【ライヴレポート】fuzzy knot、Shinjiバースデー公演で宣言「ギターと一体になって気持ちの入った活動をしたい」

2026.02.18 20:00

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Shinji(G / シド)と、田澤孝介(Vo / Rayflower, ex.Waive, etc.)によるロックユニットfuzzy knotが、Shinjiの誕生日である2月8日、東京キネマ俱楽部にてライブを開催し、ファンと共に祝った。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

2025年の2月8日同様、この日は全国的に大雪で、都内も前夜から降り積もっていた。外は凍える程寒い。バースデーライブを行なうのは3度目で、会場は初年度の東京キネマ倶楽部へ回帰。外観、内装、舞台装置すべてがレトロモダンで、温もりを感じさせるところがバンドのカラーに似合っている。コロナ禍の只中に始動して早5年。二人が生み出し、育んできた多彩な楽曲がこの日、実に多様な感情を惹き起こすセットリストとして編み上げられていた。

SEに乗せて、サポートメンバーの与野裕史(Dr)、工藤嶺(B)が登場。Shinji、田澤が続いて姿を現し、ひときわ大きくなった歓声の中で位置に着くと、吹き抜ける風のような軽妙なアップチューン「TAILWIND」でライブは明るく幕を開けた。次曲「Imperfect」が始まると、一瞬冷気が差し込んだようなシリアスなムードに変わったが、サビでは高く飛翔するような解放感へとサウンドで誘っていき、ファンは手を挙げてジャンプを繰り返す。2025年4月にリリースしたアルバム『fuzzy knot II』からの2曲を連打した後は、リズミカルなクラップが起きる人気曲「Joker & Joker」を放ち、心をグッと鷲掴みに。音が鳴り止むと、メンバーの名前を口々に叫ぶ男女の熱い声が場内に響いた。

「ヘイ、東京! 元気ですか? fuzzy knotです。Shinji Birthdayライブへようこそ! またやってきたんだね、この日が」とまずは田澤が挨拶。Shinjiは握った両拳を高く挙げて笑顔を見せる。「fuzzy knotの始祖、生みの親でありますShinjiさまのご発生日でありますから」と田澤は続けると、「fuzzy knot久しぶりのライブ、最後までメーター振り切ってよろしくお願いします」とフロアに呼び掛けた。

続いて突入したのは、「深き追憶の残火」「ダンサー・イン・ザ・スワンプ」「トリックスター・シンドローム」と3曲が一連となった、fuzzy knotのディープな世界。曲の主人公を降臨させたような田澤の鬼気迫るドラマティックな歌唱と、緻密さとダイナミックなロック魂を兼ね備えたShinjiの美しいギタープレイとが互いに絡み合い、表現者としての二人の凄みにひたすら圧倒された。

「良いライブをできていると自負しております」と田澤が述べ、「良い記憶を持って帰ってくれたらな、と。あんまり頑張らなくていいです、俺たちに委ねてくれたら」とファンに向けて頼もしいコメントをすると、Shinjiはガッツポーズで同意を示した。

「ペルソナ」ラストの田澤のロングトーンからシームレスにShinjiのギターソロへと繋がっていき、退廃的な色気のあるロッカバラード「愛と執着とシアノス」へ。続いて、ケルト音楽のエッセンスを取り入れて、神秘的なサウンドスケープが広がる「時の旅人」、哀愁を湛えたメロディーを洗練されたシティポップ調に仕上げた「月下美人」を披露。そもそも、Shinjiが最も影響を受けた’90年代のサウンドを取り入れ、ジャンルを超えた音楽を発信するプロジェクトとしてスタートしたfuzzy knotだが、その多彩さは増すばかり。また、ライブでそれらを披露する二人の呼吸はピッタリと合っていて、観るたび“ロックバンドらしさ”も強まっているように思えてならない。

ライブは折り返し地点を迎え、お待ちかねの二人でのMCコーナーがスタート。Shinjiは「一言、大事なことなので、伝えさせてください。非常に幸せです。ありがとうございます」と晴れやかな笑顔で感謝を述べた。その後は二人の掛け合いで盛り上がっていき、“座った二宮金次郎像”や、二人がそれぞれ学生時代に勤しんでいたスポーツ、身長の話題などあちこち脱線してファンを爆笑させた。以前は自分の誕生日を祝われることに照れ臭そうだったShinjiだが、「皆さんの前に出るようになって、3年目ですかね? 年々うれしいです。君らと会う機会が増えるってことだけがうれしい」と真っ直ぐに感謝を伝えていた。

基本的には年齢非公称のShinjiに対し、「僕が大っぴらにしてて。学年が一緒なんですよ。Shinjiのほうが(年齢は)一個下なんですけど」と田澤。Shinjiは「年齢を恥じてない」としつつ、「年齢を重ねると図々しくなる。若い時は恥ずかしかったけど、今は何とも思わない」事例として、美容室でのシャンプー後にオールバックになった状態を挙げた。それを受けて田澤は、「そのレベルならいいんじゃないですか? “かゆいところ”をむっちゃ搔かせてるとかだったら別だけど」と返し、このやり取りが後の伏線になっていく。

