エミネムの“Real Slim Shady”をオンエアしたラジオ局に罰金

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Federal Communications Commission(FCC/連邦通信委員会)が、Eminemの“The Real Slim Shady”の編集バージョンをオンエアしたコロラドのラジオ局、KKMG-FMに対し、罰金の支払いを命じた。オンエアされたのは、レコード会社のInterscope Recordsが配給用にカットしたものをKKMGの親会社であるCitadel Communicationsがさらにカットしたヴァージョンだったが、どうやらFCCにはそれでも十分ではなかったようだ。FCCはその裁定において、この曲が“低俗な興味をそそり、ショックを与えることを目的とした明らかに不快な性的表現”を含んでいるとしている。FCCが例に挙げた部分は“Walkin' around grabbing' his you know what(例のモノを掴んで歩いてる)”“But It's cool for Tom Green to bump a dead moose(でも、Tom Greenが死んだムースに突っ込むのはOKなのさ)”などである。

Recording Industry Association Of America(米国レコード産業協会)の代表、Hilary RosenがVariety誌で今回の出来事への懸念を表明している。
「仮にFCCが、曲の挑発的な雰囲気が気に入らないからといって、ラジオ局に対し違反行為という判断を押し付けるようになるとしたら、それは非常に恥ずべきことだ。それは思想的検閲以外の何ものでもない」

ヒップホップの立役者、Russel Simmonsもやはりこの罰金命令に驚いており、正式にコメントを発表している。
「米国の歴史では、若者の創造性に溢れる文化というものは常に常識を逸したものとして批判されてきた。それはマーク・トゥエインの小説であったり、ブルースやジャズ、ロックンロールなどの音楽ジャンルだったこともあった。これらのスタイルを現在から振り返ってみれば、実はそれほど悪いものではなかったことに気づくはずだ。事実、そういった表現こそが米国の夢や将来を形作っていく上で、最も重要な要因であることが証明されている」

「ヒップホップ界における言論の自由を保障する(合衆国憲法)修正第1条の権利に対する中央からの攻撃は、間違ったことだし憲法に違反している。この国は過去の歴史の中で、様々な事柄においてどれほど違った見解があろうとも、自分を表現するという民主的な権利を侵害することがないように懸命に努力してきた。米国政府は決してその一線を越えたことはない」「ヒップホップ・コミュニティ、いや、アメリカ国民全員が、我々の仲間のEminemに対するこの露骨な検閲行為に激怒するべきなのだ」

6月1日に罰金支払命令の通告を受けたCitadel Communicationsは、返答期間として6月末まで与えられている。少なくともそれまでの間、KKMGから“The Real Slim Shady”が再び流れることはないようだ。

Yves Salomon, New York LAUNCH.com
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