グラミー賞授賞式でのエミネムとエルトン・ジョンのデュエットにGLAADが憤慨

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2月21日(水)にロサンゼルスで開催される第43回グラミー賞授賞式においてEminemElton Johnがデュエットを披露すると、主催者のNational Academy Of Recording Arts And Sciences(NARAS)が発表したことで(2月10日付ニュース参照)、同性愛者権利運動団体のGay & Lesbian Alliance Against Defamation(GLAAD)は、Johnの出した結論に失望の意を表明した。

GLAADのエグゼクティヴ・ディレクター、Joan M. Garryは次のようにコメントしている。
「グラミー賞でElton John卿がEminemと共演するということにガッカリしています。Johnは彼の音楽やチャリティーへの参加を通して、世界中で人々がエイズや同性愛についての理解を深めるのに大きな役割を果たしてきました。GLAADとしては、JohnがEminemという、その言動や行動がゲイやレズビアンに対する憎悪や暴力を助長しているアーティストとステージを共にするということに驚きを隠せません」

「GLAADでは昨年、Johnに最も栄誉ある賞を授けています。GLAADの創設者、Vito Russoの名を配した賞で、同性愛者差別との闘いに目覚ましい貢献をしたものに与えられます。今回のJohnの行動は、この賞の精神に反するものだと受けとめています」

Garryは、Eminemが選択した人々に物事を伝えられる立場と人気の利用方法に失望しているとも語った。
「我々は、公共の媒体に発言の場を持つ人々は、それがテレビやニュース、音楽であれ、責任があると信じおり、そうしたことを常々話し合っています。事実、それは間違いなく真実であると考えています。また、別の見方をすれば彼らは(メッセージを広める)絶好の機会を持っているともいえるのです」

「一番下は8歳からの、数え切れないほどの多くの若者にメッセージを伝えることのできる男性がここにいるわけです。なんというチャンスでしょう。本当に素晴らしい機会を持っていて、また、それが悲しい部分でもあるのです。滅多に手に入らない絶好の機会を持つ男性がここにいながら、私に言わせれば彼は、つまらなく、醜い、有害な方向へと向かったのです」

Eminem自身と彼の歌詞に反対しているGLAADでは、2月21日に授賞式の会場となるダウンタウンのStaple Centerの前で“Rally Against Hate(反憎悪デモ)”を午後3時(米東部標準時)より行なう。

NARASの代表/CEOのMichael Greeneは2月10日(土)に次のようなコメントを発表している。
「グラミー賞授賞式でのEminemのステージは、間違いなく多くの注目と興奮、物議を呼ぶでしょう」

「常に音楽的冒険心に溢れるアーティストであるElton JohnがEminemと共演することで、論議や様々な意見はより大きなものとなるに違いありません。しかし我々としては、この共演は音楽的価値だけではなく、不幸にもEminemの歌詞が作り上げてしまった多くの壁を取り払う良い機会と考えています」

GLAADとNARASは、グラミー賞前日の2月20日に共同で“Intolerance in Music(音楽における不寛容): A Town Hall Meeting”と題したフォーラムを開催し、Eminemと彼の音楽や詞、グラミー賞について、お互いの意見を出し合って討論する。イベントにはGarryとGreeneの他に、まだ名が明かされていないプロデューサー兼アーティスト、各界の若手活動家たち、L.A. Unified School地域の若者たちとロサンゼルス全域のゲイ、レズビアン団体が参加する。フォーラムは午後3時30分(米東部標準時)から、ロサンゼルス公共図書館のMark Taper Auditoriumで開催される。

Jason Gelman、ニューヨーク
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