パンク好きなら、これを聴くべし! 1stアルバム『SPUR?』直撃インタヴュー

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パンク好きなら、これを聴くべし!
1stアルバム『SPUR?』直撃インタヴュー


なんだか濃いぃ~奴等が京都からやって来た…!

京都というと何事にも薄味を思い浮かべてしまうのだが、
まったくもって、ここに紹介するRADIO SHANGHAIの濃さは、何と表現しようか?
昨年末12月29日に発表した「SPUR?」から発せられるサウンドは、
初期パンクや'80年代ニューウェイヴが抱いていた独創的な香りがするのだけど、
加えて押しの圧さが感じられて…。

イージーに“激ヤバ”と表されるバンドが多いなか、もしや、彼らこそ2001年のファイナルアンサーだったのでは!?

そんなメンバー4人に取材敢行!

カッコ良いんとカッコ悪いんって紙一重!

1st ALBUM

『SPUR?』
Loft Records  LFCS-1040
2001年12月29日発売 2,310(tax in)

1. White Noise In My Hand
2. Blind Beat
3. Away From The Other World
4. Lady Of The Afternoon
5. TECH-POCKET
6. Fictional Love
7. Plastic Seventeen
8. I.H.O
9. 2-D Girl
10. Guilty Eyes

――初のアルバムですね。制作に当たり、まず最初に考えたことってなんだったのですか?

SUZU CREAM CHEESE(ギター/以下SUZU):
今まで、オリジナルではシングルで、しかもアナログ盤でしか出してなかったんですね。そこにぎゅっと音を詰めていたんだけど、今回はアルバムだし、曲数も増えるから、はじめから最後まで通して聴けるように、くどくならないように、と考えましたね。

NANCY CRYSTAL DANDISM(ヴォーカル/以下NANCY):
だから、油抜きに力を入れましたね(笑)。いい意味でのマイナス作業っていうか。

――具体的に行なったマイナスの作業とは?

SUZU:
以前は音を重ねまくっていたんですよ。CHIHIRO(WONDER/ベース)が持っていたアナログシンセをピコピコと入れたりして。エレパンクでしたね。濃いぃですよ(笑)。

――今回のアルバムの選曲は、今までライヴで演っていた曲が多いのでしょうか?

SUZU:
ライヴで演ってた曲が半分、書き下ろしが半分です。今までの客も裏切りたいからね。…っていうか、バンド歴が長いから、ベストアルバムみたいにはしたくなかった。結果として今まで見に来てたファンにも新鮮に聴いてもらえるんじゃないかな。…にしても、このアルバム、トレンディじゃないですよねえ。初めて聴く人なんて、びっくりするんじゃないですか。この世にこんな音楽があったのか!って(笑)。でも、本当にパンクロックが好きな奴には分かってもらえるんじゃないかな。


▲(左から)URAGUCHI B. T LATER(Dr)、CHIHIRO WONDER(B)、NANCY CRYSTAL DANDISM(Vo)、SUZU CREAM CHEESE(G)
CHIHIRO WONDER(ベース/以下CHIHIRO):
うん、どれか1曲は、誰か引っかかるはずかな、と思ってますけど…ギリギリの線だと思うんです、カッコ良いんとカッコ悪いんって紙一重だと思ってるから。その紙一重のところでしか、このメンバ-はできないんですよ。

SUZU:
そうかも。それに酒飲んで自分たちの曲聴くと “俺たち天才か!?”って思うんですけど、素で聴いたら“アレ?”って(笑)。それの繰り返しじゃないですね(笑)。

NANCY:
うんうん。でも、それがあるうちは楽しめるよね。何でもそうだと思うけど、“でき上がった! 完成だ!”って思ったらもう最後。

――ところで、今まで、アナログ盤しか出していなかった理由は?

