【ライブレポート】ポルノグラフィティ、横浜スタジアムで「今度は会いに行こうかと」

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2014年9月8日にメジャーデビュー15周年を迎えたポルノグラフィティが、<神戸・横浜ロマンスポルノ’14~ 惑ワ不ノ森~>のファイナル公演を9月21日に横浜スタジアムで行なった。

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前日に同会場で行なわれたライヴは雨が降り出しそうな厚い雲に覆われていたが、最終日は青空が広がる爽やかな快晴となった。スクリーンには15周年アニヴァーサリーツアーですっかりおなじみとなった黄色のキューブ教官が登場し、集まった3万人のオーディエンスと開演前からコール&レスポンスが。

ライヴのオープニングには、日本昔話風のアニメーションがスクリーンに登場。“絵・話/晴一”というクレジットに拍手が沸き起こった。そして、物語の始まり始まり。不思議な体験をした少年におじいさんが語るのは、迷いのない者はすぐに現実の世界に戻ってこられるけれど、帰ってこられない人間もいるという惑ワ不ノ森のお話。“20年以上前に森に入ったきり、今も帰ってこない2人の若者も生きていれば今年で40歳”という下りでポルノグラフィティらしきシルエットが映し出され、会場に再び歓声が上がった。

そして迷宮の森を思わせるセットに、クランベリーピンクのスーツを着た岡野昭仁(Vo)と白と黒でバキっときめた新藤晴一(G)が大歓声の中、登場し、オープニングナンバーはいきなりのメジャーデビューシングル「アポロ」だ。スモークと花火の演出の中、昭仁が間奏で「惑ワ不ノ森にようこそ! 会いたかったぜ!」と叫び、「今宵、月が見えずとも」で昭仁がパワフルな歌を響かせ、晴一の熱いギターとリズム隊が刺激的に絡んでいく「リンク」で加速させていく。「Please say yes, yes, yes」では“笑っていてくれよ”と歌いながら昭仁が客席を指差し、“今日の天気みたいに”と晴れわたった空を見上げる。アウトロでは2人が向かい合ってギターを弾き、開放感たっぷりのステージが前半戦から繰り広げられていった。

「最終日のこの雰囲気、すごいいいわ。晴れたよ。よかった。ホンマに。最高の気分で今、このステージに立っております」と昭仁が笑顔を見せ、晴一が「今日は最終日、どう考えてもやるしかないんじゃないでしょうか。(晴一の)専門用語でやるっきゃナイトだと思います」と言うと大盛り上がりで、スタジアムのバックネット裏も巻き込んで「やるっきゃ」「ナイト」のコール&レスポンス。

「40にして惑わずなんて言葉がありますけど、僕なんか惑ってばっかりで。花言葉にも“移り気”というのがあるんです。その花の名前は“ダリア”」と演奏されたのは、哀愁のあるメロディが印象的な「ダリア」だ。トランペット2人をゲストに迎え、エキゾティックな街、横浜に似合うレトロなサウンドを響かせた。続いてサックスのソロで幕を開けた「痛い立ち位置」では迷路のような危うい恋を歌い、ポルノグラフィティと4人のホーンセクションのコラボレートが華を添える。

「2014年の夏はいろいろありましたけど、みなさん、その夏にお別れしましょう」。そう昭仁が言って、この季節にピッタリの「グッバイサマー」が届けられ、パステルカラーだった空がいつのまにか濃いブルーへと色を変えていく絶妙のタイミングで「黄昏ロマンス」。2人のハーモニーが空に溶けていく。

野外の開放的な空気を心から楽しんでいる様子の2人のMCもリラックスムードだ。横浜スタジアムには日本武道館と似た空気があると話す晴一が「ライヴハウス、横浜スタジアムにようこそ!」と言うと、昭仁が「言おうと思ってたのに(笑)」とジョークを飛ばし、「さっき惑ワ不ノ森にようこそ!って言ったけど、そこも惑ってるってことで」とまとめ、会場からは大拍手。そのリアクションに「優しいね。2008年の豪雨のライヴでマイクが故障しても、みんなが歌ってくれて、あの空気感を作ってくれたとき、大丈夫だと思った」とポルノとファンの揺るぎない結束を思わせるエピソードを振り返った。そして、2人の呼びかけにみんなが“フー!フー!”と返す恒例のコール&レスポンスでは、昭仁が下手、晴一が上手とステージ両サイドからフロート車に乗ってセンターステージへ。

怒濤の歓声の中、「横浜の空にキミたちの声を!」と叫び、2人を追うカメラ以外は何もない屋上のようなセンターステージで演奏されたのは最新シングル「俺たちのセレブレーション」だった。アグレッシヴなパフォーマンスで動き回り、“幻想じゃなくアポロは降り立ったんだ 俺にでもきっと行けるイメージが離れないよ”と歌うこの曲はライヴの最高の見せ場。「アポロ」から15年、落ち着くどころか、まだまだ走り続ける意志を表明するような攻めのアティチュードで、そのままソウルフルなロックチューン「PRISON MANSION」に突入し、メインステージへと戻る流れはワイルドで実にカッコよかった。

