【ライブレポート】B’z、7年ぶりドームツアー<FYOP>東京公演で「美しいパッションをいっぱい僕らにくれて心から感謝しています」

2025.12.22 18:00

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B’zが11月15日の愛知・バンテリンドーム ナゴヤ公演を皮切りにドームツアー<B’z LIVE-GYM 2025 -FYOP->を開催した。愛知、福岡、東京、大阪のドーム会場を各地2DAYSずつ、4ヵ所8公演で行われたツアーから、12月6日、東京ドーム公演のレポートをお届けしたい。なお、BARKSでは後日改めて、松本孝弘のライブ使用機材を記事公開する予定なので、こちらもお楽しみに。

◆B’z 画像(14点)

2025年11月12日に通算23作目となるオリジナルアルバム『FYOP』をリリースしたB’zは、11月15日から12月21日にかけてドームツアー<B’z LIVE-GYM 2025 -FYOP->を開催した。前作から約3年ぶりとなるアルバムリリースと約7年ぶりのドームツアー開催は、ミュージックシーンを活気づけるトピックだ。それだけに、2025年6月、松本孝弘(G)が体調不良により<B’z presents UNITE #02>の出演を見合わせるというニュースが飛び込んできた時は衝撃が走った。“TAKは大丈夫なのか?” “アルバムやドームツアーはどうなるのか?”という危惧を抱いたリスナーも少なくなかったはずだ。

その後、松本は回復を遂げてB’zはオリジナルアルバムを完成させ、ドームツアーも予定どおり開催される運びとなった。リスナーの気持ちはさらに高まり、全8公演がまたたく間にソールドアウト。そんな熱気に包まれて開催された<B’z LIVE-GYM 2025 -FYOP->の東京ドーム公演初日の模様をお伝えしよう。

ライブ当日を迎えて東京ドームに入場した瞬間、その景色に驚かされた。スタンド最上段の最後方までギッチリとオーディエンスで埋まっていることに加え、ステージ横からの座席も観客でいっぱいだったからだ。さらに、一般的に大会場のライブではアリーナ席内に伸びる花道とサブステージが設けられていることもあるが、それがない。つまり客席を潰すことのないガチの満員御礼なわけで、超満員の55,000人がB’zの登場を待ち焦がれる空気が熱い。

定刻通りに場内アナウンスが流れると、暗転してオープニングSEへ。ステージ後方全体を覆う巨大LEDスクリーンに映し出されたラジカセが次第に燃え上がる大迫力の映像は、アルバム『FYOP』のジャケットを模した演出だ。サポートメンバーに続いて、ヒョウ柄のコートにサングラスというロックな出で立ちの松本がステージ中央からせり上がり、これには大歓声と拍手が沸き起こる。稲葉浩志(Vo)はカラフルなファーのロングコートを身にまとって颯爽と登場。ライブは『FYOP』のオープニングナンバー「FMP」から始まった。

力強さとエモさを併せ持った歌声を聴かせる稲葉、テイスティーなギターソロを奏でる松本。強い存在感を発するふたりの姿とアッパーなサウンドにオーディエンスのボルテージが一気に高まり、続けてライブ鉄板曲「兵、走る」が序盤から披露され、松本と稲葉がステージ両翼へ躍り出て客席を煽るなど、最高の滑り出しを見せた。そしてお馴染みの挨拶へ。

「B’zの」(稲葉)「イェー!」(客席)、「B’zの」(稲葉)「イェー!」(客席)という恒例のやり取りが続くが、この日は松本が「たまには俺にもやらせてよ」と、コール&レスポンスを稲葉から横取り。「B’zの」(松本)「イェー!」(客席)、「B’zの」(松本)「イェー!」(客席)と客席との掛け合いを楽しんで、稲葉にその役割を戻し、稲葉による「B’zのLIVE-GYMにようこそ!」の挨拶でB’zは二人そろっての完全復活を告げた。