SUZU:
これは自分たちのため、だけでしたね。アナログって形が好きだから、ただそれだけ、っていう。だから今回CDで出したのは、人のことを意識したって感じかな。

CHIHIRO:
うん、だから今回、反応がすごく楽しみですね。そこから新しい展開にもなるだろうし。

――そんなRADIO SHANGHAIですが、東京では、突然現われた!という印象があるのですが、地元、関西での活動状況を聞かせて下さい。

SUZU:
京都はwoopiesというライヴハウスで演ることが多いですね。あんまり自分たちでイベントをやろうとは考えないですね。呼ばれる事が多いです。

NANCY:
そんなんでライヴが埋まってるからいいけど、考えなアカンだろうなぁ。ラクしすぎかな(笑)。

――いろいろライヴ活動をしているわけですが、'97年イギリスでの世界最大級のパンクイベント<HOLIDAY IN THE SUN>に出演してますよね。

SUZU:
そもそものきっかけは、俺らがDRONESというバンドを日本に呼んで対バンしたときに、ちょっと世話をしたんで仲良くなったんです。そのコネクションですね。

NANCY:
そうそう。で、今度は俺らがイギリスへ行くってなってね。最初は彼らの地元のマンチェスターでライヴをやる予定だったんだけど、当時、ライヴハウス潰しが流行ってて。ネオナチやフーリガンが横行してて、外国人排斥みたいな感じでね。で、日本人は危ないと。しかもRADIO SHANGHAIなんてバンド名もヤバいと。で、ライヴは中止になっちゃったんです。残念だね~なんて言ってたら「こっちがある」って言われて紙切れ渡されたら、<HOLIDAY IN THE SUN>の3日目のプログラムにRADIO SHANGHAIの名前があって!(笑)

――イギリス行ってから知らされたんだ!

NANCY:
ビックリしましたね。パンクの有名なイベントですからね。…ま、結果はビ-ルを散々浴びて帰ってきましたが(笑)。

SUZU:
最初、演奏時間は20分だって言われて、スタンバイしたら15分って言われて、ステ-ジ上で10分って言われて、最後には電源落とされた!(笑)

NANCY:
でもさ~、あんまりの緊張で、ビ-ル飲みすぎちゃってね。ステージ裏で吐いて、戻ってきたら、終わってました(笑)。いやぁ、本当、このときのイベントには僕らが影響を受けたバンドばっかりだったんで、こんなに緊張したことはありませんでしたね。

――たとえばどんなバンドが?

SUZU:
Stiff Little Fingers、Dickies、The Exploited、The Vibratorsとかですね。他に影響を受けたのは、他にThe Damned、The Stranglers。いわゆるパンクですね。結局抜けてないんですね。

――やっぱりRADIO SHANGHAIもライヴがポイントだと思うのですが。

SUZU:
やっぱり見てもらうのが一番ですね。こう言ってしまうと実も蓋もないんですけど、口で言えないからバンドなんてやってるんじゃないでしょうか。ここで簡潔に説明できてしまうようじゃねぇ、バンドを辞めちゃうんじゃないかなあ。

――なるほど。RADIO SHANGHAIって、いそうでいなかった存在ですよね。

SUZU:
頑張ってる奴もいたんでしょうけど、評価されていないですよね。俺らもそうなるか、それとも大きな一石を投じるかということじゃないかな。

URAGUCHI B. T LATER:
大きな賭だね。
取材・文●中島儀幸

about RADIO SHANGHAI

NANCY CRYSTAL DANDISM(Vo)、SUZU CREAM CHEESE(G)、CHIHIRO WONDER(B)、URAGUCHI B.T LATER(Dr)の4人からなるRADIO SHANGHAI(レディオ・シャンハイ)。

'93年に地元京都で前身バンド結成し、ライヴを中心に活動。'96年にバンド名をRADIO SHANGHAIとし、パンク、ニューウェイヴ色を強く打ち出す。'97年に1stアナログ「POINTLESS e.p」をリリース。活動は国内にとどまらず、海外にも進出。イギリスで開催されている世界最大のパンクイベント<HOLIDAY IN THE SUN>に出演する。

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'98年にCHIHIROが加入して現在のラインナップとなり、2ndアナログ「2-Dementional Girl」を、2000年には3rdアナログ「HUV I THE RIGHT」をリリースする。

日本人離れしたパンクセンスの楽曲、バンドとしてのライヴパフォーマンスの強力さ、欧米での注目度などで、いそうでいなさそうなバンドがRADIO SHANGHAI。

2001年12月には上記1stアルバム(CD)『SPUR?』をリリース。

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