【速レポ】<CROSS ROAD Fest>La’cryma Christi復活、「12年ぶりのステージです。みんな待ってた?」

現世と異世界と天界を結ぶかのような、超絶3次元的ライヴをこの場で繰り広げてくれたのはLa’cryma Christiだ。
「13年ぶりの幕張で、12年ぶりのステージです。みんな待ってた?待ってたわりにはLa’cryma ChristiのTAKAを呼ぶ声が小さいな!小さいな!!」(TAKA)

輝かしき90年代の“あの頃”に、何度となく聞いたTAKAの“お家芸”を今こうしてまた耳にすることが出来るのき感慨深いことしきり。2007年1月に解散したのち、バンドの15周年記念で行われた再結成ライヴ<La’cryma Christi 15th Anniversary Live ~History of La’cryma Christi Vol.2 2013.6.8 赤坂BLITZ>が終わってからというもの、それこそ時は干支をひとまわり分も流れていたことになるのだから。
LEVINが軽やかにスティックをくるくる回しながらドラミングし、SHUSEが曲のここぞという場面でベースを弾きながらジャンプし、HIROが劇的なソロを弾いたかと思うと、TAKAが伸びやかなハイトーンで歌いあげた「未来航路」。そこにKOJIの姿がないのは残念で仕方なかったものの、Shinobuが彼に代わって的確な仕事をしてくれていたことが救いだったと言える。Shinobuがこの役割を果たしてくれていなければ、La’cryma Christiとしてこのライヴが実現していたかどうかはぶっちゃけわからないくらいだ。


そして、この記念すべき<CROSS ROAD Fest>のDAY-1においてトリを飾った彼らが、現在に至るまでに辿ってきた日々を簡単に説明することはなかなか難しい。ただ、とにかくTAKA、HIRO、SHUSE、LEVIN、サポートギタリスト・Shinobuがお目見えした時、2022年に逝去したKOJIの使用ギターをSHUSEが高く掲げ、鳴らし、そのあとにステージ奥に安置したときに場内から湧きあがった「KOJI!」の大歓声は、きっと場内からあふれ出して天界にまでも響いたのではなかろうか。


もちろん、メンバーの4人も長い時を経ての復活ライヴだとはいえ錆びつき感は一切なし。La’cryma Christiの真骨頂を凝縮したような「偏西風」が演奏された場面においてそれは最も顕著で、プログレッシヴロックの香りが漂う複雑精緻なアンサンブルを彼らは鮮やかに音として体現し、エキゾチックな風の吹き抜ける異世界を描き出して我々を誘ってくれたのである。あの頃はもちろん、今現在に至ってもLa’cryma Christiほどの卓越した表現力で“いまだ行ったことのない不思議な世界”へと聴き手を連れ出してくれるバンドはそうそういない。間奏についても単なる場ツナギや間合いなどではなく、明確な物語性を持っているところが素晴らしいではないか。
「Forest」や「With you」「南国」といったシングルヒットチューンで観客による“手扇子”が客席で大発生した場面などでは、まさに輝かしき90年代の“あの頃”の雰囲気が甦っていた気もするが、La’cryma Christiの音楽は凡庸な懐メロとは全く違う。むしろ、時代を超えての圧倒的な普遍性を感じるものなのだということを、今回のライヴでは再認識出来た気がする。

「また歌うことが出来て嬉しいです。実は、この歌うことに向けて僕の背中を押してくれたのは亡くなったKOJIです。「TAKAさん、身体を持ってるなら歌って。みんな喜ぶから」って夢枕に彼は三度も出ました」(TAKA)
なるほど、そういうことだったとは…。ここは心からKOJIの素敵な心遣いに感謝したいと思う。なおかつ、TAKAが促さずともオーディエンスが大きな声でシンガロングした「White Period」も、おそらく彼の元までしっかりと届いたはず。

やまないアンコールの声に応えて、このあとには「THE SCENT」を追加してくれたLa’cryma Christiは明日もヘッドライナーとしてこの舞台に立つことが決まっている。また、来春にはワンマンライブ<La’cryma Christi LiveTour 2026 Night Flight ~Last Finale~>決定しているそうだ。
なお、このアンコール終了後にも“おまけ”が用意されており、TAKAが呼び込むかたちでPsycho le Cému・seek、Waive・杉本、FAIRY FORE・現王園崇、D’ESPAIRSRAY・HIZUMI、Plastic Tree・有村竜太朗、SHAZNA・IZAMと、DAY-1出演バンドのフロントマンが大集結し、しばしトークに興じた一幕があったことも付記しておきたい。DAY-2の豪華共演も期待大!

取材・文◎杉江由紀
撮影◎緒車寿一/堅田ひとみ
■セットリスト
1. 未来航路
2. Blossom
3. 偏西風
4. Forest
5. With-you
6. 南国
7. White Period.
encore
8.THE SCENT
■<CROSS ROAD Fest>
【DAY1】11⽉15⽇(土) 千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
open12:00 / start13:00
【DAY2】11⽉16⽇(日) 千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
open10:30 / start11:30
〒261-8550 千葉市美浜区中瀬2-1

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