2026年はシドもRayflowerも既に告知されている通りライブ活動が盛んで、Shinjiは「6公演くらいかぶってるんですよ。どっち行く?」とファンにいたずらっぽく質問。すると、田澤がシドのツアー情報を流暢にアナウンスし始めて、その正確さと懇切丁寧さに場内爆笑。Shinjiは「田澤、かゆいところございません(笑)」と綺麗にオチを付け、更に笑いを巻き起こした。田澤はRayflowerが開催する47都道府県についても自ら告知。fuzzy knotとしての活動ができないことを「寂しい」など口々に惜しみながら、和気藹々とした二人のMCコーナーを終えた。

デビュー曲「こころさがし」では、最後の音が鳴り終わる前から、ファンは大きな拍手を送っていた。『fuzzy knot II』収録の「パステル」「ブルースカイ」と畳み掛けていき、曲調の明るさが逆に、ライブの終わりが近付いてくる切なさを加速させていく。Shinjiと田澤が見せるナチュラルな笑顔が眩しかった。その後、人格が豹変したような田澤のシャウトから始まった「ダイナマイトドリーム」では、曲間でメンバー紹介と各ソロを披露。「Set The Fire !」では、一瞬ステージ全域が真っ赤に染まる照明演出に息を呑み、Shinjiはその後、ステージ下手側の階段を駆け上ってサブステージへ。華々しく魅力たっぷりにギターソロを奏でた一幕は、この日の主役が最高に輝いた瞬間だった。

「Hello, Mr. Lazy」では、田澤が耳に手を当て「声が小せぇ!」「なんて?」と連呼してファンを挑発。ストロボライトが明滅する中、田澤は本能を全開にしたような激しさで歌い、Shinjiはピーキーな技巧を次々と繰り出しながら、荒々しく叩くようなアーム使いに野性を覗かせる。本編ラスト、「#109」で狂おしい音のカオスを生み出して二人はステージを去った。

アンコールを求める声と手拍子の中、スタッフが暗闇の中でケーキを運び入れ、ついにバースデーサプライズが始まった。明転して「ハッピーバースデー」が流れると、Shinji、田澤に続いて与野、工藤も登場。田澤に促されてロウソクの火を吹き消したShinjiは、「いや~しかも、イチゴが好きなの分かってるねぇ」とうれしそう。田澤は「皆さま、ご協力ありがとうございました」とファンに感謝を述べ、サプライズを実現するために「紙を配っといたんです」とプロセスを明かした。Shinjiが「そうなの? このSNS時代に、そんなことできるんですか?」と驚いた様子を見せると、田澤はアナログが好きであること、紙の良さを力説した。Shinjiは「しばらく皆さんをルッキングしていいですか? 愛おしいよ。ありがとう」とファンを見渡しながらしみじみとコメント。その間、拍手はずっと鳴り止まなかった。

「Shinji的には元日ですが、どんな一年にしますか?」と田澤から抱負を尋ねられると、Shinjiは「今年の一文字は“遊”って言ってきたんです。ギターと一体になって、気持ちの入った活動をしたいなって。基本、気持ちは一緒なんですけど、皆さんとの時間を大切にしたいな。回数は減ってしまうけど」と語り、fuzzy knotを応援するファンに寄り添った。Shinjiが「一つだけ許せないことがある」と切り出し、「なんで田澤の誕生日はRayflowerなんだ?! 田澤の誕生日も(fuzzy knotのライブを)やらせてくださいよ」と訴えると、場内からは大きな拍手。そういった今後の活動予定を含め、二人で話し合おうと誓い合っていた。

最後にアンセム「Before Daybreak」を届けると、最後の掻き回しの中で「Shinji、ハッピーバースデー!」と張り上げる田澤の声が響いた。ケーキを囲み、マニピュレーターのあすきーも呼び込んで5人揃ってファンを背にして記念撮影。3人を送り出し、Shinjiと田澤だけがステージに残った。

「本当にありがとうございます。fuzzy knot(の活動)はしばらく無いですけど、また次やる時は更に我々も精進して、カッコ良くなって帰ってきたいと思います。応援よろしくね。また会いましょう、Shinjiでした!」

「再会を楽しみにしてます。また元気で会いましょう、ありがとうございました、田澤孝介でした。fuzzy knotでした!」

と2人はそれぞれに挨拶した。具体的な約束がまだ無いのは残念だが、次のライブを観たい、新しい曲を聴きたい、と願ったファンは多かったに違いない。fuzzy knotというバンドが羽ばたく、次の瞬間を心待ちにしている。

取材・文◎大前多恵
撮影◎江隈麗志

 

■<fuzzy knot LIVE 2026 ~Shinji Birthday~>2月8日(日)@東京キネマ倶楽部 SET LIST
01 TAILWIND
02 Imperfect
03 Joker & Joker
04 深き追憶の残火
05 ダンサー・イン・ザ・スワンプ
06 トリックスター・シンドローム
07 ペルソナ
08 愛と執着とシアノス
09 時の旅人
10 月下美人
11 こころさがし
12 パステル
13 ブルースカイ
14 ダイナマイトドリーム
15 Set The Fire !
16 Freestyle Lover
17 Hello, Mr Lazy
18 #109
encore
en1 Before Daybreak