【ライブレポート】BREAKERZ、再演ツアー<RETURNZ -アオノミライ×BIG BANG!->に激動と未来「F.S.S.=ファイナル、青春しようぜ!」

2025.09.30 18:00

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BREAKERZが9月23日に渋谷ストリームホールで、各地を廻ったワンマンツアー<BREAKERZ LIVE TOUR 2025 RETURNZ -アオノミライ×BIG BANG!->のファイナル公演を開催した。

本ツアーはBREAKERZが2008年にリリースしたミニアルバム『アオノミライ』と3rdアルバム『BIG BANG!』に収録された楽曲たちをフィーチャーした構成。DAIGOはMCで2008年を「激動の時代」と表現していたが、2007年にデビューした彼らがまだ見ぬ未来への希望を託した曲たちをツアーという形で再び演奏することの意義深さを感じさせてくれた情熱が注ぎこまれたライヴであり、そのテンションの高さゆえ、MCではファンが驚きの声を上げるエピソードも飛び出した。

久しぶりに披露する曲も含めて、今の彼らが当時に本気で向き合う。それだけでもレアだが、加えて今回のツアーでは新曲も披露された。今年7月に品川インターシティホールで開催されたデビュー18周年記念ライヴ<BREAKERZ 18th Anniversary Live R-18>は成人式にかけて大人で色気があるBREAKERZがコンセプトになっていたが、その時に書き下ろしの新曲「R-18」と「Lost Heaven」が届けられたのは記憶に新しい。音源化される前にまずファンの前で新曲を演奏するスタイルも含め、今のBREAKERZの動きはいい意味で予測不可能だ。

チケットはソールドアウト(ニコニコ生放送で生中継あり)。ハンドクラップの中、登場した3人は黒が基調の衣装だ。ブルーの照明がステージに注がれ、ライヴは「アオノミライ」で幕を開けた。“届かない青に手を伸ばして”という歌詞が当時のBREAKERZの心境を想像させる爽快感のあるナンバー。SHINPEIのギターソロは広がる青い空のようだ。続いてDAIGOが「跳べ! 東京!」と煽り、フロアが一斉にジャンプの「BIG BANG!」を投下。センターでAKIHIDEが熱いギターソロで沸かせ、早くも場内は沸騰状態だ。

「ついに東京に帰ってきました!」とDAIGOが挨拶。続けて、「17年前の作品を今の俺たちがやったらどうなるかをぜひ楽しんでいただけたらなと思います。最後まで楽しんでいってください! 17年前の気持ちに戻って。わかりやすく言うと“F.S.S.”。ファイナル、青春しようぜ!」と語った。

そして、久しぶりの曲が立て続けに披露されるセクションは本ツアーならでは。3人から笑顔がこぼれたパンクテイストの「センチメンタルスクラップ」はまさに青い季節真っ只中の想いが綴られた曲で、AKIHIDEからやんちゃなギターフレーズも飛び出し、DAIGOも“ひとりじゃ寂しいよ”と歌詞の一部をアレンジして叫んで沸かせる。自らを“ドMバンド”と称するBREAKERZらしい一途な恋心を歌ったラヴソング「ROSE」のエンディングはDAIGOの歌とSHINPEIのギターのみで二人が向かい合うアクトが微笑ましい。DAIGOが熱唱した憂いと勢いを兼ね備えた「GUILTY」、AKIHIDEとSHINPEIのエッジの効いたギターがスパイスになっている「カナシミDays」ではHiコール。

MCではサポートメンバーの響(Dr)と当時からBREAKERZを支えてきたMatsu(B)を含むメンバー紹介。

「TOKYO!」と生声で叫んだSHINPEIはなんと17年前と同じ迷彩ペイントのギターとサングラスで参戦。この日はDAI語ならぬシンピー語(※TOKYOというアルファベットのあいうえお作文)で“TOKYO”に込めた意味を絶叫する場面も飛び出し、沸騰するSHINPEIをクールダウンするようにDAIGOが「絶好調ですよ。シンピー、あの頃のままです」と笑わせた。AKIHIDEは「BIG BANG!」が、ここ渋谷の246通りの坂道の途中で生まれた曲だと明かした。DAIGOと二人で車に乗っている時に、助手席のDAIGOが突然「浮かんだ!」とその場で歌い出したというエピソードを話すとあちこちから驚きの声が。リアルな二人のやりとりも笑いを誘った。

「本当に思い出すよ。AKI様の車に乗せてもらって口で“バンバンバン”って(笑)」──DAIGO
「でも、すごいのは口ドラム、口ベース、口ギターなのにそれで景色が見えるのよ。あれは不思議だよね」──AKIHIDE
「世代的にも共有するものが多いから、それでAKI様にアレンジしてもらってバンドで固めて、まさにビッグバンが起こったんですよ。ということで今日は渋谷でビッグバンしましょう!」──DAIGO

