The Chemical Brothers <COME WIHT US TOUR-February,2002:JAPAN> 2002/2/24 TOKYO BAY NK HALL M 1 COME WITH US M 2 MUSIC: RESPONSE M 3 BLOCK ROCKIN' BEATS M 4 TRANSITION-OHM M 5 SONG TO THE SIREN M 6 UNDER THE INFLUENCE M 7 IT BEGAN IN AFRIKA M 8 OUT OF CONTROL M 9 TRANSITION-TEMPTATION M 10 STAR GUITAR M 11 SUNSHINE UNDERGROUND M 12 HOOPS M 13 SETTING SUN M 14 HEY BOY HEY GIRL <アンコール> M 1 LEAVE HOME M 2 PRIVATE PSYCHEDELIC REEL | 『COME WITH US』 東芝EMI 2002年01月21日発売中 VJCP-68367 2,54(tax in) 1 カム・ウィズ・アス 2 イット・ビガン・イン・アフリカ 3 ギャラクシー・バウンス 4 スター・ギター 5 フープス 6 マイ・エラスティック・アイ 7 ザ・ステイト・ウィアー・イン 8 デンマーク 9 パイオニア・スカイズ 10 ザ・テスト | 「STAR GUITAR」 東芝EMI 2002年01月17日発売中 VJCP-12153 1,223(tax in) 1 スター・ギター(EDIT) 2 スター・ギター 3 スター・ギター (PETE HELLER'S EXPANDED MIX) 4 スター・ギター(PETE HELLER'S 303 DUB) 5 ベース・シックス | | 本国イギリスでは既に大規模フェスのヘッドライナーを務めた経験もあるケミカル、もうこうした大きなアリーナ会場でのライヴはすっかりお手のものだが、ステージ上ならびにステージの周囲を見渡すに、まあ、そのスケールの大きなこと。トムとエドの2人が乗るDJ台は半径10メートルぐらいの大きさだし、6台ほどの巨大なスピーカーが会場の周囲を取り囲む。彼らのライヴは既に何度か経験しているが、ここまで機材の持ち込みが盛大だったことはなかった。ビッグビート全盛時代から、テクノをアリーナ・クラスにまで牽引したケミカルだが、その前進姿勢はとどまるところを知らないようだ。 そしていざショウがはじまると、その豪華絢爛さは全開した。ステージの上空からはこれまた半径10メートルほどの円形モニターが降りて来て、目が眩むような場面転換の速い光を放射する映像が流れ、乱反射する照明がそれをさらにもり立てる。そして、四方のスピーカーからは前のめりな重低音が地響きのようになり響く。これで会場はたちまちにして沸き上がり、1曲目の「COME WITH US」から灼熱の宴がはじまった。そうした周囲の熱い盛り上がりをよそに、ステージ上ではトムとエドの2人だけが、いたってクールにひたすらDJプレイを続けるだけ。 この“熱狂”と“覚醒”の同居する感覚こそ、ケミカルのショウの真骨頂である。 そして、楽曲のつなぎも毎度のこと見事なもので、最新アルバムからの「IT BEGAN IN AFRIKA」や「Star Guitar」から、「BLOCK ROCKIN' BEATS」「MUSIC: RESPONSE」といった過去の代表作までがまるで1つの作品のようにノン・ストップで見事に列ねられていた。周期の早いテクノという音楽表現の中において彼らの楽曲も時期によってその風味が随分と違ってきているのだが、このステージだとそうした時代による相違は全く感じさせない。それどころか、彼らの音楽のルーツになっているであろう、'60年代ロックから脈々と伝わる普遍的なサイケデリックな感覚が一貫として流れていることが、このライヴを見ているとハッキリとわかる。実はこの時代を一切問わない、筋の一本通った普遍的な力強さこそケミカルの最大の武器なのではないか。僕は見ていてつくづくそう思った。 そして、勢いアンダーグラウンドな方向に閉じがちなテクノの世界に、いつも開放的な空気を流し込んでくれるそのポジティヴなパワーにもいつも感心させられる。彼らの活躍なくしては、テクノがロック・ファンや一般的な音楽リスナーを取り込んでここまで大きくなることはなかっただろう。欲を言えば、そろそろ2人のDJだけではなく、ゲストやバンド編成でのライヴという新機軸も見せてほしいのだが、進化を止めないケミカルのこと、これからまだまだ大きくなるためのアプローチは必ず仕掛けてくるはずだ。とりあえず、今はこのライヴで充分OKだ。 文●沢田太陽 |
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