあり物で音源を再現するということを今は自宅で楽しんでいます。これだけしかないから、このフレーズはこっちで代用しようとか。僕はそういうことに鳴れているけど、Alternation of Generationsのプレイを持っていける点数のセットで叩くというのは、我ながらドMだなと思っています(笑)。
YOSHIHIRO:『REVOLVE』はライブをやった温度感でできた曲が多いので、今回のツアーでも次回作につながるようなアイディアやきっかけを、ライブをしながら拾えるといいなと思っています。あとは、テクニックとか、音楽そのものが着地点にならないようにしたいですね。それを使ってどういうふうにエンタメするのかということを、ちゃんと意識して1本1本できたらいいなと思います。
DANCHO:このバンドで歌に求められるのは、景色を正確に伝えられるかということだと思うんですよ。それは、正しくピッチをあてる、リズムを正確に歌うという次元ではできないことで、いかにバックのサウンドを倍増させる歌を歌うかだなと思っています。Alternation of Generationsはなにしろメロディーがよくて、歌っていて気持ちいいし、今回の『REVOLVE』はエモーショナルな歌唱を前作よりも遥かに込めたので、それをさらに上まわるエモさを出すことに注力したいですね。あとは、もちろんプレイを楽しんでくれる人がいてもいいし、音楽のことはよく分からないけど普通にライブを楽しみたいという人には、こういう複雑な音楽でもそれができるんだぞということをあらためて知らしめたい。前作のツアーは曲数が足りなかったけど、今回はワンマンができる曲数が揃ったので、Alternation of Generationsはこういう音楽で、こういう楽しいライブができるということを再構築していきたいと思っています。
取材・文◎村上孝之
写真◎荒熊流星
■2nd EP『REVOLVE』
2026年4月22日(水)発売

品番:KICS-4251
定価:¥2,900(税抜価格¥2,636)
収録内容
01. REVOLVE
02. THE M@D SHOW
03. Day After Day
04. ルミナス
05. Lost Child
06. Grateful for Everything
[メンバー]:
DANCHO (Vocal)
YOSHIHIRO (Guitar)
Ryosuke (Bass)
FUMIYA (Drums)
■「REVOLVE」配信
https://king-records.lnk.to/byUht0

■<ライヴスケジュール>
4/25(土) 札幌Crazy Monkey
4/26(日) 札幌Crazy Monkey
5/16(土) 心斎橋CLAPPER
5/17(日) 今池3STAR
5/24(月) 高田馬場CLUB PHAGE