そして、うぃっしゅ!ポーズをキメたDAIGOは「17年前は“うぃっしゅ!”ってやっただけで、みんな歓喜してたからね」と自虐ネタで笑わせ、「大好きな1曲です。今日、ここにいるみんな、そして(ニコ生で)見てくれているみんなにこの想いを届けたいと思います」と繊細なアンサンブルで響かせるバラード「逢いたくて」を届けた。

当時、BREAKERZのライヴに足を運んでいた人たちにとっては懐かしさもあり、リアルタイムで知らない人たちはパフォーマンスを含め、新鮮に響く楽曲も多かったのではないだろうか。もちろん、2025年の彼らが歌い、演奏しているのだから、アンサンブルはより強力になり、今だからこその細やかさも感じさせてくれるのだが、まだ無名だった頃の熱量や青臭さが今なお息づいていることを感じさせてくれたのがこの日のライヴの肝だったように思う。

2ndシングル「世界は踊る」ではAKIHIDEが久しぶりに6弦と12弦のダブルネックギターを奏で、疾走感のあるポップチューン「君の声が聴こえる」では、DAIGOが“無邪気に笑う君の横顔”と歌いながらSHINPEIを指差し、“サラサラなびく 君の黒髪”という箇所でAKIHIDEの耳元で囁いたりと嬉しい歓声が上がりっぱなし。BREAKERZ初のダンスナンバー「Crystal Night」も振り付けのレクチャーと共に届けられた。

そしてライヴの代表曲のひとつ「SUMMER PARTY」はスマホでの撮影OKタイム。SNSに多くの写真がアップされているが、イントロではドラムの前で全員がジャンプ。ファンの歌声が響き渡り、センターのお立ち台に3人が集まり、DAIGOとAKIHIDEがイチャイチャ、SHINPEIだけが仲間外れでいじけるというお約束の光景も繰り広げられた。

終盤戦はメンバーが客席にカラーボールを投げ入れるパフォーマンスも懐かしいハードエッジなナンバー「BUZZER BEATER」から「FAKE LOVE」に移行。本編ラストはタオルが必須の「灼熱」。AKIHIDEがフロアに降りてギターを弾いたり、今年の夏の太陽のようなギラギラした一体感で本編を締め括った。

単発のライヴではなく、全国各地を廻ってきたからこその手応え、そして打てば響くような集まったファンの熱いリアクションがBREAKERZをさらに加速させたのは明らかだった。全員がグッズTシャツに着替えてのアンコールではDAIGOが17年前の自分たちのことを振り返って、新曲に繋げた。

「今回、17年前のアルバムの曲たちをやるということで、みんなで曲順をどうしようとか、どう作り上げていこうかって。今のBREAKERZでどう伝えたいかを考えてやってきたんですけど、とにかく、いろいろな思い出が詰まってます。
 2008年はBREAKERZにとって激動の1年だったんです。『アオノミライ』がチャートが123位で、『BIG BANG!』で急にトップ10に入って、ある意味ターニングポイント的な年で。振り返ると『アオノミライ』の頃は俺たちの目指すべき空にたどり着きたいという願いや希望、そういう想いでがむしゃらに音楽を作っていた時期だったんですが、今、聴いた時に“忘れかけてた何かがあるな”とか、あの頃だからこそ書けた歌詞だったり、歌があるんですよ。でも、聴き返したからこそ、たどり着いたメロディがありました。
 今日はみんなにBREAKERZの未来を感じてもらいたいので新曲を作ってきました。本当に何もなかったあの頃だけど、夢に向かって突き進んでいた時期でした。その時に応援してくれた人たち、関わってくれた人たちがいたからこそ、今の俺たちがいるし、今、こうやって目の前に来てくれたみんながいるからこそ、また未来に向かって進んでいけます。青空って一つとして同じ青はないと思います。今の俺たちの青を求めていきたいと思って書いた曲です。ここにいるひとりひとりに届けたいと思います」──DAIGO

そんなメッセージと共に贈られた新曲「blue gradation」は、まるで「アオノミライ」を作った当時のBREAKERZへのアンサーソングのようなナンバーだった。3人が一緒に歌うパートがあり、未来のシンガロング曲になること間違いなし。“僕らはまだ夢見てる”というフレーズが刺さる生まれ立ての新しい青春ソング。一際、大きい拍手と歓声が響きわたった。

思わず号泣のSHINPEIとAKIHIDEの言葉にも万感の想いがこもっていた。音楽漬けの毎日の中で初めてBREAKERZで作った曲が「アオノミライ」だったと伝えたSHINPEIが「燃えてたね、あの頃は」と言うと、すかさず場内から「今は?」という突っ込みが入り、SHINPEIの涙腺が崩壊。

「嬉しいのはね。今もなお俺の中にその炎が消えずにずーっと燃えてるんですよ。嘘はつけないからね。自分の中にそれがあるってわかった時は嬉しかったよ。まだまだいろんな景色、見にいこうね」──SHINPEI

そんなSHINPEIはDAIGOから「BREAKERZの熱い男、熱いギタリスト、こいつあってのBREAKERZ!」と紹介された。AKIHIDEはツアーを振り返っての今の想いを伝えた。

