デビューから15年間の歴史を佐伯明が検証

2003.4.1 0:00

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今年でデビュー15周年を迎えるB'zが
これまでにリリースしてきた８cmシングルの中から10タイトルをリマスタリング、
12cmシングルに拡大＋初回盤は豪華ピクチャー・レーベル仕様で再発売！
さらに同日にはNewシングルもリリースし、30作連続シングル・チャート１位記録を更新。
そしてヒット・チャートの上位11曲をB'zが独占するという前代未聞の記録を樹立した。
そんなB'zの15年を、音楽文化ライター・佐伯明氏が検証する。

B'zの全歴史を通じて存在している“デジタルと生音のせめぎ合い”■

■NEW SINGLE

「IT'S SHOWTIME !!」

BMCV-5001　1,020(tax in)
2003年3月26日発売

1. IT'S SHOWTIME !!
2. New Message

　INFORMATION

「B'zスペシャル CD BOX」がもれなく当たる『CD BOXキャンペーン』中。
詳しくはB'zオフィシャル・サイトへ！
【B'z OFFICIAL SITE】
http://www.bz-vermillion.com/

バンド・ブームが訪れる直前の'88年、プロのギタリストとして多岐にわたる活動をしてきた松本孝弘は、自らのパーマネントなバンドを作りたいという欲求を募らせ、そこで、稲葉浩志というひとりのヴォーカリストと出会う。二人は、たった一度のセッションで意気投合、バンド結成を誓い合う。そして、“デジタル主流の音楽シーンにあってデジタルな音で唯一表現できないのはヒューマン・ヴォイスとギターだけではないか？”という命題の下、二人はB'zというユニット形態をとり、音源作りをスタートさせた。こうして、'88年9月、1stアルバム『B'z』、1stシングル「だからその手を離して」で、B'zはデビューを飾ることとなった。

この“デジタル主流の音楽シーンにあってデジタルな音で唯一表現できないのはヒューマン・ヴォイスとギターだけではないか？”という命題は、B'zのシングル、アルバムを貫く思想になっており、したがって、“デジタルと生音のせめぎ合い”は、B'zの全歴史を通じて存在していると言っても過言ではない。シングルでは、“デジタルと生音のせめぎ合い”と同時にメロディ・メイカー：松本孝弘の手腕が色濃く投影されており、そのひとつの証拠として'90年6月リリースの5thシングル「太陽のKomachi Angel」でチャートNo．1を獲得して以来、13年間、最新シングル「IT'S SHOWTIME!!」までのシングル30作品は、連続してチャートの第１位に輝いている。個人的には、ライヴ・パフォーマンスにおいて“シアトリカルな空中演出”も披露された18thシングル「LOVE PHANTOM」が、B'zにしか創造できないシングルとして記憶に残っている。一方、アルバムの方は、マドンナ等を手掛けたエンジニア：ジェイソン・コーサロがミックス・ダウンを手掛け、飛躍的に"16ビートの中のヴォーカル＆ギター"が確立した記念すべき４thアルバム『RISKY』以降、４作ごとにひとつの“流れ”が生まれているように思う。アルバムタイトル・チューンを筆頭に、楽曲だけではないスピリット的なものでリスナーと共鳴を引き起こそうとした６thアルバム『RUN』や、あふれ出る表現欲求にブレーキをかけず、ブルース・ナンバーからギター・インストまでを収録した充実の２枚組作品であり、B'zのルーツとB'zらしい音楽の両方を聴ける『The 7th Blues』。この流れを汲みつつ、稲葉浩志の、連続する倍音シャウトにもいっそう磨きがかかり、デジタルとアナログの音の波の間で"音楽的美技"を披露するB'zが余すところなく詰め込まれた作品である『LOOSE』で、言わば"第２期"は完結する。

SURVIVE＝続けるとはいかなることなのか？を自らに問いながら、音楽的運動性能をさらに上げていった『SURVIVE』からは、持論である“ロック・アスリート＝B'z”が確立する時期であろう。特に、B'z史上初めて“打ち込み”が一切排除され素手の力量が試された超力作であり、音による絆を聴き手に願う圧倒的スピリチュアル・ナンバーに胸が震えた10thアルバム『Brotherhood』は、フェイヴァリット・アルバムである。“僕らはまだまだ青い”と初心を確認した最新作『GREEN』で第３期を括ったと思われるB'zは……、今年'03年デビュー15周年を迎え、さらに限界点を越えようと、活動を続けている。

文●佐伯明