復活に盛り上がるシーンをよそに、若干の戸惑いを抱いた人も多いだろう。
なんせ、あのキングギドラだ。
最早神格化した感さえある日本のヒップホップ・シーンの伝説的なこのグループを、リアルタイムで経験した者にとってみれば、果たして移ろいの早い今のシーンにおいて以前同様(もしくはそれ以上)の輝きを保つことはできるのか…と危惧してもおかしくはない。ヒップホップに限らず音楽界では、復活~再結成という名の戯言に幻滅させられることも少なくない…。
そんなキングギドラのリリース・パーティが渋谷ハーレムで行なわれた。 会場の外には入りきれないファンが行列をなし、中はラッシュアワーのような状態で動くことすらままならない。この伝説復活への注目度の高さを改めて感じさせ、否が応でも期待感は募る。
そして午前2時を回った頃、アトミック・ボム代表、童子-T、そしてUBGからUZIが登場し、フロアは更に熱気を増す。そして唐突に流れたキングギドラのクラシック「未確認飛行物体」のイントロで会場は狂喜!
大合唱が巻き起こる中、DJ KEN-BOが「大掃除」、「行方不明」など次々とキングギドラのクラシックをミックスし、盛り上がりも頂点に達した時、遂に登場…。絶叫にも近い歓声の中、ジブラ、K ダブシャイン、DJオアシスが揃い踏みし、まずは復活シングルの一曲「UNSTOPPABLE」をキック。狭いステージ上を目一杯に動き煽る2人を前にフロアは一気にモッシュ寸前の状態へ。リリース前だというのにも関わらず、フックを口ずさむ人が多数いたのが非常に印象的だった。 | . | 曲間のMCではいつも以上に饒舌に、そして興奮気味に語るジブラとK ダブシャイン。本人たち自身が如何にこの日を待ち望んでいたかが感じ取れた。
次に ハーレムに集まったギャルたちには少し耳が痛い(?)もう一枚のシングル「F.F.B.」をプレイ。際どいリリックのイメージが先行しているが、パーティ・ソング的な雰囲気も充分持ち合わせている曲なだけに、これまた盛り上がらないわけはない。
そして童子-T、UZIを交えての「平成維新」を披露。各々ソロMCとしてのキャリアを積んでいる4者だけに、実際この並びを目にすると圧倒されてしまう。
K ダブシャインのダイヴまで飛び出すほどの熱狂振りで、さぁ次の曲は何?? なんて期待していたら、アレ? 終わり? 『空からの力』からの曲は…とは思ったが、あくまで今日はリリース・パーティ。その辺の曲は本チャンのライヴまでのお楽しみってことなのかな。
短いながら2002年最新型キングギドラを感じるには充分の時間であり、前述した危惧も一気にフッ飛んでしまった。さらに強靭に生まれ変わったキングギドラが、日本のヒップホップ・シーンのみならず音楽シーンで暴れまわってくれるだろう。 文●升本 徹 |