【ライブレポート】KEPURA、活動再開後に制作した新曲だけのセトリで挑んだツアーファイナル公演、「音楽っていいなと思ったし、ずっと続けていきたいと思いました」

KEPURAが、2026年2月13日に東京・代官山Space Oddにて<KEPURA presents『Abduct Tour 2026』>のツアーファイナル公演を開催した。本記事では、ファイナル公演の模様をお届けする。
2025年6月から9月まで、4カ月に及んだ活動休止は、10年後、いや、20年後も見据えた新たな活動に向けた充電期間だった。その成果とも言える1stメジャーアルバム『Abduct』を引っ提げ、全国8カ所を回ったケプラ改めKEPURAによる<Abduct Tour 2026>は、アルバムのお披露目であると同時にバンドを続けるために活動休止を選んだメンバー4人の決意が生半可なものではなかったことを改めて印象づけるものとなった。このレポートでは、そんなメンバー達の覚悟に思いを馳せながら、2月13日に東京・代官山のライブハウス、Space Oddで迎えたツアーファイナルの見どころを振り返る。
定刻を5分ほど過ぎた頃、オンステージした4人はアルバム同様、バンドの新たな旅立ちを歌っているようにも聴こえる「Abduct」でライブをスタートさせると、タイトな演奏にじわじわと熱を込めていく。kenta(G)が奏でる単音リフに重ね、hayato(Dr)がパシッと一拍だけ鳴らすハイハットシンバルの音が耳に心地いい。


そして、kentaがパワーコードをダイナミックに鳴らしながら、パワフルなロックナンバー「Alien」に繋げ、演奏の熱をぐっと上げたところで、「ツアーファイナルに来てくれてほんとにありがとうございます」と語り始めたritsuki(Vo, G)が続けた言葉がすし詰めになったスタンディングのフロアをザワつかせた。
「今回のツアーは全公演、活動再開後に作った新曲のみでセットリストを構成しています」
つまり、『Abduct』の全9曲はもちろんだが、未発表の新曲も演奏するということだ。「最高の週末にしましょう!」とritsukiが声を上げ、4人は早速、kentaが奏でる単音リフに滲むメランコリーと、kazu(B)とhayatoによる重ための16ビートが耳に残る新曲「Evidence」を披露する。もしかしたら、『Abduct』の曲に加え、それ以前の曲も聴けると期待していたファンも少なくなかったかもしれないが、「Evidence」も含め、今回のツアーで初披露となる新曲を7曲も演奏して、あくまでも活動再開後のバンドの姿を見せることにこだわった4人の思いと新曲に対する自信をぜひ汲み取っていただきたい。


いや、ダイナミックな演奏に繊細なこだわりが入り混じるサイケデリックなスローナンバー「ghost」を挟んで、披露したフォーキーな新曲「Sometimes」でkentaがミュートしながら軽やかに鳴らしたカッティングに合わせ、求められるよりも早く観客が手拍子を始めたのは、この日初めて耳にする新曲を楽しもうとしている気持ちの表れだったに違いない。それはステージのメンバー達にも伝わったようだ。「ありがとう!」と声を上げ、アンセミックなメロディーを歌い上げたritsukiは観客の気持ちを受け止め、感極まったらしく、思わず快哉を叫ぶ。kazuのベースはちょっと走っているようにも聴こえるが、逸る気持ちを物語っているようで、むしろそこがいい。
「札幌から始まって、1カ月間、ツアーしているうちに(無口な自分が)普通にMCで喋れるようになってました」とkazu。kentaも「各地でおいしいごはんをたくさん食べられたのは、いい経験になりました」とツアーの思い出を語っていく。「新しいアルバムを聴いて、(ライブに)来てくれたお客さんが多かったせいか、いい空気のツアーになったので、音楽っていいなと思ったし、ずっと続けていきたいと思いました」と話すhayatoに、「新曲だけのセトリなんて、今回だけじゃないかな。(このツアーで初披露の)新曲はリリースも楽しみにしてほしいです」とritsuki。それぞれにツアーの思い出を語ってからの後半戦もダンサブルな演奏に観客が体を揺らした「PSYCHOPATH」や熱度満点の骨太ロック「BIRTHDAY」といった『Abduct』からの曲に新曲を織りまぜ披露した。


