【レポート】市川由紀乃、5年ぶり東京国際フォーラムで<新章>開幕「再び歌える喜びを感じながらドキドキワクワクしている」

演歌歌手、市川由紀乃が10月6日、<新章>と題したリサイタルを開催した。
デビュー30周年を迎え、これからさらに脂が乗った時期に入っていくという2024年、突然の体調不良から癌が発覚し、活動休止を発表。6時間におよぶ手術と抗がん剤治療を乗り越え、25年に入って活動再開した市川由紀乃。
2月から徐々にメディアなどに復帰して、5月には新曲「朧」をリリース。5月には<市川由紀乃 コンサート ただいま!>と題して全国3箇所でコンサートを行った。それから5ヶ月経って始まる<新章>。リサイタルの前にメディア向けの取材が行われた。

まず、公開リハーサルで“所信表明書道”と題してたフィルムが公開された。背中にたすきを掛け、ほうき大の筆を巨大な紙に落としていく市川。そして書き上げられた文字がステージの背後に出現した。そこにあったのが<新章>という文字。まさに心機一転、生まれ変わった気持ちで望むのだという意気込みが伝わってくる。

その後のリハーサルで公開されたのは、この日のハイライト部分。曲は2019年にリリースされた「雪恋華」だ。白い着物を着た市川は、演劇のように曲のイメージで物語るセリフから入り、北へ逃げた男と女の姿を描きながら、アコースティックギターとヴァイオリンの演奏だけをバックに切々と歌い始める。

1コーラス目が終わると、衣装の早着替え。白い着物を脱ぎ捨てると黒襦袢のような衣装に。雪が降り始め、女は独り残され、雪の中を彷徨う。ここからはバンド・アレンジとなり、その激しさと絶望を歌と共に演じて見せる。これだけでこの日のリサイタルがいかに気合いの入ったものであるかが伝わってきた。

リハーサルの公開終了後は囲み取材へ。ここでは緑色のロングドレスで姿を現した。質疑応答では、約2年ぶりのリサイタルを前に、復帰して再びファンの前に立てる喜び、歌える喜びを感じながらドキドキワクワクしていること。<新章>というタイトルに、新たな歌手人生の始まりへの決意を込めたということ。9月4日に新たにリリースされた新曲「朧」の星月花盤は、作詞の松井五郎先生が、「花わずらい」「ノクターン」「朧」の3曲は星月花をイメージして書いてくださった、という話などが紹介された。

今後歌ってみたい楽曲はありますか? という質問には、女性の奥底に眠っている思いを表現する作品が好きなので、情念の世界を追求してみたいと答えた。これはまさしくリハーサルが公開された「雪恋華」の世界そのもので、やはり、強い思いを持って臨んでいるであろうことが伝わってきた。
気になる病状は、抗がん剤の副作用で手足の指の痺れがまだ残っているとしながらも、こういったものも前向きに捉えて、楽しみながら少しずつ前に進んでいると語った。それも踏まえて、この日の公演は初めて挑戦する曲や衣装が多く、まだ髪の毛も完全に戻ってはいないけれども、スーツ姿あり、着物あり、いろいろなウィッグを被るなど、前向きに捉えていることが伝わった。
この後に行われた本番では、実に多様な楽曲と演出で、いわゆる演歌を超えた、まさに<新章>にふさわしい熱演を見せてくれた。こちらは改めてレポートする予定なので、楽しみにしていてほしい。
文◎池上尚志
「朧」
2025年5月20日発売
星月花盤(KICM-31882)定価:¥1,500(税込)
商品ページ:https://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKICM-31182/
01 朧
(作詩:松井五郎 / 作曲:幸耕平 / 編曲:佐藤和豊)
02 ノクターン
(作詩:松井五郎 / 作曲:幸耕平 / 編曲:佐藤和豊)
03 花わずらい
(作詩:松井五郎 / 作曲:幸耕平 / 編曲:佐藤和豊)
04 朧 (オリジナルカラオケ)
05 朧 (一般用半音下げカラオケ)





