【コラム】音楽アニメあれこれ〜BARKS編集部の「おうち時間」Vol.036

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自粛生活が続く現在。家にいる時間に何かこれまでの自分の生活になかったものを吸収したい気持ちがむくむくと湧き、自分にとって新しいジャンルのものを見たり聴いたりし始めた。そのひとつが、音楽を題材にとったアニメだった。

これまで「音楽に関わる仕事をしているのだからアニメまで音楽モノを観なくてもいいかな」という気持ちで何となく観てこなかっただけなのだが、一度見てしまうとその面白さに驚いた。アニメで音楽を聴くことも、とてもいいものだ。

今回私が取り急ぎ見てみたのは、以下のアニメ。有名なものなのでご存知の方には今さら感があると思うが、ちょっと感想を述べてみたいと思う。

  ◆  ◆  ◆

『この音とまれ!』
廃部寸前の時瀬高校箏曲部。
一人になってしまった部長のもとを訪れたのは不良少年とその友達、そして箏の天才少女だった。
それぞれの箏の音が紡ぐ青春学園物語―

──オフィシャルサイトより

ひとりで箏曲部を守る倉田武蔵、不良少年・久遠 愛、箏の家元の娘で才能に満ち溢れた鳳月さとわを中心に、初心者ばかりだった箏曲部が全国大会を目指して奮闘するという物語。青春感満載で、箏という楽器に馴染みがなくても楽しめる。キャラクターの心情が丁寧に描かれていて、箏曲部のメンツと一緒に笑ったり泣いたりできる良いアニメだった。誰にでも楽しめる内容だと思う。(ちなみに好きなキャラは哲生と実康、さとわは文句なしに可愛すぎる。)

原作者は箏経験者、オリジナル楽曲の「天泣」はプロの箏奏者である原作者の姉が作曲したとのこと。この曲の音色が大変美しく、箏という楽器に興味をそそられた。



  ◆  ◆  ◆

『四月は君の嘘』
母の死をきっかけにピアノが弾けなくなった
元天才少年・有馬公生

モノクロームだった彼の日常は、
一人のヴァイオリニストとの出逢いから色付き始める…。
傍若無人、喧嘩上等、でも
個性あふれる演奏家・宮園かをり。
少女に魅せられた公生は
自分の足で14歳の今を走り始めるのだった。

──オフィシャルサイトより

“泣ける”と有名なこの作品も観た。美しいアニメだった。ストーリーは好みがありそうだが、それを差し置いても情景の描き方の美しさ、演出、詩的な言葉選びが秀逸。ラストまで見てタイトルの意味に気づかされる構成もポイントだろう。物語が色と音で彩られていて、音楽を題材にしたアニメとしての完成度が高いと言える。14歳の甘酸っぱい恋を描きながらも、人は人との出会いで彩られていくことを教えてくれる作品だった。

そしてやはり一番グッときたのは最終回の演奏シーン。ここは本当に圧倒された。言葉がなくてもピアノひとつの音色だけでここまで思いを伝えられるんだなと、改めて音楽の持つ力に驚かされる。なぜ、かをりがあのような自由奔放な演奏をしていたのか、という謎が解けた時も胸がギュッとなった。

  ◆  ◆  ◆

『坂道のアポロン』
1966年初夏。

高校一年生の西見薫は、父親の仕事の都合で横須賀からひとり、親戚のいる九州へ引っ越してきた。それまで優等生で周囲に心を閉ざしがちな薫だったが、“札付きのワル”と恐れられる破天荒なクラスメイト・川渕千太郎との出会いが彼を変えていく。
千太郎を通じて知ったジャズの魅力、そして初めての「友達」と呼べる存在。
仲間と奏でる音楽がこんなにも楽しいなんて!

千太郎の幼なじみで心優しいレコード屋の娘・律子、ミステリアスな上級生・百合香、憧れの兄貴分、淳兄…。
アメリカの文化漂う海辺の街を舞台に、友情・恋心・音楽がまぶしく交錯する青春群像劇
──オフィシャルサイトより

こちらはジャズを題材にしたアニメ。だが、どちらかというと「友情、青春、恋の物語をジャズが彩っている」という印象だ。全体的な色味がノスタルジックで、とても雰囲気の良い作品だった。ストーリーもわざとらしいコミカルな部分などがなく、シンプルに進んでいく。語りすぎず、語らなすぎず、余韻を持たせてあるところがツボ。余計なものはすべて削ぎ落としているからこそ、主題が際立っているのだ。文学的な作品だと言えよう。

各話のタイトルもそのストーリーを現すジャズ楽曲の曲名になっていて、それを調べて聴いてみるのも楽しい。ジャズミュージシャンの松永貴志、石若駿を起用し、菅野よう子プロデュースによるセッションをそのままアニメに使用しているから、音も当然聴いていて心地いい。ジャズに詳しくない人でも一度は聴いたことのあるメロディーなので、とっつきにくさもないだろう。個人的にはこういった小説を読んでいるかのようなアニメが、すごく好きだ。

  ◆  ◆  ◆

とりあえず今わたしは猛烈に箏が習いたい。『この音とまれ!』最終話での「天泣」を弾きたくて、初心者用の箏の値段を調べたり教室のリサーチをしたりしている。この状況が落ち着いたら、一度体験に行ってみようかなあなんて妄想をしている。

何か新しいジャンルを知ると、そこから興味が派生していくこともまた楽しい。ということで、引き続き音楽にまつわるアニメを見ていこうと思う。まだまだ観たことのない作品がたくさんあるので、楽しみだ! そして時間が足りない!

文◎服部容子(BARKS)

▼イケメンのバンドものはやっぱり気になるなあ

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