サッズ、罪深き再生から1年。灼熱の名古屋公演に続き、七夕の夜に大阪が炎上する!
7月3日、東京・恵比寿リキッドルームにて<MAD JULY DOLLS>と銘打たれた東名阪ツアーを開幕したサッズ。その初日公演は3時間半超のものとなったが、7月6日、清春の地元である岐阜県にも近い名古屋ボトムラインでのツアー第二夜も、同様に3時間を越えるものとなった。が、問題なのはその長さではなく濃密さ。過去には30曲を超える演奏内容だったことも多いこのバンドが、実は「コンパクトなライヴ」を意識しながら今回のツアーに臨んでいるという事実にも注目したい。
◆サッズ 画像@<MAD JULY DOLLS> および セットリスト
開演予定時刻の午後6時半から30分近く遅れながら、この夜のライヴはスタート。フロアを埋め尽くしていたオーディエンスは、じらされた挙げ句に場内が暗転すると、それまで募らせてきた飢餓感を爆発させるような怒号のごとき大歓声で4人を迎えた。オープニングに据えられた「WASTED」が炸裂すると、一気に室温は上昇。躊躇なく畳み掛けるように繰り出される激烈チューンの連続に、人の波は激しくうねり続けた。
しかしもちろん単なる激烈さばかりがこのバンドの魅力ではない。7弦や8弦ギターを駆使しながら放出される過度なほどにヘヴィでアグレッシヴなバンド・サウンドは、かなりイビツな成り立ちをしているはずなのに、高い次元での整合感をも伴っている。高度な演奏技術と前傾姿勢の疾走感、とてつもない爆裂感が見事に共存しているのだ。しかもそこに清春の、あの絶対的なヴォーカル・パフォーマンスが絡むのだからたまらない。超ヘヴィで攻撃的なのに、艶かしいロック。この刺激にはぜひ、洋楽偏重型のロック・ファンにも一度、触れてみて欲しいところだ。
とはいえ、今回のショート・ツアーはこの夜をもって3分の2を終了。7月7日、大阪BIG CATでの公演をもって早くも幕を閉じることになった。この先のライヴ予定などについては現状、白紙に近い状態であるようだが、この夜のステージ上で清春が吐いた言葉を信じるならば、彼らはそう遠くないうちに新たな音源制作に入り、新生サッズとして未だ足を踏み入れていない地域を含むツアー展開を考慮中であるらしい。しかも従来以上に規模の小さなライヴハウスでの公演も考えているとのことなので、今後はさらにチケットの争奪戦が激化することも考えられる。MCのなかでは「何も考えてないんだよね、基本的に僕ら。NO PLAN、NO GOALだから」と笑っていた清春だが、彼の頭のなかが空白であることなどあり得ない。充分に用心しながら次の情報到着を待ちたいところだ。
この夜、結果的に演奏されたのは全26曲。まさに体力勝負の怒濤のライヴを終えたメンバーたちの表情には、疲労感よりも充実感が浮かんでいた。誰もが素直な満足感を口にしていた。ツアー最終夜の大阪公演も、生半可なもので終わるはずがない。4人にとって新たな起点となったアルバム『THE SEVEN DEADLY SINS』の発売からちょうど1年。その生誕記念日はバンドとファン双方にとって忘れ得ぬ一夜となったであろう。
文/撮影●増田勇一
◆サッズ・オフィシャルサイト
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