「振り返るツアーは、いろいろと考えることがあって、不思議なもので曲が聞いてくるんですよ。“どうなんだ? 自分たちは”って。もちろん変わった部分もあるし、変わってない部分もあるんだけど、17年前にこうしたいと思っていたエッセンスを加えることによって、融合したり、比較することができたツアーでした。その中で見つかったのが「アオノミライ」のサビの歌詞にある未来だったと思います。そう思える旅ができたのは来てくれたみなさんのおかげです」──AKIHIDE

「「BIG BANG!」が生まれた頃のように、また車で一緒に曲を作りたくなってきた」と伝えたDAIGOは、AKIHIDEを「17年前と変わらず、いろんな意味で、一番カッコいい男、この人あってのBREAKERZ!」と紹介した。そしてDAIGOは書ききれないほどの感謝の想いを届けた。掴んだものがあったからこそ言葉が溢れ出したのだろう。

「今日は幸せな1日になってます。これからも人生、うまくいかないことや苦しいこと辛いこともあると思います。忘れないでほしいのはBREAKERZの音楽がひとりひとりの人生に寄り添っているということ。一緒に歩んでます。そのことを絶対に忘れないでください。みんなの居場所、ここにずっとあるから。絶対に守り続けますから、一緒に未来、歩んでいきましょう。あの頃と同じ気持ちで音楽に情熱を注いで永遠にステージに立ち続けたいと思います。永遠っていうのはちょっとわからないけど、寿命も200年ぐらいに延びるかもしれないし(笑)」──DAIGO

「最強の笑顔を見せろ」と煽ったBREAKERZとファンの絆を感じさせるナンバー「Angelic Smile」では歌詞を完璧に覚えているファンの歌声で至福の空間に。ヘヴィチューン「DESRTOY CRASHER」ではヘドバンの嵐の中、DAIGOがフロアに降り、柵に足をかけて歌い、AKIHIDEもSHINPEIも振り切ったアクト。その情熱の原点を見せつけた。

しかし、フロアの熱は収まらない。終演のBGMが流れ、最後の挨拶をしている途中で「もう1回!」の大アンコール。驚きと嬉しさが入り混ざったような笑顔を見せた3人は響とMatsu、さらにスタッフを交えてステージでガチの打ち合わせへ。「みんなに乗せられたよ!」とDAIGOが笑顔で伝え、全くの予定外だった「BIG BANG!」を投下。再びDAIGO、そしてAKIHIDEもフロアに降り、デビュー18年のバンドとは思えない衝動と青さを叩きつけた。

記念撮影の後、最後までステージに残ったDAIGOは「二つだけ命令させてください。おまえら、これからも健康でいろよ! そしてもう一つ、おまえら一生、BREAKERZについてこいよ! 他のアーティストに行ってもいいから、BREAKERZに戻ってこい! BREAKERZは実家だろ!? 親に顔見せろよ!」と沸かせた。

熟成か? 熱量か? どちらも素晴らしいが個人的にはロックバンドは後者を失ったら、刺激とスリルは味わえなくなってしまうと思う。ライヴのたびに披露される新曲も含め、今後のBREAKERZが新たな未来を見据えていることは間違いない。なお、このライヴ後にオフィシャルサイトで<BREAKERZ X’mas Show 2025>が12月22日に開催されることが発表された。

取材・文◎山本弘子
写真◎MASA

 

■<BREAKERZ LIVE TOUR 2025 RETURNZ -アオノミライ×BIG BANG! ->9月23日(火祝)@東京・渋谷ストリームホール SETLIST
01 アオノミライ
02 BIG BANG!
03 センチメンタルスクラップ
04 ROSE
05 GUILTY
06 カナシミDays
07 逢いたくて
08 世界は踊る
-インストセッション-
09 LAST EMOTION
10 君の声が聴こえる
11 Crystal Night
12 SUMMER PARTY
13 BUZZER BEATER
14 FAKE LOVE
15 灼熱
encore
en1 blue gradation (新曲)
en2 Angelic Smile
en3 DESRTOY CRASHER
W.encore
en4 BIG BANG!

 

■ニコ生独占生中継<BREAKERZ LIVE TOUR 2025 RETURNZ -アオノミライ×BIG BANG!->アーカイブ配信
チケット:3,800円(税込)
販売期間:2025年9月16日(火)13:00〜2025年10月6日(月)23:59
配信サービス:ニコニコ生放送
購入URL:https://dwango-ticket.jp/project/FsreIcW8nF
視聴URL:https://live.nicovideo.jp/watch/lv348568533
タイムシフト視聴期間:2025年10月7日(火)23:59まで
※チケット未購入の方でも一部ご視聴いただける「チラ見せ」パートがあります。
※全編をご視聴になるにはチケットの購入が必要になります。
※タイムシフト期間中であれば何度でも、生放送終了後に番組を視聴することが可能です。
※上記期間を過ぎると、視聴の途中であっても番組を見ることができなくなります。

 

■<BREAKERZ X’mas Show 2025>
12月22日(月) 東京・COTTON CLUB
※詳細は後日発表

 

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