トラヴィスをサポート・アクトに迎えたダイドの全米ツアー

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トラヴィスをサポート・アクトに迎えたダイドの全米ツアー
 
内省的で陰鬱なブリティッシュ・インヴェイジョン

Dide 1st Album

No Angel
BMG International BVCA-21083
2001年4月25日発売 ¥2,548(tax in)

1 Here With Me
2 Hunter
3 Don't Think of Me
4 My Lover's Gone
5 All You Want
6 Thank You
7 Honestly OK
8 Slide
9 Isobel
10 I'm No Angel
11 My Life
12 TAKE MY HAND(US Bonus Track)
13 Worthless(Bonus Track)
14 Me(Bonus Track)

Travis 3rd Album

The Invisible Band
EPICインターナショナル ESCA-8325
2001年6月6日発売 2,310(tax in)

1 Sing
2 Dear Diary
3 Side
4 Pipe Dreams
5 Flowers in the Window
6 The Cage
7 Safe
8 Follow The Light
9 Last Train
10 Afterglow
11 Indefinitely
12 The Humpty Dumpty Love Song
13 Ring Out The Bell(Bonus Track)
14 You Don't Know What I'm Like(Bonus Track)
15 Beautiful(Bonus Track)

新たなブリティッシュ・インヴェイジョンは数年ごとに起きるようだ。だが、かつてのBeatlesからOasisにいたるまでのバンドたちは明るいポップスを攻撃の武器としてきたのに対して、最近の勢力はもっと内省的でときとしてあからさまに陰鬱でさえある。こうした最新の英国勢で最前線に立っているのが、エレクトロニックの歌姫、Didoと大衆向けポップロックの旗手、Travisである。残念ながら両者を2枚看板とした最近のコンサートは、フルスケールの“侵攻”と呼べるほどのものではなく、ビックリするほどの大成功というよりは、むしろ退屈なものに終わってしまったと言えるかもしれない。

とりわけ英国においては明らかに批評家のお気に入りであるTravisだが、今回はトリプルプラチナムに輝くDidoのウォームアップ・アクトの役割に徹していた。Didoのツアー(すでに2年目に突入)に参加するという決定はTravis側にとって、バンドの新作のクォリティの高さと同じように、彼らのさらなる成功への一手となりうるものであろう。

例えばショウのオープニングは「Sing」(Travisのニュー・アルバム『The Invisible Band』からの1stシングル)だったが、この勇気を失うなという非弁証的な賛歌で、バンドのリーダーでソングライターでもあるFran Healyは、より感傷的な音楽への衝動に屈してしまうのであった。Travisのセットはブレイクスルー・アルバムの『The Man Who』からの曲と新マテリアルのバランスをとったものだったが、とりわけHealyが「歌は我々の人生を導いてくれる星のようなもの」と語ったときを中心として、感傷的な要因は確実に増加していた。それでもファンは「Why Does It Always Rain On Me?」でのヴォーカルソロまで担当して、彼らへの献身ぶりを示したのである。

Didoはこの夜の感傷的なグルーヴをさらなるレベルへと高めた。彼女のメガヒットとなったデビューアルバム、『No Angel』からの「Hunter」や「Thank You」といった陰鬱な曲が、同様に素晴らしい一連の新曲によって補強されていたのである。これらの曲はどこから聴いても、前向きの大胆な飛躍というより、センチメンタルなソングライティングの着実な継続と言えるものだった。

さらに彼女はライヴパフォーマーとしての役割を以前よりもずっと気楽にこなせるようになったのは明らかだったが、か細い声に大きなパワーが加わったとは思えず、曲間での愛と友情に関するコメントも時としてショウの勢いを壊すだけに終わっていた。しかし、バンドがアンコールをサボタージュして、Didoが振り返って笑いだすまで後ろでコスチュームを着て悪ふざけをしたときには、彼女でさえもあまり真面目ぶってはいられなかったようだ。ちょっとした不真面目さが、周りに良い影響を及ぼすことがあることを示して見せた瞬間だった。

By Tim Sheridan

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