3曲目は王道的なロックテイストが魅力的な「声明」、続く4曲目の力感と翳りを絶妙に融合させた「MY LONELY TOWN」ではMVの撮影が行われた軍艦島の映像が大きく映し出された。ライブ前半からステージ全体を使ったスケールの大きいパフォーマンスを見せる稲葉と松本に目を奪われ、実力派揃いのサポートメンバーが紡ぐラウドかつクリアなサウンドは全身に心地いい。それぞれの楽曲に合わせてLEDに映し出される様々なイメージ映像も素晴らしく、<B’z LIVE-GYM 2025 -FYOP->の世界へ強く引き込まれた。さらに「DIVE」が披露されるなど、2000年代以降のシングル曲の連発に場内が湧く。そしてここで稲葉のMCへ。

「お元気でしたか、東京! 久しぶりに東京ドームに戻って参りました。またこんなに素敵な人たちと会えて、なんて幸せなんでしょう。今回は『FYOP』という新しいアルバムを携えたツアーで。『FYOP』は“Follow Your Own Passion”という意味です。今日はお互いのパッションを思いきりぶつけ合おうじゃありませんか。どうですか、東京!」──稲葉浩志

稲葉の熱い言葉に続いて、「恐るるなかれ灰は灰に」では稲葉がリフトに上がってクールなハードネスをまとったボーカルを披露。稲葉のブルージーなボーカルや松本の表現力に富んだギターソロなどが聴きどころの「INTO THE BLUE」では、オーロラや海底など青い映像が映し出され、ブルーのストラトキャスターが一際美しい。

さらに、妖艶なヴァースとキャッチーなサビ、そしてジャジーなセクションに移行するという大胆な場面転換が印象的な「The IIIRD Eye」といった最新アルバム『FYOP』収録楽曲が続けて演奏された。長いキャリアを誇るアーティストの場合、最新アルバムを携えたツアーでも新曲は2~3曲だけということも少なくないなか、新曲をしっかり聴かせる辺りはさすがの一言。常に新作リリースツアーに伴うライブとして、新たなB’zを披露することは彼らの大きな魅力と言えるし、『FYOP』に対する自信や手応えも感じることができた。

アルバム『FYOP』収録曲と代表曲の数々をバランスよく配置したセットリストも実に見事だった。セットリストについては、毎回思い悩んで知恵を絞るとのことだが、「今回は、いろいろ考えた中でアイデアのひとつとして、あまりライブでやっていない曲をやっても面白いんじゃないかって」という稲葉の言葉に会場から拍手喝采が。

そして披露されたナンバーは、1990年にリリースされた「となりでねむらせて」だった。サポートメンバーの川村ケンによるピアノと、稲葉が奏でるブルースハープとボーカルのみという編成に会場がしっとりと聴き入る。演奏後には川村ケンが「オンボーカル、稲葉浩志!」と歌唱を称え、1995年リリースのメロウなナンバー「消えない虹」へ。先のMCで稲葉は「30年くらい前の曲もやります。30年前ということは私も30歳若いということなので、やはりその時の雰囲気を出すのは非常に難しい(笑)。今の私で歌ってみたいなと思います」と語っていたが、キャリアを重ねる中で培った歌唱力はやはり圧倒的。また同楽曲は、後半から松本孝弘をはじめとするメンバーも加わってバンドサウンドになるなど、実にドラマティックなワンシーンだった。さらには、松本孝弘のエモーショナルなギタープレイを堪能できるインストゥルメンタルの「#1090 ~Million Dreams~」が、松本の過去のライブ映像と共にエネルギッシュに届けられた。これら3曲はイントロが奏でられると同時に、客席からどよめきが起こり、その後はじっくり聴き入る状態が続く、スペシャルにしてレアなコーナーとして届けられた。