続いてセンターステージでは夜を彩るファイヤーパフォーマンスが繰り広げられ、メインステージにも炎が上がる中、ラテンな「アゲハ蝶」が演奏され、幻想的なポルノグラフィティの世界へと。青と緑の美しい照明の中、晴一のセンシティブで切ないギターが情景を描き出していくインディーズ時代のナンバー「デッサン#1」も鮮烈な印象を残した。晴一はアマチュアの頃はギターを弾いたら無敵だと思っていたという思い出を振り返り、月日が流れていろいろな夢が叶った今も敵は“自分自身”で「バンドやギターでしか立ち向かえないのでこんなに集まってくれるみんなの気持ちを信じてがんばっていこうと思います」と話した。

後半戦は「NaNaNaサマーガール」、「サウダージ」、「メリッサ」などポルノグラフィティのヒストリーを紡いできた曲たちがダイジェストで届けられ、「さあ、一緒にワシと歌って、もうひとやま作ろうぜ! まだまだ行くぜ!」と花火が打ち上げられた「ワンモアタイム」では変わらぬ思いを再確認するような熱くエネルギッシュな歌と炸裂する演奏に拍手&大歓声。みんなを笑顔にさせる「ミュージック・アワー」では3万人がジャンプする景色が爽快。「ハネウマライダー」ではいっせいにタオルが振られた。

そして、再びスクリーンに冒頭で登場した少年が森の中を走り抜ける姿が映し出され、直後に映ったのはライヴを楽しむオーディエンスたちの姿。「惑ワ不ノ森の先にあったのはキミなんだ! キミなんです!」と昭仁がみんなを指さし、大盛り上がりの中、テープが放たれたラストナンバーは「青春花道」。極上のハッピーアワー。15周年を迎えて今なお燃えている彼らを目の当たりにできたステージだった。

アンコールでは、「愛しきみなさんに新曲を。『俺たちのセレブレーション』は“見んさい”=見てもらいたいというコンセプトでリリースしましたが、次は“聴きんさい”というコンセプトでお届けします」と16年目第1弾シングルとなる「ワン・ウーマン・ショー~甘い幻~」を11月5日のリリースに先がけて披露。女性目線のドラマをしっとりと聴かせ、2人をサポートする9人のバックミュージシャンを紹介した。

15周年を迎えたことについて晴一は「40歳になっても、こういうスタジアムでライヴができることが何を意味しているのか、その意味を見つけて、見つかったものをみなさんに返していきたいと思います」とお礼を述べ、昭仁は「15年をかけて音楽業界というか、この世の中にポルノグラフィティという小さなホームを建てられたかなと思ってます。さっき新曲、聴いてもらったけど、また来年あたりいろいろあるかもよ。まだハッキリ言えないけど、今度は会いに行こうかと。楽しみにしてください」と嬉しい予告をした。そのあとに演奏された「Mugen」は大合唱。そして2人は再びフロート車に乗ってセンターステージへと移動し、ラストは「ジレンマ」で締められた。

これでジ・エンドかと思いきや、すべての演奏を終えた2人にサプライズが待っていた。スクリーンにキューブ教官があらわれ、その指揮のもと、集まったみんなが「15周年おめでとう!」というお祝いの言葉を叫んだのである。サポートミュージシャンが去ったあと、ポルノグラフィティの歴史を彩るミュージッククリップの数々が流れ、センターステージから感慨深げにその光景を見ていた2人は、お返しに生声で挨拶。手を降りながら通路を歩いてメインステージに戻ると今度は客席からウェーブが巻き起こった。この素晴らしい景色はきっとポルノグラフィティの16年目の日々を照らし続けるに違いない。

取材・文◎山本弘子

■<神戸・横浜ロマンスポルノ'14 ~惑ワ不ノ森~>
2014年9月21日(日)@横浜スタジアムSETLIST
01. アポロ
02. 今宵、月が見えずとも
03. リンク
04. Please say yes, yes, yes
05. ダリア
06. 痛い立ち位置
07. グッバイサマー
08. ラビュー・ラビュー
09. 黄昏ロマンス
10. 俺たちのセレブレーション
11. PRISON MANSION
12. アゲハ蝶
13. ROLL
14. デッサン#1
15. NaNaNa サマーガール~Sheep~Song of teenage love soldier-~この胸を、愛を射よ~サウダージ~メリッサ~Jazz up~PRIME
16. ワンモアタイム
17. ミュージック・アワー
18. ハネウマライダー
19. 青春花道
encore
20. ワン・ウーマン・ショー ~甘い幻~
21. Mugen
22. ジレンマ


■40thシングル「俺たちのセレブレーション」
2014.9.3 Release! !
ポルノグラフィティ シングル“3さい”シリーズ第1弾「見んさい」シングル

■41stシングル 「ワン・ウーマン・ショー ~甘い幻~」
2014.11.5 Release! !
ポルノグラフィティ シングル“3さい”シリーズの第2弾「聞きんさい」シングル

■<神戸・横浜ロマンスポルノ>
2014年9月13日(土)ほっともっとフィールド神戸
2014年9月20日(土)横浜スタジアム
2014年9月21日(日)横浜スタジアム

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