代官山の町が持つセレブ感に対して、東京都中野区出身のバンドであるにもかかわらず、「全然アウェイだと思ってたけど、みんなの顔を見て、やっぱりホームだと思いました」と間に挟むritsukiのMCも気が利いている。そこからフォーキーな「I miss you too」を皮切りに「unhappy new us」「Cold Case」と新曲を立て続けに披露していった流れはこの日のハイライトの1つと言ってもいいだろう。中でも圧巻だったのは「unhappy new us」だ。パワーコードをジャングリーに鳴らしながら、敢えて曲を展開させずにヒプノティックなリフレインが作り出すグルーブに観客を巻き込み、今現在のKEPURAが持つ凄みを見せつける。
ritsukiの弾き語りから始まったフォーキーなバラード「Dream」はバンドインしてからの轟音の演奏もさることながら、観客を圧倒するようにメンバー全員で重ねるハーモニーも聴きどころ。ライブのクライマックスにふさわしいスケールが活動再開後のKEPURAの成長を物語るが、この日、クライマックスを作り出したのは、「新しいKEPURAもかっこよかったですか?」というritsukiの問いかけに観客が大きな拍手を送ってから、演奏した終盤の4曲だった。


「今回のツアーはアンコールなしです。来てくれてほんとにありがとうございます!」というritsukiの言葉に続き、観客の手拍子を誘ったファンキーなポップナンバー「Nevertheless」から、アウトロ的に演奏した「ghost 2」を挟んでノンストップで繋げた「Tonight」は、kentaが奏でるギターの波打つような音色とミラーボールが放つ眩い光があいまって、まるで宇宙空間を漂っているんじゃないかと錯覚させる美しいサイケデリックロックナンバーだ。観客を陶酔の境地に誘い、そのままエンディングを迎えてもよかっただろう。
しかし、この日、4人にはもう1曲、最後にどうしても演奏したい曲があった。それがritsukiがギターをかき鳴らしながら、演奏になだれこんだ「時代を超えてゆけ」。アップテンポかつタイトな8ビートのロックナンバーは、今回のツアーで初披露した7曲の中の1曲だ。歌はもちろん、演奏にも自然と力が入る。
「今日はありがとうございました! これからもよろしくお願いします!」そう言いながら、ritsukiは曲が終わるまで繰り返し歌い続けた。時代を超えてゆけ、と。それは充電期間を経て、新たなキャリアを歩き始めた今現在のメンバー達の気持ちなのだろう。この日、披露した新曲が音源化されることも含め、KEPURAの今後がますます楽しみになったのだった。

文◎山口智男
写真◎久保寺美羽
◾️セットリスト
1.Abduct
2.Alien
3.Evidence *
4.ghost
5.Sometimes *
6.PSYCHOPATH
7.Suspence *
8.BIRTHDAY
9.I miss you too *
10.unhappy new us *
11.Cold Case *
12.Dream
13.Nevertheless
14.ghost 2
15.Tonight
16.時代を超えてゆけ *
(*未発表曲/タイトル仮表記)
◾️1stメジャーアルバム『Abduct』
2025年12月10日 リリース
配信:https://lnk.to/KEPURA_al_abduct
CD:https://lnk.to/kepura_abduct_ec
品番:UPCH-20714 ¥3,300(税込)
▼収録曲
1.Abduct
2.Nevertheless
3.Alien
4.ghost
5.BIRTHDAY
6.PSYCHOPATH
7.Tonight
8.Dream
9.ghost 2
▼CDショップ別特典
・タワーレコード :ミニポスター(A3サイズ)
・UNIVERSAL MUSIC STORE:ポストカード
・Amazon.co.jp:メガジャケ
・一般店:ジャケットステッカー
※一般店特典はオリジナル特典以外の店舗が対象です。一部特典対象外店舗もございますので、ご予約・ご購入の際にご確認ください。
※特典は先着です。なくなり次第終了となります。