そしてライブは後半へ。12曲目の「LOVE PHANTOM」では、ステージ後方に設置されたLEDがふたつに割れて、その奥から巨大(ステージ上からドームの屋根までの高さ)なB’zロゴが登場。スペクタクルな演出に度肝を抜かれていると、稲葉はそのロゴの“B”の上に姿を現し、設置された裏階段を下りながら“z”の上や“B”の中で歌うというシーンも。これまでのツアーでもさまざまな大仕掛けの演出で我々を楽しませてくれたB’zだが、今回もスケールの大きさに圧倒された。この辺りの客席の盛り上げ方は見事だったし、同時に、視覚的にも聴覚的にも刺激的なB’zの楽曲が長い年月を経ても色褪せることのない魅力を湛えていることを、あらためて実感できた。

続いて演奏されたのは、客席から大合唱が沸き起こった「ultra soul」。昨年の『NHK紅白歌合戦』の流れが再現されて客席のボルテージは高まるばかり。そして稲葉がバンドメンバーを紹介するMCが入り、「オンギター、Tak Matsumoto!」という言葉に導かれて松本が超満員の客席に気持ちを伝えた。

「皆さん、こんばんは。お元気でしたか? 今年デビュー37年目にして、不覚にも体調を崩してしまいまして、しばらくお休みをいただいておりました。その節は皆さんに多大なるご迷惑と、ご心配をおかけしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。あらためて、常日頃やれていることは普通ではないのだなと痛感しました。今日こうして、こんな凄いところに立っていることは普通ではないんですよ。普通ではない現実に心から感謝しながら、先ほどからギターを弾かせていただいています。皆さんも、それぞれの貴重な時間を割いてここに集まってくださっているんですから、この普通ではない素敵な時間、空間を最後まで楽しんでいってください」──松本孝弘

という松本の言葉に、客席から温かい拍手が湧き起こった。続けて稲葉も、松本が体調を崩していた期間に、ファンの方々から送られてきた声援や応援、温かい言葉の数々は「全部届いています」と語り、それが届いていたからこそ、「彼はこのツアーに間に合わせてくれました」とファンと松本へ感謝の言葉を伝えた。さらに、「こういうことは当たり前じゃないんだとつくづく思います。じゃあ、その当たり前じゃない空間を、たっぷり楽しもうじゃありませんか!」という言葉に続いて披露された「鞭」を皮切りに、ライブはいよいよ華やかな終盤へ。

稲葉の情熱的なボーカルが光る「Still Alive」では銀テープが放たれ、B’zとオーディエンスによるコール&レスポンスが挿入されたパワフルチューンの「juice」などが続けざまに演奏された。「juice」では何本もの炎柱が上がり、場内灼熱。ライブ終盤に入っても全くパワーダウンすることなく、フィジカルなステージングを織りなして熱く歌う稲葉と、クールな雰囲気と内面の感情が伝わってくる表情豊かなギタープレイの取り合わせが魅力的な松本。爽快感を放ちながら駆けていくサウンドの応酬に、場内のボルテージはどんどん高まっていった。そして本編最後のMCで稲葉が語ったのは優しく情熱的な言葉だった。

「“Follow Your Own Passion”という言葉は簡単なフレーズですが、今の自分たちにすごく響く言葉です。我々もバンドを結成して、もうガムシャラに進んできたわけですが、いろいろ経験すると、選択肢が増えて、迷いが生じることがある。そういう時には、“パッションを追いかければいいじゃない?”って自分に言うと、わりと早く答えが見えるんです。パッションというと火が燃えているようなイメージがあるけど、なんとなく好きとか、なんか気持ちいいとかでもいい。そういうものをお互いに追いかけて、毎日を生き延びていくわけです。そしてまたいつかどこかで会えたら最高じゃないですか。今日は皆さんのパッションを浴びまくりました。美しいパッションをいっぱい僕らにくれて、心から感謝しています」──稲葉浩志

東京ドーム場内がひとつになっていることを感じさせる中、本編のラストソングとして「Brotherhood」が演奏された。バンドとファンの絆を歌った楽曲だ。松本の包み込むような温かみを湛えたテイスティーなギター、自身の思いの丈を激しく吐露する稲葉のボーカルが折り重なった同曲の引き込み力は圧巻。“We’ll be alright”という大合唱が、東京ドームにこだました。「Brotherhood」を演奏し終えて、B’zがステージから去った場内は感動的な余韻に満たされていた。

アンコールの声援が止まない東京ドームに、「いつかのメリークリスマス」のイントロが流れ、ステージのバックにクリスマスをモチーフにしたイルミネーションが登場。LEDには雪が舞い降りる映像が映し出され、12月の東京ドームを盛り上げる。さらには、エモーショナルなミディアムチューンの「イルミネーション」をプレイ。これら2曲でオーディエンスをロマンチックな気分にさせた後、アンコールラストは「愛のバクダン」へ。パワフルなイントロが響き渡り、再び場内のボルテージが一気に高まった。アッパーかつ爽やかなサウンドと客席上空に、赤、白、黄色の十数個の大きなバルーンが舞う演出が相まってオーディエンスは熱気と一体感を併せ持った華やかな盛り上がりを見せ、客席の笑顔とともに東京ドーム公演が幕を閉じた。そのラストはB’zのライブの締めに行われるお約束の「せーの、おつかれ~!」。55,000人の拍手が沸いた。

約7年ぶりとなるドームツアーで、唯一無二の上質なライブを披露したB’z。彼らの変わることのないモンスターぶりに圧倒されるとともに、アーティストとしてのさらなる進化と深化を実感できただけに、B’zがまだまだ輝き続けることは間違いなさそうだ。

取材・文◎村上孝之
写真◎ ©︎VERMILLION, ©︎Dynamic Planning・TOEI ANIMATION

 

■<B’z LIVE-GYM 2025 -FYOP->2025年12月6日(土)@東京ドーム SETLIST
01 FMP
02 兵、走る
03 声明
04 MY LONELY TOWN
05 DIVE
06 恐るるなかれ灰は灰に
07 INTO THE BLUE
08 The IIIRD Eye
09 となりでねむらせて
10 消えない虹
11 #1090 ~Million Dreams~
12 LOVE PHANTOM
13 ultra soul
14 鞭
15 Still Alive
16 juice
17 Brotherhood
encore
18 いつかのメリークリスマス
19 イルミネーション
20 愛のバクダン

 

■アリーナツアー<B’z LIVE-GYM 2026 -FYOP+->
4月11日(土) 福井・サンドーム福井
4月12日(日) 福井・サンドーム福井
4月18日(土) 広島・広島グリーンアリーナ(広島県立総合体育館)
4月19日(日) 広島・広島グリーンアリーナ(広島県立総合体育館)
4月25日(土) 香川・あなぶきアリーナ香川
4月26日(日) 香川・あなぶきアリーナ香川
5月02日(土) 沖縄・沖縄サントリーアリーナ
5月03日(日) 沖縄・沖縄サントリーアリーナ
5月09日(土) 福岡・マリンメッセ福岡A館
5月10日(日) 福岡・マリンメッセ福岡A館
5月16日(土) 北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ
5月17日(日) 北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ
5月23日(土) 大阪・大阪城ホール
5月24日(日) 大阪・大阪城ホール
5月30日(土) 神奈川・横浜アリーナ
5月31日(日) 神奈川・横浜アリーナ
6月06日(土) 千葉・LaLa arena TOKYO-BAY
6月07日(日) 千葉・LaLa arena TOKYO-BAY
6月13日(土) 愛知・IGアリーナ
6月14日(日) 愛知・IGアリーナ
詳細:https://bz-vermillion.com/livegym2026/

 

関連リンク
◆アルバム『FYOP』特設ページ
◆B’z オフィシャルサイト
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◆B’z オフィシャルYouTubeチャンネル

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